不景気と嘆くのではなく、モチベーションを高めよう
ここ数年、長引く不況で、景気のいい話題にはめったにお目にかかれませんが、不景気だと嘆いているだけではお金は貯まらない!
では、こんな時代だからこそ、どう家計管理していけばいいのでしょうか……。今回、マネープランクリニックを担当したファイナンシャル・プランナーの1人、伊藤裕さんは時代に対するイメージや認識を変えるべきだと指摘します。
「今後、個別には大きく業績を上げる企業があっても、日本全体が大きく景気を上向く要素は、残念ながら見当たりません。日本にとどまらず、先進国はおしなべてそうです。インターネットのような、世界のしくみがまったく変わる何かが生まれない限り、世界経済を押し上げることは難しいと考えた方がいいでしょう。さらに言えば、急成長の新興国だって、経済は遅かれ早かれ、今の先進国と同じ道をたどる可能性が十分にあります」(FP伊藤裕さん)
何だか、暗い話になってきましたが、経済の成長が望めないからと言って、現状を悲観する必要はない、と伊藤さんは続けます。
「不況だと嘆くのではなく、今が普通の状態と考えればいいんです。確かに、一昔前のバブルと比較すれば、今は景気の底と感じるかもしれない。ですが、遠い過去のもっとも景気のいい時期を待ち望んでも、それは意味のないこと。現状と向き合うことの方がはるかに大切です」
しかし、この景気が普通だとすれば、なかなか収入アップは望めないのも事実。そんな中、家計をどう管理し、貯蓄をしていけばいいのでしょうか。
「収入が増えないなら、支出を減らすしか、貯蓄する方法はありません。テクニックとしては給与天引きや口座振替で、強制的に積み立てる方法があります。ですが、基本はあくまでモチベーション。貯めたい、貯めないと大変だという動機付けが必要。これさえあれば、自然と貯蓄はできてしまうものです」
次のページでは収入が危ういこの時代の、お金を貯める鉄則についてFP深野康彦さんに語っていただきます!
●今回のお悩みはこの6つのご家庭
1>貯蓄を増やすために家計にどう手を付ければいいのか
2>養育費頼みの貯蓄、教育資金が用意できるか不安です
3>夫が病気治療中。家計や老後のことが何かと心配
4>リストラの可能性もあり、老後が不安です
5>結婚して子どもも生まれたが、気が付けば貯蓄ナシ
6>住宅ローンを2本抱える。効率よく返済するには?
取材・文・撮影/清水京武 監修/伊藤裕(ファイナンシャル・プランナー)
イラスト/モリナガ・ヨウ デザイン/引間良基