基準を上回れば
改良→再実験→再検証を繰り返す
「エアキス」開発担当者の松下いわく、開発当初のテーマになったのが、
「シックハウスなどの原因となる建材からの化学物質の放散を、どの程度まで低減するか、その目標値を設定すること」
だったそうです。
東京都福祉保健局「化学物質の子どもガイドライン」(室内空気編)より
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松下:「厚生労働省では、その目安となる指針値を定めています。しかし、子どもの身体への影響を考えれば、その指針値をクリアするだけでは不十分である、との判断に至りました。
というのも、子どもの空気摂取量は大人の2倍(体重1kg当たり)にも及ぶからです(右イラスト参照)。この事実を考慮して、当社は厚生労働省指針の1/2を目標値に定めました。子どもを基準に考えれば、必然的に大人にとっても安心ですからね」
小型チャンバーでの実験装置。下の2つのステンレス製の缶の中に建材試験片を入れる
では、どうやってその目標値をクリアしているかを確認するのでしょうか?
その方法が、「チャンバー」というステンレス製の缶でつくられた装置での実験です(右写真参照)。
最初に見学した実験空間では、検証する建材を、温度28度、湿度50%の条件に保たれたチャンバーに入れ、どれだけ化学物質が放散されるかを測定していました。
小型チャンバーは、容積45リットルとコンパクトながら、実際の居住空間の化学物質濃度の予測も可能となるため、こうした実験に最適な装置なのだそうです。
主な手順は次のとおりです。
- 260度程度に設定した窯でチャンバーを丸ごと焼き、それまでの実験で付着していた化学物質類をすべて除去する。
- 建材試験片にアルミテープを貼り(シール処理という)、クリーンな状態になったチャンバー内に設置して、規定の換気量の下で実験開始。
- 一定期間経過後に内部の空気を集め、放散された化学物質を測定する。
四方にシーリング処理した建材サンプル
松下:「例えば床板を検証する場合、チャンバーに入る試験用サンプルをつくります。通常、床板は小口面が見えない状態で施工されるので、サンプルの四周をテープで巻いた状態にし(右写真参照)、実際に使われる時と同じような条件にしてチャンバーに入れます。ただし、建材の小口が居住空間に露出している場合などは、その部分をシール処理しないこともあります」
家をつくる建材は数え切れないほどの種類がありますので、検証したいサンプルは当然、ひとつではありません。ひとつひとつ順番に測定しなければならず、膨大な時間が必要になることが推測できます。
松下:「検証によってNGが出た場合、その建材を改良しないといけないのですが、どの部分がダメなのか、その特定をしなければなりません。それがこの作業の最も大変な部分です。建材の多くは、下地材や表面材、さらにはそれらをつなぎ合わせる接着剤が使われていますから、どの材料から化学物質が放散されているか、細かく調べて原因を突き止め、その部分を改良をしなければなりません。そして改良後は、その改良で本当にOKなのかまた測定する。私たちの仕事は、実験→改良→再検証の繰り返しであり、相当の根気と体力が必要なのです」
確かに、検証でNGが出たときは、原因を追求するプロセスに戻らなければなりませんから、改良には膨大な時間と労力がかかるのです。
大型の収納家具も
実験・検証の対象物に
大型チャンバー実験室内部では、収納家具を丸ごと置いての実験が行われていました
実験検証は、小型チャンバーだけでなく、もっと大きな実験室でも行っているとのこと。続いて「大型チャンバー室」も見せてもらいました。
大型チャンバー室の容積は約13立方メートル。つまり、先ほどの小型チャンバー内部の環境を3~4畳程度のサイズまで拡大した空間です。45リットルの小型チャンバーでは建材の試験片サイズしか入れられませんでしたが、ここなら収納家具を丸ごと置くことも可能です。
松下:「収納家具は、例えば棚板の小口面などは、合板が剥き出しの状態で使われていることが多いものです。この部分は特に化学物質の揮発濃度が高くなる傾向があります。
部材レベルでは大丈夫でも、組み合わせてつくった際に基準値をオーバーすることも考えられるため、大型チャンバーでも確認するのです」
そして実験は、放散だけでなく、吸着についても同様に!
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