世界遺産&ビーチが楽しめるホイアン
ベトナムというと、ホーチミンやハノイなど、喧騒に包まれた活気あふれるアジアの街のイメージが強いですが、実はステキなビーチもあります。ベトナムのビーチには、バリ島やタイのような先進のリゾート・アイランドとはひと味違ったアジア特有のなんとなくユルい空気と、詰めの甘さもご愛嬌的な居心地の良さを、ガイド的には感じます。今回はベトナム中部の世界遺産の町であり、ビーチリゾートも併せ持つホイアンをご紹介しましょう。歴史が家並みに刻まれた世界遺産
&ラグジュアリーなビーチリゾート
トゥボン川の河口近くにあり、海に接するホイアンは、その地勢から中国やインド、トルコといった地を結ぶ東西貿易、いわば海のシルクロードの要衝の港。チャンパ王国のベトナム、そして朱印船で渡ってきた日本、華僑がくだってきた中国、そして植民地として支配することになったフランス……あらゆる国の文化が、町の暮らしや佇まいに見え隠れするヒストリカルタウンです。日本とのつながりも深く、最盛期には1000人の日本人が暮らしていたそう。そして日本人が架けたとされる来遠橋(通称、日本橋)は、必ずや訪れるだろう観光スポットとなっています。18世紀ごろに中国人によって建造された家々が未だ残るホイアンの旧市街は1999年、ユネスコ世界遺産に登録されました。路地を歩けば天秤棒を肩に渡した商人と路地ですれ違い、道端でランタンを作っている少女たちの手の動きに魅了され、散策するうちにいつしか時をさかのぼったような不思議な気分になれる――。まるで18世紀がフリーズ・ドライされたような異文化体験を味わえます。
ちなみに、かつてのトゥバン川はチャンフー通り近くを走り、今よりも川幅がずっと広かったそう。それが度重なる水害などで土砂が徐々に堆積し、現在のバグダン通りは1878年に増設されたばかり。だから、バグダン通りに近い方が歴史的に日も浅く、チャンフー通りに向かって築年数も長くなっている仕組みになっています。また、川が埋まって陸地が伸びるに従い、船が行き交う川に面するように、利便性から家を建て増ししていったため、細長い造りの家になったとのこと。ホイアンの人々は自然と折り合いをつけつつ、暮らしていたのですね。
一方、ホイアンの旧市街から東へ約4kmにあるクアダイ・ビーチでは、21世紀のラグジュアリーなリゾートライフを満喫できます。東シナ海に面したビーチは小麦色がまっすぐに伸び、開放的な印象。旧市街からビーチへ戻り、多くのリゾーターがプールサイドで日光浴を楽しむ光景を前にすると、その風情の落差にちょっぴり混乱しそう。それがまた、ホイアンのエキサイティングな魅力でもあるのではないでしょうか。