マンモグラフィーとは
マンモグラフィーは、乳がんの早期発見のために人の乳房をX線撮影する手法です
なお、乳がんは女性特有のがんだと思われていますが、男性にも発症することがあります(男女比率は1:99)。意外に思われるかもしれませんが、男性でも乳がんが疑われた場合は、同じような撮影方法で検査を行います。
マンモグラフィーでわかる病気
マンモグラフィーで発見できる主な病気は、乳がん、乳腺線維腺腫(良性腫瘍)、乳腺症など。乳房のしこり(腫瘍)の有無、大きさや形、石灰化の有無が分かります。「石灰化」とは、がん細胞が死んでカルシウムが沈着したもののこと。乳がんの約半数は石灰化し、石灰化したものは、触診では発見できない5mmくらいの小さいものでも発見できます。
正常の細胞が増えてできた良性腫瘍の線維腺腫の場合も、石灰化が見られることがよくありますが、乳がんの石灰化したものとの判別は比較的容易。線維腺腫の石灰化したものは粗く大きい場合が多いのに対し、乳がんの石灰化したものは針のように細い線状や細かく枝分かれしているような微細なもの、あるいは多様性といって大小さまざまな形をしていることが多いです。
マンモグラフィーの検査法
検査は以下の手順で行います。- 上半身裸になって乳房撮影装置の前に立つ
- まず右の乳房全体が写るように前に引っ張り、撮影装置の検査台に乗せる
- 乳房の厚みが4~5cmになるように、乳房を圧迫筒で上下から圧迫する
- X線撮影(撮影時間は1秒もかからず、圧迫は数秒間だけです)
- 左の乳房も同じように撮影する
- 上下から圧迫する正面像が終わったら、斜位の撮影を行う(右の乳房のときは左上から乳房を圧迫、左の乳房のときは右上から圧迫する)
すべての検査は数分間で終了します。X線の照射は2~3秒程度。体に影響はありません。ときに側面の撮影をすることもあります。マンモグラフィーは左右の比較がとても重要なので、必ず両側の乳房を撮影します。
現在のマンモグラフィーはほとんどがアナログのフィルム式。これを最先端の画像テクノロジーやITによってデジタル化しようという動きがあります。アナログと比べ、デジタルはデータの管理が効率的で、複製もしやすく、分析目的に合わせた画像の加工も可能です。実用化されれば、まず乳がん検診に威力を発揮しそうです。
マンモグラフィーの痛み・解消法
乳房を圧迫するときは、どうしても多少の痛みを伴います。しかし、検査全体では10分程度かかるものの、乳房を圧迫している時間は数秒~10秒ほど。痛みを感じる程度は人によって異なりますが、検査中は力を抜いてなるべくリラックスすることが大切。検査時に緊張してしまう人の場合も、うまく力を抜けるように検査技師がアドバイスを行います。それに従うとうまく行くことがよくあります。また、痛みをより少なくするためには、検査前に自分で乳房をよく揉みほぐしておくのも効果的です。乳房を撮影する検査のため、心理的に抵抗を感じてしまう女性もいるようです。最近では女性の検査技師も増えてきて、ケアが充実している施設もあります。事前に問い合わせて検査を受けることも可能です。
マンモグラフィーの撮影および読影は、検査機器の性能、検査技師や医師の技量に左右されます。できるだけ、マンモグラフィ検診制度管理中央委員会の認定を受けている医療施設や医師を目安に選びましょう。
妊娠中・授乳中・生理前のマンモグラフィー
マンモグラフィー検査は、妊娠中も問題ありませんが、念のため腰にプロテクターをして撮影をします。授乳中も検査を行うことは可能ですが、痛みを強く感じたり、母乳が出てしまったり、乳腺が発達しているため正しい診断ができないこともあります。乳がん検診であれば、卒乳してから検査を受けた方がよいでしょう。生理前1週間は乳房が張って痛みを感じやすい人も多いようなので、検査日を選べるのなら生理前は避けた方がよいでしょう。
マンモグラフィーの再検査
マンモグラフィーの結果で再検査となった場合、精密検査として、乳腺超音波検査、CT検査などの画像検査を行ない、しこりの一部を採取し組織検査(マンモトーム生検)で診断を下します。マンモトーム生検を行う場合、約5mmほど皮膚を切開し、5mm程度の針を入れて組織を採取することになります。これは局所麻酔をして行う検査で、歯の治療のようなものなので、ほとんど痛みはありません。乳がんの早期発見のためには、年に1回のマンモグラフィだけでなく、月1回程度、自宅で乳がんの自己検診を行なうのも大切。小さなしこりでも、比較的発見しやすいのが乳がんの特徴です。自己チェックを習慣づけて早期発見につなげましょう。