アトピー性皮膚炎の予防法・治療法

更新日:2005年08月29日

治療vol.7 アトピーに免疫抑制薬

最近、ステロイド外用薬だけでなく、免疫抑制薬の外用薬が発売されました。大人用と子供用の2種類あります。世界各国でも使用されています。この免疫抑制薬について説明します。

現在アトピーの治療をシリーズで連載しておりますが、今回はアトピーでの「免疫抑制薬」についてお話します。この薬はステロイド以外の薬として治療の現場で注目されています。また免疫抑制薬の外用薬は、最近アトピーの治療でも使用されています。(「アトピーの治療シリーズ」は、記事の後半のリンク集をご参考ください)

体を過剰防衛してしまう免疫を抑制する薬

Tリンパ球のCG図です。このTリンパ球の主な働きはウイルスを体から除いてくれます
免疫抑制薬には2種類あります。
  • 外用薬
  • 内服薬

  • です。
免疫に重要な働きをするTリンパ球を抑制するので、免疫抑制薬(免疫調整薬(めんえきちょうせいやく))と言われています。Tリンパ球は、体の中でウイルスなどの感染への防御してくれます。しかし、防御が強く働くと、炎症を起こしてしまいます。アトピーは皮膚の炎症ですから、その炎症を引き起こす原因の1つがTリンパ球です。


副作用が少ない外用薬

プロトピック軟膏は濃度によって2種類あります
免疫抑制薬の外用薬は、現在、大人用と子ども用の2種類です。内容は同じで、「プロトピック軟膏」と呼ばれています。子ども用は濃度(0.03%)が大人用(0.1%)より薄くなっています。この「プロトピック軟膏」は、Tリンパ球の増殖や活動を抑える作用があります。外用薬は、アトピーの湿疹部分に作用しますので、全身の副作用は少ない。主な副作用としては、使用初期(使用後1-2週間)にみられる皮膚のヒリヒリ感です。

ステロイド外用薬とプロトピック軟膏との違いは?

ともに、炎症を抑える薬です。大きな違いは、薬の皮膚からの吸収にあります。
  • ステロイド軟膏→正常の皮膚からも体の中に吸収されます。炎症が治まって止めると、炎症が再度出現します(リバウンド現象と呼んでいます)。

  • プロトピック軟膏→正常の皮膚からは体の中に吸収されにくく、皮膚の炎症が治まると、吸収されません。リバウンド現象は起きない。

まだ研究段階の内服薬


「プロトピック」の内用薬である「プログラフ」と、「ネオーラル」の2種類があります。内用薬は主に、臓器移植のときに使用されます。内服薬は全身副作用のため、重症のアトピーでまだ研究段階です。ともにTリンパ球の機能を抑えます。
■主な副作用
  • 易感染性(「いかんせんせい」と呼びます。感染症を起こしやすくなります)
  • 腎障害(じんしょうがい)
  • 多毛(たもう)
  • 免疫を抑制するために癌など発生しやすい

  • など


免疫抑制薬は、最近使用されるようになった薬です。10年以上の使用経験がありませんので、医師と相談の上、きちんと使用しましょう。


豆知識
免疫:本来、生物は、自己を守るために、異物の侵入を防ぐ手段を持っている。例えば、植物にも、害虫を近づけない芳香物質を出している。ヒトも、進化の過程で、様々な免疫を獲得した。大きく分けると、細胞性免疫(リンパ球や白血球が関与)と液性免疫(抗体が関与)に分かれる。
リンパ球:リンパ球には大きく、3種類に分かれる。抗体を産生するBリンパ球、細菌やウイルスに直接対抗したり免疫を調整するTリンパ球、癌などの細胞を殺すNK細胞に分かれる。液性免疫に関わるのがBリンパ球がメインで、細胞性免疫に関わるのがTリンパ球がメインである。

アトピーの治療シリーズ
【第1回】ステロイド
【第2回】食事療法
【第3回】スキンケア
【第4回】梅雨に向けてのダニ対策
【第5回】梅雨に向けてのカビ対策
【第6回】内服薬
【第7回】免疫抑制薬


<参考リンク先>

タクロリムス(おくすり110番)

プロトピック軟膏(0.1%) 

(プログラフとプロトピック)アステラス製薬会社

ネオーラル(ノバルティスファーマ株式会社)
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この記事の担当ガイド

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清益 功浩

医学博士。日本小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医・指導医。他にも、メンタルヘルスマネ…

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