薬膳料理/基本の薬膳料理・レシピ

漢方で納得!土用のうなぎが浸透したワケ

いまや国民的行事ともいえる土用のうなぎ。土用うなぎがこんなにも広まったワケを、漢方&薬膳の視点で詳しくご紹介します。そもそも土用はうなぎではなく、牛を食べるはずだったってホント……?!

杏仁 美友

執筆者:杏仁 美友

国際中医師 / 漢方・薬膳料理ガイド

土用は年に4回あることを知っていますか? 今回は知って納得、土用うなぎがこんなにも広まったワケを、漢方&薬膳の理論から解き明かします!

「土用」は中国生まれの日本育ち?

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土用といえばうなぎ。反射的に食べたくなるのはわたしだけじゃないはず!
国民的行事ともいえる土用のうなぎ。江戸時代の平賀源内という学者が、うなぎ屋の商売繁盛のために「本日丑の日」と掲げたことから始まりだという説がありますが、昔から「丑の日」に「う」のつくものを食べると夏やせしないということより、「うどん」や「梅干」「瓜」などもよく食べられていたそうです。

うなぎは栄養素の宝庫ともいわれ、身体の抵抗力を高めるビタミンAや疲労回復にいいビタミンB1などの他にも、ビタミンやミネラル、生活習慣病におススメのDHAも豊富、という点でも理にかなった夏ばて食材ともいえますが、漢方的なれっきとした理由があるのを忘れてはいけません。

それにはまず「土用」のルーツを知ることが肝心。土用とは、そもそも古代中国の「五行説」(ごぎょうせつ)がもとになっているのです。

五行説とは漢方や占い、政治の世界にまで影響を与えた、万物を5つに当てはめて表現する理論ですが、春・夏・秋・冬の四季だとひとつ足りませんね。そこで立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前18日間を土用としたのです。ちなみに四季を五行で表すと、春は木(もく)、夏は火(か)、秋は金(ごん)、冬は水(すい)となり、季節の境目が土(ど)となります。

本当は「うなぎ」じゃなくて「牛」だった?!

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季節の変わり目には必ず「土」を通ることから、土(=胃腸)をケアする重要性が伺えます
先ほど五行説から土用は生まれたといいましたが、ここでいう「土」がカラダに及ぼすポイントとしては「脾胃(消化器官の総称)を補う」こと。

つまり、年に4回ある季節の変わり目の土用には、胃腸から来るトラブルが多くなるので用心せよ、胃腸を丈夫にすると身体は元気になれる、ということなのですね。

そしてこの胃腸を補う薬膳食材としてうなぎ、枝豆、牛肉、かぼちゃ、しいたけ、鮭などが当てはまるのです。

その上、うなぎは身体にたまった余分な湿をとるとされ、湿による関節の痛みや神経痛にもよく、高温多湿の日本の夏の気候にも合っています。さらに、うなぎにかける山椒(詳細は「真夏のおススメ薬膳~トマト麻婆豆腐」を参照ください)もうなぎ独特の臭みをとるだけでなく、湿気を飛ばし、殺虫や食欲増進効果があり、相乗効果となって、夏ばてを防止してくれるわけですね。

ちなみに牛肉も胃腸を補う食材ですが、牛は仏教の影響から日本ではそのころ食用になっていなかったとか。そうでなければ今頃「土用は焼肉!」なんてことになっていたかもしれません。

なんだかんだいっても、やはり土用うなぎは美味しいですもの。今年は雑学つきでお召し上がりくださいませ!


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