マーケティング/マーケティング事例

PS3即完売も、なぜ損してまで売るの?(3ページ目)

ゲームファンには、待ちに待ったPS3が遂に発売されました。初回出荷10万台という希少価値が後押しして、各量販店ではPS3の争奪戦が……。ところが、ソニーにとってPS3は販売するほど赤字になる商品。一体その理由とは?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

2階建てマーケティングで注意することとは?

戦略構築は慎重に・・・
2階建てマーケティングは慎重に戦略を練らなければ事業に大打撃を与えることも……
ただ、このようなマーケティング戦略で注意しなければいけないのは、計画通りに戦略が推移しなければ事業に大きなダメージを与えるということ。2階建てマーケティングは、当初市場価値よりも大幅に安い商品やサービスを市場に投入するので、通常よりも多くの需要を喚起することになります。そこで拡大する赤字をうまく2階部分の商品やサービスの販売で賄えればいいのですが、もし賄えなければ赤字が拡大する一方のビジネスモデルになるので注意が必要です。つまり、いつにも増して2階建てマーケティングには入念な調査による予測と慎重な計画、不測の事態に対する事前の準備を欠かすことができないという訳です。

たとえば、2階建てマーケティングが難しい事情は、プリンターの例に見ることができます。プリンターメーカーは2階部分のインクの販売でハードウェア部分の損益を補う計画でしたが、他社からのインク補充製品やリサイクル製品が出てきました。これは、メーカーにとって大きな誤算であり、その対応にいま苦心しているのです。

このように2階建てマーケティングは、計画通りにいかなければリスクの大きいマーケティング戦略。ソニーのPS3の場合は果たして目論見通りに当初の赤字をソフトウェア部分で賄うことができるのでしょうか? 今後の展開に注目です。
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