文章:塚田 祐子(All About「フリーランス」旧ガイド)
企業と雇用契約ではなく、業務単位の契約を結んで仕事をする
インディペンデント・コントラクター(IC)
サラリーマンでも、事業家でもない、その働き方、生き方とは? |
| 本書は、アメリカのフリーエージェントの実態調査とも言えるもので、働き方の近未来予測として、日本でも話題になりました。 |
2002年4月、日本へ一冊の本が紹介されました。タイトルは、「
フリーエージェント社会の到来 “雇われない生き方”は何を変えるのか」。著者は、米副大統領の主席スピーチライターの職を捨てて、(二度と勤め人にならないと決意して)フリーエージェントとなった、
ダニエル・ピンク氏です。
1980年代以降、アメリカでは組織に属さないで仕事をする人々が増加し、この本は、そうした人々の生活と働き方の実態を、著者自身が調査してまとめたものです。本書の中に、
アメリカの労働人口の4人に1人が、雇われない働き方を選択、という驚くべき数字がありました。一方、企業社会のフリーエージェント化については、アメリカに遅れをとっている感のある日本でも、変化は同時に起こっていました。
プロフェッショナル化したビジネスマンの、“組織からの自律”です。企業と雇用契約を結んで従属的に仕事をするのではなく、自らの高度な専門性をもって、業務を請け負い、複数の企業と契約を結ぶ。そのスタイルは、「
インディペンデント・コントラクター(IC)」と呼ばれ、2003年には、日本に
NPO法人インディペンデント・コントラクター協会が設立されています。
今回、日本でインディペンデント・コントラクター(IC)の先駆けとなり、IC協会を立ち上げられた秋山進氏に、お話をお伺う機会をいただきました。ICという働き方や、ICを支援する協会の活動をご紹介します。
プロフィール
秋山 進(あきやま すすむ)
有限会社秋山進事務所 代表。
NPO法人インディペンデント・コントラクター協会 理事長。
1963年、奈良県生まれ。京都大学経済学部卒。株式会社リクルートへ入社後、事業・商品開発、戦略策定などの業務に従事。1998年からインディペンデント・コントラクターとして、エンターテイメント、人材関連の業界トップ企業において、CEO補佐を、その後、日米合弁のIT関連企業の経営企画担当執行役員として経営戦略の立案から実施までを行う。
現在は、複数企業の事業開発・マーケティング戦略の立案と実行、コンプライアンス教育、CEO補佐などを請け負っている。
著書に、「
転職後、最初の1年にやるべきこと─新しい組織で成功するための56の教え」、「
インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない第3の働き方」〔共著〕、「
社長!それは法律問題です」(共著)、「
戦略プロフェッショナル・ベーシックスキル」(共著)、「
愛社精神ってなに?」などがある。
独立・起業ではなく、組織から自律して働くのが
インディペンデント・コントラクターです
ガイド:企業に雇われない働き方には、独立してフリーランス(個人事業主)でやるか、起業して経営者になるか、最近は派遣会社に登録して、業務委託契約で仕事をするというのもあります。そうした中で、インディペンデント・コントラクター(IC)というのは?
秋山理事長: |
| インディペンデント・コントラクターとは、組織から自律して、組織人ではなく仕事人として働く。自らを「職人」と言い切られたところに、驚きを感じました。 |
一般的に言われるフリーランスや事業家とは、働き方が全然違います。クライアントとなる会社さんと、雇用契約の代わりに、期間限定の業務委託契約を結んで、基本的にはその会社のラインへ入って仕事を行います。
インディペンデントという言葉を日本語では“独立”と訳しますが、本来は、依存するもの(ディペンデント)が、依存する状態ではなくなる(インディペンデント)という意味になります。その前提には、
プロとしてどこへ行っても通用する能力が不可欠となります。
会社へ入社後、丁稚の時代を経て一人前となり、1人立ちしても食べていける力を持ったら、そこで、自分の意志で、あらためて会社と契約を結び仕事を遂行していく。
それまで雇用された企業に対してのみ提供してきたノウハウや知識、経験を、1企業との雇用関係という枠を超えて、複数の企業に提供していくことができます。これが、ICの働き方です。
例えば、経営コンサルタントは、会議室までしか入らないけれど、僕らは、オフィスに入ります。社内に席もありますし、名刺もいただきます。契約期間内は、その会社の人間として、対外的に動くことも多いです。そういった仕事をする会社が、1社ではなく、複数社あるということです。
ガイド:ICの生き方の定義に、“雇われない”だけでなく、“雇わない”とありますが、これは?
秋山理事長:基本的に職人なんです。企画マンとしての自分は、職人として生きていきたいのであって、スタッフを増やして、会社を大きくしていきたいとは思っていません。その時に応じてチームを作ることはありますが、ICの場合は、契約した会社のリソースである社員を使って仕事をしていきます。
勿論、ICという働き方をスタートに、将来は事業家へと考えている方もいると思いますが、IC協会メンバーのメインは、
難易度の高い仕事にチャレンジするところに喜びを感じる仕事人です。
ICとして活動するメリットは
会社の枠組みを超えて、自分のレベルアップが図れることです
ガイド:秋山理事長が、ICになられた切っ掛けというのは?
秋山理事長:大学卒業後、入社したリクルートには、何でもやらせてもらえる環境がありました。そこで、実績も残すことができました。しかし、その会社の業務範囲が明確にあるので、企画マンとしての自分のレベルアップを考えた時に、その枠の中でできることは限定されます。そして、入社後11年目にして、それをやり尽くしてしまった気がしたんです。
そのままでは、井の中の蛙になってしまうという危機感もあって、転職を決意。転職先で、一般社員の範疇を超えた業務の依頼を受けたため、個別契約を結びました。その(主体的な)契約の仕方を何と言ったらよいかと考えていた時に、アメリカでは「Independent Contractor(独立業務請負人)」と呼ばれていることを知り、後付でICという名前を付けました。言葉の意味や語感が、自分が持っていたイメージに、非常にしっくりときました。
ガイド:ICとして活動をスタートされて、その後はいかがでしたか?
秋山理事長:契約先の企業のフィールドは、海外マーケティング、製造、投資とあって、自分が考える深さと枠組みが一気に拡がりました。それは、それまで自分がデキルと自負していたレベルの比ではありませんでした。
1社との雇用関係だと、ともすれば先行きに行き詰まり感を覚えることがあり、モチベーションが下がることがあります。そういう面では、ICは、基本的にどこの会社とも仕事ができるため、
自身の職業レベルを高めるためには、非常にいいと思います。
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