起業・会社設立のノウハウ

起業に有利なのは大企業より中小企業出身者?!

大企業出身者、MBAホルダー、高学歴な人。起業して成功するのはそんな人だという世間のイメージがあるかもしれません。ただ、現実はそうではありません。そこには相関関係はないのです。会社員時代をどのように過ごせば起業後に成功できるか、考えたいと思います。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

起業コンサルタント(R)として、起業の支援をしながら、最近、考えさせられることがあります。それは、起業するまでのキャリアが起業の成否に非常に大きな影響を与えるということ。そして、大企業出身者が起業に失敗してしまう事例が目立つことです。ちょっと厳しい話になりますが、今回は、このことを考えたいと思います。

大企業出身者だったら成功するか?

起業前にどんな経験をしていれば成功しやすいか

起業前にどんな経験をしていれば成功しやすいか

「どんな人が起業に成功する人ですか?」

よく受ける質問です。
成功の定義にもいろいろありますが、少なくとも起業したあと、会社を5年維持できるかどうかが1つの最低条件だとしましょう。逆にいうと起業して2年、3年で息絶えてしまう会社の経営者は失敗してしまったといえるかと思います。

最近、目立つのは大手企業出身者がこの「失敗」に該当してしまうのが目立つこと。大企業出身者やMBAホルダー、高学歴な人。これらの人が起業するという世間のイメージ。そして、そうとも限らない現実。かなり乖離しているなぁと思うのです。

かくいうガイド自身は、財閥系の一部上場企業、中小企業、ベンチャー企業と全ての事業規模の会社を渡り歩いてから起業し、その後、多くの起業家の支援をしてきました。それ故、それぞれのいいところ、悪いところはよくわかっています。

だからこそ語れると思います。その経験、知見をもとに、失敗の原因、対策を考えていきます。

会社のブランドで仕事をしてきたか

まず、起業前に大手企業の「ブランド」で仕事をしてきた人は失敗します。起業をすれば、全く無名の会社。今まで通りに売れるなんて考えること自体、全くのナンセンス。なにせ、そこにはものすごい「落差」が存在しているからです。最低でも、最初にそこに気づく必要があります。

起業する前に、一旦リセットしましょう。裸一貫の自分に戻りましょう。上げ底部分を除いて考えましょう。何が残りましたか?信用してもらうには?信頼を一から築くには?そこからのスタートです。

では、会社員時代にやっておくべきことは何か。
それは「個人商店を張っているかのような気持ちで働け!」ということです。
お客様は会社に信用があるから発注しているのですか?それともあなただからですか?つまりは、あなたが転職や起業をしたら、お客様もついてきてくれますか?そこまでの気持ちで働きましょう。起業すれば、自分が商品なのですから。

1桁感覚が違うことに気づいているか

1桁感覚が違うことに気づくこと。これが大事です。大手企業にいたときの予算と同じ感覚で発注していたら、資本金を入れた銀行口座の残高なんて、あっという間にゼロになります。本当にあっという間ですよ。

ということは、赤字になります。赤字になれば、銀行からお金も貸してもらいずらくなります。資金がないから、何も手を打てなくなります。やがては廃業か倒産です。

厳しいようですが、それだったら、普通預金に入れておいたほうがまだ儲かるということになってしまいます。そうならぬよう、起業するときには、今までの金銭感覚もリセットする。必ず心がけましょう。

会社経営をリアルに経験しているか

極論ですが、例えば、10,000人いる会社で働いていたら、あなたの役割分担は全体の1/10,000です。10人の会社で働いていたら、あなたの役割分担は1/10です。そんな単純ではないにせよ、中小零細企業では、1人ひとりの果たす役割は大きいです。経営をリアルに広範囲に経験できるともいえます。

大企業で働くのなら、単なる歯車の1つではなく、できるだけ責任のある仕事をさせてもらえるよう努力しましょう。少なくとも、全体を把握しましょう。あなたの会社の資本金、売上、利益がいえますか?もし、いえないとしたら、リアル感が足りません。所詮「他人事」なのかもしれません。社長になったつもりで全責任を負う覚悟で取り組むことが必要です。

逃げグセをつけるな

10人の会社だとしたら、おそらくあなたの代わりをできる人はいません。有休なんて取れないかもしれません。起業したら、それどころではありません。全責任を負い、しばらくは休めない生活が待っています。もちろん有休なんてないし、逃げられません。骨折したって、病気になったって、代わりはいません。

会社員時代に、逃げグセをつけるのはやめましょう。経験していないことでも恐れずに引き受けましょう。他人が嫌がる仕事を受けましょう。一見、割に合わない泥仕事は実は宝の山です。なにせ、他人がやりたくないことなのですから、改善できるポイントはあるはず。ビジネスチャンスが眠っているのです。それを経験しておけるのです。むしろラッキーです。

つまりは、器用に「サッとよける」ことを覚えると、長い人生で考えて、実は損をしているということです。起業して、ちょっとうまくいかないからといって、すぐに逃げようとするのは大企業経験者に多いです。今まで上司なり、会社なり、誰かが尻ぬぐいしてくれたからでしょう。まずは、最低でも逃げないこと、踏ん張ること。これが大事です。

ブラック企業でもいいじゃないか

起業したいなら、待遇、ブランド、世間体などにこだわらず、できるだけ密度の濃い経験をさせてもらえる会社で働いておくことをオススメします。

つまりはブラック企業といわれるような会社で人一倍がんばって修業できれば、かなりのスピードで成長できるというわけです。「うちはブラック企業だから」なんて待遇に愚痴をいってる時点で起業なんてできません。

ただ、一点注意したいのは、同じブラック企業で働くとしても、誰でもできるような仕事だけで終えないということです。人一倍がんばって重い責任がのしかかるような「濃い経験」をしたいですね。
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