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ALS患者の痰吸引で意見交換(3ページ目)

2004年3月、日本ALS協会の主催により、ALS患者の痰吸引問題について、厚生労働省、患者家族、介護事業者などそれぞれの立場から報告する「吸引フォーラム」が開かれました。当日の様子を報告します。

執筆者:宮下 公美子

●日本看護協会→→「ALS患者の在宅療養支援3カ年計画」を策定
・「ALS患者の在宅療養支援3カ年計画」を策定
・具体的には、「コールセンター」の設置、厚生労働省の通知を開設した冊子を作成
・訪問看護従事者用のマニュアルを作成
・専門的呼吸器ケアの研修実施
・訪問看護の充実などを、都道府県看護協会と連携して推進

 政策企画室の室長が報告。非常に整った報告でしたが、失礼ながら、官僚的な血の通わない、机上の政策企画、報告という感じを受けました。日本看護協会に対しては後半の質疑応答で、質問者から厳しい指摘が出ていました。

●介護事業者→→実施した吸引研修などについても報告
・2003年10月に吸引研修会を実施。ALS患者家族、介護サービススタッフなど、50名が参加。神経科医師と看護師を講師に招いて、気管の特著と吸引ケアの要点についてのレクチャーを受け、グループに分かれて互いにやってみた。

・吸引は看護師でも始めは怖かったと言うが、勉強していけばある程度はできるのではないかと感じた。

・たまたま当事業所では、医師、看護師の協力が得られ、研修を行えたが、全く講師の宛のない事業者は、研修の実施も困難で、吸引の必要な利用者を受け入れにくいと思う。

・吸引は業務としては行えないため、報酬単価の扱いをどうするか悩む。

 この報告をした介護事業所の所長は、看護師有資格者。痰の吸引は、訓練を積めばある程度できるという感触を得たと言っていましたが、同時に、全く初心者のヘルパーを教育するには、3~4カ月かかるとも。また、筋ジストロフィーの人や頸椎損傷の人など、他にも痰の吸引が必要な利用者はいるが、こういう人たちにはどう対応すればいいのか? ALS患者だけOKで、他はダメ、というのはとても酷な気がする、と話していました。


フォーラムは、このあと休憩をはさんで質疑応答が行われました。非常に具体的で切迫した質問が多かったのが印象に残りました。質疑応答については、次回報告します。


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