土地探し

更新日:2005年08月01日

地盤で異なる地震の揺れかた

地震発生後に発表された震度と自分の感じた震度とが異なるのは、多くの人が経験していることでしょう。その原因となる地盤の違いを知って、住宅選びに役立てることも重要ですね。


地盤によって震度が違う!

気象庁では地震発生直後からさまざまなデータを公表していますが、今回の地震で震度5強を記録したのは東京都足立区伊興のみ。西新井消防署にある震度観測点です。そして、震度5弱が東京都江戸川区船堀、東京都大田区本羽田のほか、神奈川県横浜市の7地点、神奈川県川崎市の3地点、千葉県の6地点、埼玉県の5地点で、残る大半の震度観測点では震度4もしくは3以下となっています。

ビル街
地盤があまり良くないエリアに、地震による被害が集中することも。
震度5強を記録した東京都足立区伊興は、その後の調査で江戸時代初期まで流れていた旧利根川による洪水被害を受けた、 「後背湿地」 と呼ばれる軟弱地盤の地域であることがわかったようです (7月29日朝日新聞ほか) 。足立区内の他の震度観測点ではほとんどが震度4だったことから、最大震度を記録した地点ではかなり突出した揺れかたをしたことがうかがわれますね。

さらに、東京都千代田区大手町の気象庁が震度4だったのに対し、そこから皇居を挟んで直線距離で約1.8km離れた千代田区麹町 (たぶん麹町消防署に震度観測点があるものと思われます) では震度2でした。同様に東京都内のデータを見ても、同じ区内や市内、あるいは隣接する地域で全く異なる震度が観測されています。また、実際に私が地震発生時にいた場所の最寄りの観測点では震度4が観測されたものの、私自身は 「いつもよりちょっと大きいかな」 ぐらいにしか感じていませんでした。

このような震度の違いと地盤とがどう関係するのでしょうか。試しに国土地理院が発行している 「土地条件図」 で調べてみると、震度4だった千代田区大手町は 「人工地形の盛土地」 であり、震度2だった千代田区麹町は 「台地・段丘の上位面」 となっています。震度5強を記録した東京都足立区伊興も大手町と同様に 「人工地形の盛土地」 のようです。

また、東京 (江戸) の歴史に関する本を見ると、千代田区麹町あたりは武蔵野台地の東縁にあたり、大手町あたりはかつて海だったことも分かります。数百年前でも日比谷入江の湿地だった大手町あたりが整備されたのは江戸期以降のこと。長い歴史のなかで考えれば、埋め立てられてからまだ間もない土地だということもできるでしょう。同様に今回の地震で震度5強や5弱を記録した内陸部の地点も、その大半は縄文時代の頃には海だったと考えられているエリアです。

地盤の強度は海岸線が後退したり埋め立てたりしてからすぐに変わるものではなく、数千年から1万年を超えるような気の遠くなる時間の流れの中で徐々に変わっていくもの。人間のチカラで変えることはできないものなのでしょう。

しかし、地震そのものは避けることができなくても、住宅を選ぶ際に 「その地盤はどうか」 と少し意識を向けるだけで、地震による被害を軽減することができるのではないでしょうか。地盤が良好なエリアを選ぶことはもちろん、地盤があまり良くないエリアであれば建物の基礎対策を入念に行なったり、室内における家具の転倒防止対策や配置による怪我の予防策をより一層しっかりと講じたり、来たるべき “そのとき” に備えて万全の態勢を整えておきたいものです。


土地条件図活用のススメ

もちろん個々の土地における地盤の良し悪しは、土地条件図などの資料だけで決まるものではなく、正確に判断するためには現地での詳細な調査や、地盤・地質調査などが必要となります。しかし、住宅を購入する前にその地域の土地条件図などを確認するだけでも、それぞれの土地における地盤の傾向や性質、おおまかな地形を知るのには十分に役立つことでしょう。

土地条件図
国土地理院が刊行する土地条件図の一部分。地形によって地盤が変わる様子も分かる。
土地条件図は土地の高低や表層地質を記載したもので、縮尺は2万5千分の1。実際の地形を 「台地・段丘」 「斜面」 「変形地」 「人工地形」 「低地の一般面」 「低地の微高地」 など11種類に大分類したうえ、これをさらに50あまりの種別に色分けなどをして地図上に表示されています。全国の主な平野とその周辺地域について国土地理院から刊行されており、地元の図書館などで閲覧できる場合も多いでしょう。また、各地の大型書店で地元エリアのものを販売している場合もあるでしょうし、財団法人日本地図センターではオンライン販売なども行なっています。昭和50年代作成のものもあって現在の状況と異なる部分も若干ありますが、多くの土地条件図は1枚890円ですので、住宅探しをするエリアについて購入しておいても損はないはずです。

また、国土地理院のホームページのほか、ジオテック株式会社による 「GEODAS(ジオダス)」 (全国) や、関東地質調査業協会による 「大地の解体新書」 (関東エリア) でも閲覧することができますので、みなさんが今お住まいの地域がどのような地盤なのか、一度参考にしてみてください。



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平野 雅之

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