自家焙煎はお店の一角で
島田さんは東ティモールで生産されたコーヒー生豆を、お店のかたすみの小さな部屋で自ら焙煎しています。一般的には、焙煎後1日か2日おいてから2週間くらいまでが飲みごろと言われていますが、島田さんの焙煎スタイルでは1~3日までが風味のピークだそう。
つねに焙煎後3日以内に使いきるという新鮮なコーヒー豆は、コーノ式ドリッパーを使って一杯ずつていねいに抽出されます。
「誰にでも飲みやすい、飽きのこないすっきりした味」にこだわったそのコーヒーに出会って、「生まれて初めてコーヒーがおいしく飲めるようになりました」という女性の常連客も。気に入れば、100g単位で豆を購入することも可能です。
毎日2種類が用意されるスイーツは、フランスのお菓子屋さんで修業した帆足泰子さんの手作り。定番のチーズケーキは、なめらかなコクを重視して試作を重ねた自慢の一品です。
カフェを通して、理想の生き方に近づく
島田さんがフェアトレード商品を扱う動機となったのは、10年以上勤務した化学系の会社での体験。
「営業マンとして、決して嘘は言わないまでも誇張してセールストークをしなければならず、心苦しい思いを長年抱いていました。もっと正直に生きる方法はないだろうか、と思ったのです」
現在は「カフェを通して、少しずつ理想の生き方を手に入れている途中。まだまだ、お店も作っていく途上にあります」とのこと。こういうオーナーのお話をうかがうと、作り手の思いを人に伝える仕事がささやかながらできる幸運を再認識するものです。
「コーヒーとは自分にとってなにか? それについては当分、答えが出せません。ライフワークにしていきたいと思っています」