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元オリックス、中村紀洋の契約と事情(4ページ目)

オリックス・バファローズを自由契約となり、その後他球団からの正式なオファーもなく「浪人生活」を過ごす、中村紀洋。なぜ彼がこのような状態になってしまったのか、契約更改の裏にあった彼の「事情」を探る。

執筆者:コモエスタ 坂本

中村の入れるチーム

冒頭の問い、「中村を獲る国、リーグはあるか」ということだが、ひとつひとつ見ていこう。まず、海外のリーグだ。

韓国リーグは外国人枠が2名だが、既に全8球団とも補強が終了している。台湾リーグは2月1日にトライアウトが終了した(しかしまだ可能性がないわけではない)。メジャーリーグは2月半ばにキャンプがスタートし、そこに招聘されるにはビザの問題がある。この時点でメジャーからオファーがないので、メジャーキャンプ招待選手つきのマイナー契約とすれば、短期労働ビザを取得しなければならないが、このビザが降りるには時間がかかることが多い。

中南米に目を向けると、キューバ国内リーグはナショナルチームを作るためのリーグ戦という側面もあり、外国人の受け入れはない。可能性があって現実的なのは、メキシカンリーグだろう。

そしてそれ以外のリーグを考えると、はなはだ現実的ではない。イタリア・セリエAや中国リーグに加入した日本人選手は過去にもいるが、リーグのレベルは高くなく、年俸も低く、試合機会も少ない。かつてのホームラン王、中村紀洋には向いているとは言えないだろう。

国内では、四国アイランドリーグや北信越BCリーグなどの独立リーグがあるが、年俸面や年齢面が問題になる。基本的に若い人のためのチャレンジリーグなので、NPBで一流の実績ある選手を受け入れるためには不向きだろう。またそれは社会人野球(クラブチーム)も同様だ。

中村の今後は?

現状の中村サイドの態度を見るに、獲得を望む球団からのオファーを待っていると思われる。自分から売り込みに行くよりも、望まれて入団する方が高条件を得られることは間違いないので、ひたすらその状況を願っているのだろう。

確かにシーズンが始まれば、どこかの球団で強打の三塁手が必要な局面が訪れるかもしれない。そこで契約を得られれば幸運なのだが、しかしそれは確実なものではないし、下手をすれば一年を棒に振るというリスクを伴う。試合に出られないことによって実戦感覚が落ちることは、ベテランの域に達する年齢とすれば望ましくはない。

個人的には、台湾リーグ・メキシカンリーグ・米独立リーグあたりに売り込みに行き、年間を通したプレーをしてもらいたいと思う。中村サイドの希望する年俸では契約できないだろうが、そこで通年実績を作り、翌年の移籍を視野に入れた方がいいのではないかと思えるのだ。中村サイドは目先にこだわっており、またこだわらざるを得ない状況にあることは推測できる。しかし、自分の実力に自信があるのであれば、少し遠回りも必要なのではないか。一からの出直しをするために、今年は一歩引いて考えるべきだろう。
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