KATO SHOJIRO
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●加藤正二郎 1954年 東京都生まれ 1976年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業 1978年 同大学大学院美術研究科修了 アメリカ及びアジア各地で個展17回開催 安井賞展、安田火災美術財団奨励賞展に出品 アジア現代美術展、日本清興美術展で大賞受賞 神奈川県美術展で準大賞受賞 文化庁在外派遣芸術家としてタイ国立美術大学に1年間滞在 タイ国立美術館、タイ国立美術大学アートセンターに作品が所蔵されている →詳しい経歴 ●加藤正二郎ホームページ→http://www.kato.to ●Japanese/English |
個展「MIND FOREST」
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ナムトン・ギャラリーでの個展「MIND FOREST」(国際交流基金後援、2004年8月7~28日)を終えて、バンコクから帰国しました。バンコク日本文化センターでの個展(2001年)以来、タイでは5回目の個展でした。なぜ、私がバンコクを中心に活動しているのかといえば、理由は二つあります。一つは現代タイ・アート(タイの伝統絵画)の研究のためであり、もう一つはバンコクがアジアのアート・シーンへの入り口だからです。
今回、個展を主催したナムトン・ギャラリーはタイで最も重要な現代美術のギャラリーで、シンガポール、マレーシア、日本などアジア各国に強力なネットワークを持っています。このギャラリーで個展を開催することは、世界に向けて作品を発表することと同じ意味があると考えています。オープニングにはチャチャイ・ピュイピア、ワッサン・シティキット、カミン・ラーチャイプラサートなどアジアを代表するアーチストたちが訪れ、バンコク最大の英字紙「バンコク・ポスト」は一面を割いてこの展覧会を紹介しました。
なお、この会期中に中国の大学から招待状が届き、個展と日本画に関する講演会の開催のために2005年に訪中することが決定しました。
●その他の会場画像はこちら→http://www5f.biglobe.ne.jp/~j-art/page013.html
●ナムトン・ギャラリーのホームページ→http://www.rama9art.org/gallery/numthong/
制作の視点
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2002年に文化庁在外派遣芸術家として、タイ国立美術大学に1年間滞在しました。その滞在中にタイ国内に存在するクメール文明の遺跡に興味を持ち、さらにアンコールワットを見るためにカンボジアを訪れました。その時、偉大なクメールの遺跡を抱えた森が同時に凄惨なキリング・フィールドでもあった事実を知り、大きな衝撃を受けました。私は一晩中、煌々と森を照らす月を見上げながら、その場所に繰り広げられた人間の歴史について考えました。月光の下、森に眠る記憶たちは私の想像力によって再生し、人類の到達した数々の天国と地獄の姿を描き出すのでした。私にはその森が人間の歴史を映し出す瞑想の装置のように思えました。この経験の後、私は日本画の伝統的材料や技法の束縛から解放されて、想像力を重要な構成要素としたシンプルな絵画を創作するようになったのです。
「Mind Forest」シリーズのテーマは、人間がどこから来て、どこへ行こうとしているのかという問いかけです。その答えは我々が太古から受け継いだ記憶の中にあります。絵画という装置を通じて、見る人の遠い記憶と想像力を増幅し、人間の過去と未来を明らかにしたいと思います。世界に存在する言葉、文化、宗教、習慣の違いによる人間の対立を想像力で乗り超え、時代の先端を生きる者同士という連帯感で人々を結びつけることが、私の絵画の役割だと考えています。
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