多くの人が利用している通信カラオケ。これってカラオケマシンの中にヤマハやローランドのXG音源、GS音源が入っていて、MIDIで演奏されているってご存知でしょうか?
新曲も次々と入ってくるわけですが、別に新曲データをレコード会社が提供しているわけではありません。いわゆる打ち込み屋と呼ばれる人たちが、新曲がリリースされるや否や耳コピして、データ入力をしているのです。
もちろん、これだけのスピードで、しかも正確に再現できるワザはまさに職人ともいえるわけですが、彼らの多くは未だにPC-9801というNECの古いパソコンを使って入力しているのです。そして、OSはWindowsXPはおろか、Windows98でもWindows95でもなくMS-DOS。もう大昔のものであり、ここ5、6年でパソコンをはじめたユーザーだと見たことのないかもしれない、非常に愛想のない画面です(画面はWindows版をキャプチャしていますが、DOS版では黒地に白の文字)。
これだけ多くの高性能で新しいパソコンがある中、なぜ彼らはそんな古いマシンを使っているのでしょうか? もちろん、彼らも現代の文明に乗り遅れているというわけではありません。おそらく、そのデータ入力用とは別に最新のパソコンを持っていたりするのですが、MIDIデータの入力にはそれを使っているのです。
その最大の理由は、カモンミュージックという会社のレコンポーザというソフトを使うためです。このカモンミュージックというのは現在も存在する日本のシーケンスソフトメーカーであり、老舗中の老舗です。ただ、ここ4、5年は新製品を開発しておらず、私の知っていたほとんどのエンジニアや営業の人も会社を辞めてしまっている状態であり、最近は他社製品の販売を行うショップのような存在になってしまっています。
しかし、その一方で、昔のソフトが使い続けられているのです。