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秋が心にしみる『ノートに眠った願いごと』(3ページ目)

この秋イチオシの韓国映画は『ノートに眠った願いごと』。1995年6月29日に実際に起きた三豊百貨店の崩壊事故の悲劇をストーリーに組み込み、韓国公開時に話題になった、切なくも温かいラブストーリーです。

執筆者:桑畑 優香

さわやか全開! ユ・ジテの魅力

彼女の遺したノートを手に、ヒョヌは旅に出る
主人公のヒョヌを演じるのは、若手実力派のユ・ジテ。『オールド・ボーイ』(03)では復習の炎をクールに燃やす氷のような眼差しの青年を、クォン・サンウと共演した『美しき野獣』(05)では、仕事のために私生活を振り返らない敏腕刑事に扮すなど、このところ冷徹な役が続いていましたが、今回はソフトでさわやかな彼の魅力が全開!です。ミンジュへのプロポーズシーンの恥ずかしそうな笑顔や、10年後に彼女の面影を求めて旅を続ける中で見せる寂しそうな表情には、ファンならずとも心をくすぐられることでしょう。

また、本作は2006年の釜山国際映画祭・オープニング作品にも選ばれています。開幕式で舞台あいさつに立ったユ・ジテは、「映画少年だった子どものころから釜山国際映画祭に通っていました。そのオープニング作品に選ばれ、こうしてステージに立つことができるのは、本当に夢のようです」と語っていました。ユ・ジテにとっても思い入れの強い作品なのです。

また、監督はイ・ビョンホン主演『バンジージャンプする』で時を超えた愛を描き高い評価を得たキム・デスン。『ノートに眠った願いごと』でも、再び時を超えた愛情と絆をテーマにメガホンを取りました。

三豊百貨店崩壊の実話

ミンジュがデパートの地下のコーヒーショップでヒョヌを待っていたときに、突然起こる建物の崩壊。これは、1995年6月29日に起きた三豊百貨店の大惨事をベースにしています。死者502人、負傷者937人、行方不明者5人。事故後10日以上を経て、3人の生存者がいたことも当時大きな注目を浴びました。それから10年を経て制作された『ノートに残った願いごと』。韓国には今でも大切な人を失った記憶が鮮明に残る、ヒョヌのような人たちが多く存在すること、そして事実が持つ悲しみの重さを映画は強く感じさせます。

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