そうした中、プラチナ萬年筆が今年の初めに「プレピー」という万年筆を発売した。その価格はなんと210円。これはもう、ボールペンと同じくらいだ。
プラチナ萬年筆 プレピー・万年筆〈03〉
低価格でありながら、そこはさすが老舗万年筆メーカーだけあって、万年筆らしさをしっかりと盛り込んだものになっている。
今回はプラチナ萬年筆社にお邪魔して、そのこだわりをたっぷりとうかがってきた。
プラチナ萬年筆とカートリッジの深いかかわり
プレピーというシリーズは、もともとサインペン、蛍光マーカーが先に発売されていた。そのいずもれも使い捨てではなく、カートリッジインク式になっているという特徴をもっている。環境問題が叫ばれているという世の中の流れも、もちろんあるが、実は、プラチナ萬年筆とカートリッジインクとの間には深いかかわりがある。なにを隠そう、カートリッジ式の万年筆を初めて発売したのは、プラチナ萬年筆なのである。
カートリッジインクという得意分野を活かしたプレピーに、同社の十八番である万年筆を満を持して送り出してきたのである。
万年筆のインクのカラーバリエーションは全6色
細部にわたってしっかりと作りこまれている
カートリッジインクは、
プラチナ萬年筆の定番のものが使われている。
プラチナ萬年筆の定番のものが使われている。
プレピーを店頭で買って、まず行わなければならないのが、カートリッジインクをセットするということだ。ある程度の価格の万年筆であれば、なにも珍しいことではない。しかし、こうした低価格帯ではあまり見かけないように思う。
とりわけプラチナ社のカートリッジのセットは気持ちいいものがある。どういうことかと言うと、同社のカートリッジインクの先端にはボールベアリングがついているという特徴がある。
カートリッジは半透明になっているので、インクの色、残量が一目瞭然 | 先端には ボールベアリングが見える |
そのボールがある側をペン先ユニットにグイと差し込むと、カチッと玉が外れてカートリッジの中に入っていく。この独特な感触とボールがカートリッジにの中にコロンと転がっていくのが何とも楽しい。この様に、このボールはカートリッジのフタとして機能していることもあるが、もうひとつ全く別な役割もある。それはインクを最後まできれいに使い切るということだ。同社のカートリッジは比較的長いため、どうしてもカートリッジの中にインクが残ってしまうことがある。そこで中に入ったボールがカートリッジの中で、コロコロと転がることで、内壁についたインクをペン先に呼び込むことができるのだ。これはプラチナ萬年筆が世界に先駆けて開発した特許技術である。
カートリッジをグッと差し込むと、 | ボールベアリングが カートリッジの中に入り込む |
透明感あふれるスケルトンボディ全身総スケルトンボディになっているので、ボディ越しからでもカートリッジのインクの残量を確認することができる。同じくスケルトンになっているキャップに目を移してみると、面白いものがついているのに気づく。それは、キャップの中にも小さなキャップがあることだ。
キャップの気密性を高めるため
インナーキャップを備える
インナーキャップを備える
これは同社の高級万年筆にも採用されているインナーキャップと呼ばれるもの。ご存知のように、万年筆はペン先が空気に触れたままだと、乾燥してしまい書きづらくなってしまうことがある。万年筆にとっては、キャップの気密性はとても重要な問題だ。関心してしまったのは、インナーキャップの付け根にはバネがあり、ペン先をしっかりと密閉できるようになっている。こうしたことにより、書き出しから快適な筆記を楽しむことができる。
おそらくこの手の価格帯のでは、
こうしたインナーキャップがあるのは珍しいと思う。
こうしたインナーキャップがあるのは珍しいと思う。