輸入車/注目の輸入車試乗レポート

ターボとNAでは、こんなに違いがあった新型レガシィ レガシィのターボとNAの違い(6ページ目)

今回はターボのGTとNAの2.0Rを対比しながら、B4とツーリングワゴンの違い、またサーキットでの試乗や公道での試乗などまで含めてレポートする。

執筆者:河口 まなぶ

大きく分けると印象はNA系とターボ系で異なる。まずNA系はロールが非常にしなやかで過渡特性によどみがない。スッキリとロールし、確実に路面をとらえる。そしてリアがじんわりと踏ん張ってくれる。対してターボ系は初期のビビッドさを継続し、NA系よりもダイレクトな感じのロールで、過渡特性では淀みはないが時間の経過が短く感じられる。スッとロールして、ビシッと路面をとらえる。そして力強くリアが踏ん張る感じだ。

さらに細かな違いは、ステアリングのギア比の違いから受ける印象の差がある。ターボ系はクイックなレシオを持つために、操舵感そのものがシャープ。一方でNA系はターボ系に比べればスローなレシオを持つため、操舵感そのものがしっとりとしている。それが実際の反応と相まって、リアルな手応え感が伝わる。そこにタイヤという要素を加えるとさらに細かな違いが出る。ターボ系は17インチおよび18インチを採用するので、グリップも強くビビッドな感じがある。特に18インチではそれが顕著だ。ゆえにサイズが大きくなるに連れ鋭さは増す。一方NA系は16インチを採用するので、グリップ力こそ高くないが、逆にそれがいい具合のコンプライアンスとして感じられるので、リニア感はさらに高まるのだ。

タイトなワインディングでの18インチ装着車は、果たして過ぎた感じがある。タイヤの持つ力の強さとシャシーそのもののビビッドさ、さらにステアリングの鮮やかさで、あまりにも正確過ぎる感じを受ける。さらにターボはパワフルさもあるだけに、もはやこのタイトなワインディングでは持ちうる性能を持て余す感が強い。

一方で17インチは許容できるレベル。サイズダウンで出せる力が少し下がったことが功を奏している。そしてベストは16インチ。タイトな場所ではリニア感の高いものがしっくりとくる。適度に正確、適度に曖昧、それがちゃんとバランスしているから、過ぎた感じもない。まさにクルマなりの動きという表現が相応しいのだ。

ワゴンとセダンでは当然セダンの方が軽快感が高いが、例えワゴンでも「ワゴンであること」を感じる人は少ないはず。そのくらいに気持ち良い回頭性を備えている。

そしてそのレベルは、もはや欧州のFRにも匹敵するほどだったといえるのだ。

筑波サーキットでは、そういった部分が顕著に出てきて、たとえばB4はかなり回頭性が高い。ダンロップコーナーの先ではテールが自然と滑り出すほど。一方ツーリングワゴンの場合、同じ場所ではしっかりとした踏ん張りがあって頼もしさがある。

動力性能と運動性能の高さで順番をつけるとしたら、まずB4のGTスペックB、次にB4のGT、そしてツーリングワゴンのGTスペックB、次いでツーリングワゴンのGTとなる。NA系はターボ系に比べどうしても速さではかなわず、運動性能の限界値では劣るため、順番をつけると上に来ないが、動力性能と運動性能のバランスの良さや、実際体感する気持ちよさでみるとかなり高い位置にある。それと同時に快適性も高いため、車全体のバランスの良さの中ではやはりNA系が一番だといえるだろう。

今回のレガシィは、それこそどのモデルを選んでも不満がない、といえるだけの仕上がりを実現できたといえる。

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