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街乗りにも使えるミニバンは?(2ページ目)

レジャー用途で楽しみと長所が多いミニバンも、普段の街乗りには非効率。普段の用途にも使うならば生活レベルの視点でのチェックも必要である。

執筆者:川島 茂夫

ならば、タウンユースに不便のないぎりぎりまでサイズアップ、という考え方も出てくる。そこではプレマシーやストリーム、ディオンが俎上に上がってくる。いずれも取り回し感覚はコンパクトからミドルクラスのステーションワゴン程度と考えていい。ただし、着座位置が高くなることやウインドウの下端位置の地上高が高くなるため、車体周辺の死角が広くなる。また、ロングホイールベースに加えて、ドライバーが前輪に近いところに位置するため、後輪周りの車両感覚がつかみにくくなるのも難点である。その分はセダンやワゴンよりも多少注意深く運転する必要がある。

余談ながら、取り回しでは最小回転半径の大きさを気にする人も多いが、ロングホイールベースで最小回転半径を小さくした場合は内輪差(前輪に対して後輪が内側を通る)が大きくなる。内輪差が大きいクルマは狭い曲がり角や駐車場での取り回しにかなり影響する。ミニバンでよくリヤフェンダー周りに引っ掻き傷があるクルマを見かけるが、後輪周りの車両感覚のつかみにくさと内輪差の影響も大きいと思われる。

ストリームなど魅力的なクルマだが、居住性と積載性では高く評価できない。スパシオほどではないにしてもステーションワゴン型ミニバンのサードシートは狭く、収納性とスペース効率優先のシート設計を採用するため座り心地もよくない。このタイプは基本用途が4~5名のステーションワゴンと同じ。そこに多人数乗車への対応性を付加したもので、多人数乗車目的で選ぶと、意外と不便なものである。

多人数乗車に優れた1BOX型ミニバンでモビリオの上となれば、ステップワゴンやノア/ボクシー、セレナがあるわけだが、この中で最も小さなセレナの2Lハイルーフ仕様で全長4550mm全幅1695mmホイールベース2695mmである。平面寸法は1.8~2Lクラスのミドルセダンと同等だが、着座位置や車体周辺死角、車両感覚からすれば5ナンバーフルサイズクラスのセダンと同等、あるいはそれよりも大きく感じられるだろう。

しかも、キャビンが広々としているだけに、二人とか三人くらいでは寒々しいくらいスペースが余る。タウンユースでは非経済的なのも大きなハンデである。

結局のところ、多人数乗車を前提にすればモビリオが最も優れたミニバンということになるわけだ。

もちろん、6名以上で乗る機会が少ないとか、主な使用地域にことさらに狭い道がない、等々の諸条件でベターチョイスはその都度変わってくるわけだ。ただ、「ミニバンはレジャーだからキャビンが大きいほうがいい」と短絡して、普段の街乗りに使ったら不便とか経済性が悪いとか、困ったことにならないためにも、生活レベルの視点で細かくチェックしていくことが重要である。
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