F1/F1(フォーミュラ1)について

ロータスが15年ぶりにF1へ復帰!(3ページ目)

あの「ロータス」がF1に復帰する。マレーシアのビジネスマン、トニー・フェルナンデスが率いる新生「ロータス」。過去の歴史を振り返りながら、新生「ロータス」の魅力にも迫っていく。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

ロータスの名前を受け継ぐ男の経営手腕

コーリン・チャップマン率いた「ロータス」はF1でドライバーズチャンピオンに6回、コンストラクターズでは7回のチャンピオンに輝いたものの、82年にチャップマンが没してからは結局一度もチャンピオンを獲得することなく衰退の道を歩んで行った。特に90年代に入ってからは深刻な資金難に悩まされ、94年を最後に「チーム・ロータス」は消滅してしまった。

F1チームは消滅したが、「ロータス」のクルマは市販スポーツカーとして存在している。なぜかというと「ロータス」の自動車製造部門の「ロータス・カーズ」が94年にマレーシアの自動車メーカー「プロトン」によって買収され、「プロトン」傘下のメーカーとして新しいスポーツカーの製造、販売を続けているからである。
ロータス11
「ロータスF1レーシング」は「ロータス・カーズ」から名称の使用許諾を得て、「ロータス」の名前をF1に復活させた。そのF1チームのオーナーを務めるのが、今最もアジアで注目されるビジネスマンの1人、マレーシア人のトニー・フェルナンデスである。
トニー・フェルナンデス
【写真提供:LOTUS Racing】
トニー・フェルナンデスはセパンサーキットにも近い、マレーシア・クアラルンプールを拠点にアジア各地に路線をもつ航空会社「エア・アジア」のCEO(最高経営責任者)である。

「エア・アジア」は日本に未就航の航空会社であるが、アジア内での国際線ネットワークは凄まじい勢いで拡大しており、アジア各地の空港では頻繁に飛行機を見かける。「エア・アジア」は最近日本でもニュースで度々取り上げられるようになった「LCC(ローコストキャリア)=格安航空会社」のアジア代表とも言える航空会社である。
エアアジアの広告
機内サービスを簡素化することでコストを安く抑えることが「LCC」の特徴だが、同じ路線に何便も飛ばす多頻度運航も大きな特徴である。利用者の多い朝夕の便だけでなく、利用者の少ない昼間にもバンバン飛行機を飛ばしている。その利用者の少ない昼間の便は極端に航空券の値段が安く、クアラルンプール~シンガポールでは大手が片道15000円程度のところを「エア・アジア」なら3000円程度で利用することができる、まさに驚きの安さなのだ。

そんなに安くて採算に乗るのか?運行の安全に支障はないのか?日本の利用者なら心配してしまうかもしれないが、「LCC」は高額なリース料を払って借りている飛行機を利用者の多い時間まで空港に駐機させておくよりも、昼間に飛行機を飛ばし、安い料金設定にしてチケットを売り、収入を得る方が良い、という考え方で運行している。もちろん利用者の多い夕刻の便に変更したければ高額なチケットを買いなおさなくてはならず、需要と供給に合わせた細かい価格設定で採算を合わせる手法だ。

今後、経済が急速に発展し、ビジネスマンや観光客を含めた人の往来が活発になるアジア。マレーシアという一国、東南アジアというエリアだけに捉われず、アジア全体をマーケットとして見据える「エア・アジア」は今後もネットワークを広げ、アジア活性化の一端を担うことになるだろう。

しかしながら、トニー・フェルナンデスはただヤミクモにネットワークを広げ、自分の力を示そうとするバブリーな経営者とは一味違う。なかなか日本路線にも進出してこないことからも、それはよく分かる。空港使用料が高いという日本の特殊な事情もあるにせよ、日本路線は間違いなく収益にはプラスになるはずである。しかし、格安航空会社の定期国際線が存在しない日本では勇み足になる可能性もある。フェルナンデスはその辺をよく心得ている敏腕ビジネスマンなのである。

では、「ロータス」をF1チームとして再び復活させようとする、彼の理念はいったいどこにあるのだろう?
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます