ブラックから赤へのグラデーション
秋元さん:
テレビやパソコンなど比較的サイズの大きいプロダクトは、韓国メーカーのプロダクトの主流といえるブラック基調のものが依然として多く、ブラックの仕上げとして韓国メーカーから世界的な影響をもたらした強い光沢のピアノブラックがテレビだけでなく、プロジェクターなどにも用いられていたのが特徴でした。また小型のプロダクトでは、特にUSBメモリーなどで、逆にカラーリングのバリエーションを広げる日本に近いスタンスの製品が見られました。
松本:
例えば、流行色情報センター(JAFCA)は、主にファッションのマーケットを対象にトレンドカラー情報を提案しています。トレンドカラー情報を提案する1つの指針となるものとして、2005年に、日中韓がそれぞれ、ベーシックカラーを選定しています。韓国で選定されたベーシックカラーには、女性のファッションの売り上げにおいて、高いパーセンテージを獲得している赤が選定されています。韓国メーカーの製品に、このような赤は見受けられますか?
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秋元さん:
今回受賞したサムスンの液晶テレビには、画面まわりのフレームにまるでグラスに注がれた赤ワインのように見える仕上げを施したものがありました。単色の赤ではなく、ブラックから赤へのグラデーションによって、赤と黒の双方がお互いの色彩効果を高めている点が、日本製品には見られない意欲的な取り組みでした。これは韓国が、自ら世界に広めたピアノブラックの表現をすでに脱して、「赤のチカラ」を得ながら新しいブラックの表現に踏み出したものとして、新たな世界トレンドになるか注目されます。
松本:
日本で選定されたベーシックカラーは、白、黒、グレー、ブラウン、ベージュ、ネイビーに、淡いピンクが加わっています。プロダクトでは、このようなピンクはあまり見かけないように思いますが、この点について、どのようにお考えになりますか?
秋元さん:
ピンクは携帯電話のようにアクセサリー感覚で選ばれ、コスメティックな位置付けが強いプロダクトでは好まれますが、それ以外のプロダクトではユーザーの性別を限ってしまう傾向があるため選びにくい色です。その点では、重厚感を帯びたピンクゴールドが、比較的高価な腕時計や家電製品などにアクセントカラーに使われていることも、男性でも選びやすいピンクとしてアレンジされているものとして理解できます。
一時はトヨタの「ヴィッツ」をはじめ、自動車でも小型車を中心に淡いピンク系のカラーが多く採用されましたが、下取りの面で不利なこともあって最近は少なくなっているようです。
松本:
質感も含めて、印象的なカラーデザインをご紹介ください。
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