暑さとコロナ自粛で電気代が家計を圧迫
日本気象協会の3カ月予報によると、2021年(8月から10月)の気温は、平年並みか平年より高くなる日が多い見通しとのこと。ちなみに、ここで使われている「平年」の値が、2021年5月19日、10年ぶりに更新されました。これまでは、「1981~2010年の観測値による平年値」でしたが、更新後は「1991~2020年の観測値による平年値」となり、前回よりも全国的に0.1~0.5度ほど高くなったそうです。肌で感じてはいましたが、年々暑くなっているということが、数値にも表れていますね。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、一日中自宅で過ごすことも多く、エアコンをつける時間が増えて電気代がいつも以上にかかり、家計を圧迫する……という方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、お金のかからない暑さ対策をいくつか集めてみました。熱中症には十分に注意し、無理のない範囲で実施してみてください。
【インデックス】
「モワーッ」と不快な帰宅時の暑さ解消法
共働き夫婦の場合、日中は家を空けていることが多いので、一日の熱気が室内に溜まっています。帰宅して玄関の扉を開けると「モアーッ」とした熱気が押し寄せ、一日の疲れがさらに増します。暑さを一番不快に感じる瞬間です。たまらず、エアコンのスイッチに手を伸ばし、設定温度を一番低く設定し、「急冷」のボタンを押したくなります。 確かにその気持ちは分からないでもないのですが、「ちょっと待ってください!」熱気が部屋にこもったままエアコンをつけても、温度が下がるまで時間がかかるし、その分電気代も余計にかかります。
■まずは、窓を全開に!
夏場に密室にしていると外気温よりも室内の方が高くなっていることが多いので、帰ったらエアコンをつける前に、いったん窓を開けましょう。外気温まで部屋の温度を下げてからエアコンをつける方が、部屋の気温を早く下げることができます。
■扇風機や換気扇を活用!
夏は、窓を開けてもなかなか風が入ってこないので、外気を取り入れるのは難しいです。そこで、扇風機や換気扇を活用しましょう。扇風機は、部屋の空気を窓の外に向かって流れるように設置してつけます。それと、台所の換気扇も室内のこもった空気を強制的に排出するので効果があります。
■軽くシャワーを浴びて、汗を流してしまいましょう!
部屋が外気温と同じくらいに下がるまでには少し時間がかかります。そこで、その間にぬるめのお湯で簡単にシャワーを浴び、汗を流してしまいましょう。一度シャワーを浴びると、汗が引き、体感温度も一気に下がります。
シャワー後に、冷たいお茶を飲んだ頃には部屋の気温も下がっていることでしょう。そこからエアコンのスイッチを入れ、設定温度を26~28度にします。汗もすっかり引いて、体感温度も下がっている状態なので、26~28度の設定でも快適に過ごせるでしょう。
※環境省が推奨している夏の室温は、28度が目安とされています。外気温や部屋の状況、体調に合わせて、エアコンの設定温度を調整してください。
家に帰ってエアコンを「急冷」にしても、なかなか涼しくなりません。また、一度「急冷」で部屋を冷やし過ぎると、節電のために後から26~28度に温度設定を上げた時、「ちょっとまだ暑いかな……」と感じて、また温度設定を下げてしまいます。
「帰宅→エアコン→夕食→お風呂(シャワー)」という動作を「帰宅→お風呂(シャワー)→エアコン→夕食」のように、ちょっと発想を変えてみるだけで、部屋も早く快適温度になり、電気代の節約にもなるのです。
育児・家事等で帰宅後すぐにシャワーを浴びる時間が取れない場合は、汗拭きシートや冷たい水で濡らしたタオル等で、身体を拭くだけでも効果があります。
なかなか寝付けない、就寝時の暑さ解消法
夏の夜の暑さも悩ましいですね。一晩中エアコンをつけていることで、身体に負担がかかったり、電気代がかなりかかってしまうことが気になる方もいることでしょう。眠りにつく頃を見計らってオフタイマー設定をしていると、エアコンが止まった後蒸し暑くなって目が覚めてしまい、またエアコンをつけるという悪循環になってしまいます。 ■エアコンをつけずに空気の循環を熱帯夜の定義は、夕方から翌朝までの気温が摂氏25度以上の夜のことを指します。熱帯夜といっても、夜の外気温はエアコンの設定温度の26~28度を下回ることが多いので、普通に考えればエアコンをつけずに済むはずです(夜間の熱中症にはお気をつけください。暑い夜は、設定温度をやや高めにしたり、お休みモードにするなどして、エアコンを使うようにしましょう)。
ところがエアコンを使用しないと暑く感じるのは、室内の空気の対流がないことによるといわれています。例えば、30度の気温で0.5m/sの風が流れると、人は2度涼しく感じるそうです。外気を上手に取り入れ、室内に空気の流れを作れば、エアコンを使わなくても睡眠に快適な環境を作れるのです。
防犯上問題がなければ、窓を開け(この時、空気の通り道ができるように反対側の窓も開ける)、自然風が入らないのであれば扇風機などを使用し、室内に外気を取り込みます。
■氷枕や保冷剤で体感温度を低く
これは、ガイド平野の家でも毎年実践しているのですが、夜寝る時に氷枕や保冷剤を使用します。直接、氷枕にしないでタオルに巻いて布団の中に忍ばせておくだけでも、体感温度は随分下がります。朝起きても氷枕や保冷剤はまだ冷たいので、その効果は一晩続きます。
■体感温度を下げる素材の就寝具を
通気性の良い麻などの生地は、体感温度を下げることができます。最近は、冷感シーツなど、ひんやり感じる素材の寝具や服も増えてきましたので、寝巻きや就寝具などの素材も工夫しましょう。そうすれば、さらに快適に眠れると思います。
■除湿器を併用する
同じ温度でも、湿度が低いとより涼しく感じられます。ガイド平野家でも、リビング用と仕事部屋用に除湿器を購入し、今まで以上に快適になりました。価格は、上を見ればキリがありませんが、数千円台から、さまざまな除湿器がありますので、部屋の広さやニーズに合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか。
■エアコンの点検も忘れずに
毎日フル稼働のエアコン。フィルターも2週間に1度など、掃除をすると効率よく稼働します。「エアコンの効きが悪いかな?」と思ったら、フィルターを手入れしてみましょう。また、室外機の周辺を植木や物でふさがないようにしたり、直射日光を防ぐ室外機カバーをしたりすると、省エネ効果が高まるそうです。お心当たりがある方は、試してみてはいかがでしょうか。
エアコンに頼らない暑さ解消法とは?
普段から皆さんも、いろいろな暑さ対策をしていると思いますが、ガイド平野家で実践していること、友人から聞いた暑さ対策などをここで一挙にご紹介します。■薄着になって過ごす
クーラーをガンガンかけて厚着をするのが気持ち良い、という人もいるそうですが、基本は薄着になって過ごすことです。通気性の良いデザインや、清涼素材を使った服を選んで着るとよいでしょう。
■保冷剤や冷たいタオルを使用する
ケーキなどを買ったときについてくる保冷剤は、夏場は特に重宝します。保冷剤をタオルに入れて、それを首に巻くと、クーラーなしで過ごすことができます。最近は、水に浸したスカーフを首に巻くという夏の暑さ対策グッズ(クールスカーフなど)も販売されています。
一見シンプルな細いスカーフなのですが、水につけると吸収し、プルプルの状態になります。散歩や家事をしている間も、首筋がひんやりしてとてもおすすめです。
■霧吹きを使用する
これは昔、私の祖母の家でやっていたことですが、霧吹きで水を身体に吹きかけ、扇風機にあたると、気化熱で涼しく感じるというものです。また、扇風機に霧吹きをかけ、霧混じりの風を身体に当てると一層涼しさを感じます。霧吹きに入れる水の代わりにアロマウォーターなどを使うと、清涼感が一層増します。
最近は、ミストファンと呼ばれる細かい水の粒子を空気中に飛ばす扇風機が売られています。水の粒子が蒸発する時の気化熱による冷却効果で、体感温度を下げるというものです。霧吹き+扇風機の現代版といえます。
■お風呂で汗を流す
湯船にお湯を溜めておいて、小まめにお風呂に入って汗を流すという方法もあります。湯船にミント系の精油を入れると清涼感が一層増します。
■庭やベランダに打ち水をする
庭やベランダに打ち水をすると気化熱で温度を下げる効果があります。お風呂の残り湯を使えば余計なお金もかかりません。打ち水は、日中の暑い時に行うよりは朝夕の涼しい時に行う方が効果を持続させることができます。
■窓際やベランダからの熱を防ぐ
窓際やベランダにすだれを吊るし、日光の直射を防ぐと日中の部屋の温度の上昇を防ぐことができます。日中、エアコンをつけて部屋で過ごす時は、雨戸を閉めておくと、エアコンの効率も良くなります。
最近は、「オーニング」と呼ばれるカンバス地などでできた日よけが注目されています。日光の直射を避けるために、窓や出入り口、壁などに取り付けられます。 ガイド平野家では、窓の内側に遮熱フィルムを貼ったり、遮熱カーテンを取り付けたりしています。付けた後は、エアコンの効きがグンと良くなりました。
■観葉植物やブルー系のインテリアで清涼感を出す
窓際に観葉植物を置いたり、インテリアをブルー系でそろえると、視覚的に清涼感を感じることができます。暖色系と寒色系の色の視覚による体感温度は、約3度も違うそうです。インテリアで清涼感を演出するというのも一つの方法ですね。
窓際に置いた観葉植物は、すだれの代わりにグリーンカーテンにもなるので一石二鳥です。ベランダでプランター菜園ができる方は、野菜の収穫もできて、一石三鳥ですね!
■風鈴を吊るす
最近はあまり耳にすることがなくなりましたが、風鈴を吊るすという方法もあります。風鈴の音には「1/fゆらぎ」という音が含まれていて、脳内にα波が発生してリラックス効果があるそうです。小川のせせらぎや小鳥のさえずりにも「ゆらぎ」という音が含まれていて同様にリラックス効果があるそうです。
CDやYouTubeなどでも自然の効果音を集めたものがありますので、「波」「せせらぎ」「風鈴」などを検索してみてはいかがでしょうか。
■早起きをして用事を済ます
夏場は、午前4時過ぎから明るくなりますので、朝の涼しいうちから行動して用事を済ませてしまうという方法もあります。涼しいうちから作業を開始するとはかどります。恥ずかしながら、これはガイド平野が何度も実践しようとして、挫折していることです。
昔ながらの暑さ対策は、家計に優しいエコライフ
夏の暑さ解消法について、いくつか見てきました。「打ち水」「すだれ」「風鈴」などは、日本で古くから行われてきた風習です。エアコンという便利な道具ができてから、その日本の風習が少し忘れられてしまっているような気がします。「暑ければエアコンをつける」ではなく、「暑ければまず暑さ対策を、それでも駄目ならエアコンを」といった感じで、まず自分たちでできることを行った上で、あとは道具をうまく活用すればよいのではないかと思います。
■エアコンを使う目安を決めよう
気温が30度を下回らない超熱帯夜(スーパー熱帯夜)という日があったり、熱帯夜が30日続いたりと、年々暑い夜が増えてきました。室内で熱中症になるケースもあるので、エアコンも必要に応じて使う必要があります。
エアコンを使う時は、扇風機などを併用し、可能な範囲で設定温度を上げてみましょう。熱帯夜でどうしても一晩中エアコンが必要という場合は、ご家族みんなで1つの部屋で眠るという方法もアリだと思います。
エアコンを使わないで済む時にまで、使うことに慣れてしまわないよう、室内に温度・湿度計を置き、感覚ではなく数字でエアコンを使う目安を決めることをおすすめします。
エアコンの使用を減らすことは、CO2削減にもなりますし、室外機からの排熱も減らし、温暖化防止にもつながります。その上、電気代節約にもつながるので家計にも優しいですね。昔から行われてきた暑さ対策=生活の知恵は、家計に優しいエコライフといえます。エアコンだけに頼るのではなく、生活の知恵を見直して、暑さと物価上昇を乗り越えましょう! 工夫してお金をかけない暑さ対策をご紹介しましたが、熱中症には十分に注意し、無理のない範囲で実施してくださいね。
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