入荷後スグに売り切れの人気
脂肪分が少ないヘルシーなリス肉。味はラムと鴨の中間のような甘い味 |
今年はじめからリス肉を売り始めたイングランド北部ノーサンバーランド州にある肉屋では、「一日に60匹ほど仕入れるが、毎日完売だよ」と人気を語る。ちなみに一匹あたりのお値段は、3.50ポンド(約600円/2008年11月6日現在)程度。大きめのリスなら1.5人前の量がとれるという。
しっとりと甘いリスの味
「ウケ狙いとか話題作りのためじゃなく、本当に美味しいんです」――リス料理を出しているデボン州のレストラン、オッタートン・ミルの料理長エド・チェスター氏は力説する。味は、ラム肉と鴨肉の中間のような甘い味わい。人によってはイノシシに似ているという意見も。いずれにしても木の実を食べて育つため、しっとりと甘いのだそうだ。そして脂肪分が低く、野生のものを新鮮な状態で調理するため、ヘルシーなのだという。
リス肉が食用とされるワケは
リスを食用にするのは、実は珍しいことではなく、北米では昔から普通に食べられている。しかし、ここイギリスで最近「リス肉=正しい肉」と言われる理由は、食用にされているリスの種類にある。イギリスで食用となっているのは、北米を起源とするハイイロリスだ。実はこのハイイロリス、イギリスでは「害獣」扱い。19世紀にこの種が上陸して以来、イギリスの在来種であるアカリスの生態系が侵され、今や絶滅の危機に瀕している。しかも、時には子供やペットを襲うこともあり、小さく可愛いフリをしつつ、結構やっかいな動物なのだ。「我らがアカリスを守れ!」という大義名分のもと、美味しくてヘルシーなリス肉に、イギリス人は魅せられはじめているのである。
「煮込み」と「パイ」がオススメ
調理方法は、基本的に他の狩猟肉と同じ。コーンウォール州にあるヴァイナーズ・バーのシェフ、ケヴィン・ヴァイナー氏は、「地元産のクリームとウォルナッツを使ったフリカッセ(クリーム煮込み)が特に美味しい」と語る。他にはスパイスを効かせたフライやグリル、シチューもオススメだ。「でも、一番人気はリス肉を使ったコーニッシュ・パスティーだよ」――リス肉とジャガイモ、タマネギ、ベーコンに、ガリッと黒コショウを効かせたミートパイだ。
今度コーンウォールに行くことがあったら、ぜひ、ビールのお供にリス肉のパスティーをお試しあれ。
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