ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

Star Talk Vol.31 湖月わたる、「夢中」を重ねて(4ページ目)

ブロードウェイで歴代2位の上演記録を誇る人気ミュージカル『シカゴ』。いよいよ始まったその来日公演で、シャーロット・ケイト・フォックスさん(『マッサン』)ともども話題を集めているのが、スペシャル・マチネでヴェルマ役を演じる湖月わたるさんです。大きな夢がついに叶う瞬間を前に、高鳴る胸の内、そしてこれまでの歩みをうかがいました!*観劇レポートを掲載しました!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

「野球少女」から「宝塚命!少女」へ

2015年『Super Gift!』

2015年『Super Gift!』

――湖月さんは朗らかな笑顔がとても素敵ですね。のびのび育たれたのかなと拝察しますが、小さい時はどんなお子さんだったのですか?

「活発でしたね。二人の兄にくっついて野球をしに行ったりして、小さい時は野球の選手になりたいと思っていました。女の子とおままごとするタイプではなかったと思います(笑)」

――そんなアクティブな湖月さんが芸事に目覚めたのは?

「ある時点で、女の子は野球選手になれないと知りまして。小学1年生の時に公民館でリトミック体操に出会い、始めました。4年生の2学期に埼玉に引っ越して来たら近所でリトミックができるところがなく、そんな折にTVで宝塚を観て、すぐに夢中になりました。男役さんがかっこいいなあ、と。(娘役の)輪っかのドレスを着たいとは全く思いませんでした(笑)。5年生になって初めて生の宝塚の舞台を観て、めざすならまずはバレエを習わなきゃと思って、家から3つくらい先の駅の近くにあった学校に、週に5日通って、受験前は片道2時間以上かけて宝塚受験校に通っていました。小学校の卒業アルバムには“清く正しく美しく”と書いていて、卒業から20年経って送られてきたタイムカプセルにも、当時の私の字で“宝塚のトップになる!”と書いてありました。完全に宝塚にハマってましたね(笑)」

――一筋に夢を追い、音楽学校入学、宝塚歌劇団入団、そしてトップ就任と見事に夢を具現化されました。振り返って、良かったと実感されますか?

「私は中学を卒業してすぐ、宝塚に入団しました。同期のなかでは一番年下でしたし、子供のまま憧れの宝塚の世界に入ったので、疑うことも迷うこともなく、大好きな宝塚の舞台に立つためならどんな我慢もできると、ひたすら頑張っていたように思います。子供のような私を励ましてくれた同期生や支えてくれる下級生、導いて下さる上級生の皆様、先生方、そしてたくさんの生徒の中から私を選んで応援して下さったお客様が、トップになるまでの道を作ってくださり、本当に幸せな気持ちで卒業することができました。

そんな夢のような宝塚の世界から退団したら、舞台に興味がなくなってしまうのではないかと思いましたが、有難いことに新たな挑戦の機会をいただけ、私は舞台と言う世界が心から好きなのだと改めて感じます」

――退団当初はどういう方向性を考えていらしたのですか?
2014年『セレブレーション100!宝塚~この愛よ永遠に~』撮影:花井智子

2014年『セレブレーション100!宝塚~この愛よ永遠に~』撮影:花井智子

「それが、何もなかったんですよね。一つには、中学卒業で宝塚音楽学校に受かったときに、父と“高校卒業の資格を取る”という約束をしていたのがなかなか果たせなかったので、まずはそれを果たしたいという気持ちがありました。“女優”としてやっていけるのかどうかも正直、『くたばれ!~』の初日が開くまで自信を持てなかったんです。一作一作取り組んで、目の前の作品に夢中になっていく中で10年が経ったと言いますか。まさか昨年、宝塚100周年の記念公演で先輩方と宝塚の曲を使って踊ったり、再び男性的な役をやることになろうとは、思ってもみませんでした。これから先も全く予想がつかないですね。出会う作品によって道が開けていくのかなと思います」

――高校資格を取るだけでなく、大学でも学ばれたのですね。

「まずは高校卒業の資格ですが、私は中卒で8、9科目合格しなくてはいけなくて、半年に一回しかない試験を退団から1週間後に受けました。二つ残ってしまった科目があったので、予備校に通い、数学や古文を勉強して半年後に合格しました。放送大学で学んだのは、父が放送大学の大学院で学んでいまして、“仕事をしながら学ぶなら放送大学が良いのではないか”と勧めてくれまして。また父が「今日は教授に会うんだ」と言っていつも楽しそうにしていて、何がそんなに楽しいんだろうと思ったんです。

5年間学ばせていただきましたが、全国どこの教室も利用できたので、ツアー先で試験勉強したり、同じ教科の生徒の皆さんと面接授業で一緒に学んだり、それも自分にとって大きな経験でした。大学では好きな科目を選べたので、世界のおいしい料理をちょっとずつつまみ食いするみたいに広く学ぶことができましたし、芸名ではなく本名の自分でいられる環境も新鮮で、楽しかったです」

*次頁では退団後の歩み、そして今後のビジョンについて伺いました。
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