インテリアコーディネート/インテリアコーディネートの基本

どんな間取りを選ぶ? タイプ別賃貸住宅の楽しみ方

賃貸住宅で新生活をはじめるときには間取りの確認、そして賃料や広さはもちろん、インテリアの設えや収納の多さが決め手になります。メゾネット、テラスハウス、フラット、一人暮らしのワンルーム・1K、さらに賃貸の一戸建てといった、タイプ別に間取り図の見方を解説します。

喜入 時生

執筆者:喜入 時生

インテリア・建築デザインガイド

メゾネットタイプの賃貸住宅が人気です

 前回、一人暮らしのインテリアは「住みながら考える」で紹介した、東横線・綱島に建つ「カノン」という集合住宅は、いわゆる「メゾネットタイプ」と呼ばれるものでした。

■メゾネットタイプの間取り図の例
カノン

綱島にあるメゾネットタイプの賃貸住宅「カノン」の間取り図。他の9部屋は、テーマごとにすべて違う間取りになっています。

メゾネットタイプとは、複層住戸とも呼ばれ、ひとつの住宅の中に階段があって2層(2フロア)以上で構成されたもの。また、日本では少ないですが3層の「トリプレットタイプ」というものもあります。
見上げ

吹き抜けのあるメゾネット「カノン」の1室。左に見える天窓から太陽光が燦燦とふりそそいきて、縦方向への開放感にあふれています。

メゾネットタイプは、縦方向に立体的に使うことができるため、一戸建のような感覚で住むことができます。そしてこの形式の賃貸住宅は「上階に住む人の騒音が聞こえない」という大きなメリットがあります。

実際に住人の方に聞いたところ、「以前のアパートでは上に住んでいる人の足音とかがうるさかったのでメゾネットでの生活に満足しています」と大好評でした。

さらに上下の空間で「気持ちのスイッチを切り替えたい」という人に向いています。たとえば、趣味や仕事などの空間と生活空間を分けるといったことも可能。

こうしたことが、メゾネットタイプ人気の理由といえるでしょう。
断面図

メゾネットスタイルの賃貸住宅「カノン」の断面イメージ図。縦方向への広がり、バルコニー、スキップフロアなど立体的な構成など、メゾネット形式の特徴がよく分かりますね。

また、このタイプの中でも最近、増えてきた「ペット可」の賃貸物件。「階段の上り下りが猫の運動になる」という理由でメゾネット賃貸住宅を選択する人もいるようです。

物件選びでは「配置計画」にも注目!

敷地(土地)の中での建物の位置や方位、そして道路との関係などを計画することを、建築設計では「配置計画」と言います。

この「配置」を図にしたものが「配置図」と呼ばれるもの。設計では「平面図」「立面図」「断面図」とともに、建築計画上、とても重要な設計図面です。

■建物の配置を表したドローイング
俯瞰図

カノンの全体を俯瞰した図。土地に対する建物の位置関係や植栽、共有部の通路など余裕のある計画であることがよく分かります。

賃貸物件の情報で、こうした配置計画まで見ることができることは少ないかもしれません。ですが現地を訪れるときには、「建物が敷地に対してどうように“配置”されているか」に注目してください。

配置計画は「住み心地」を決定する重要なもの。周辺環境への配慮、そして東西南北など建物の向きの違いで風や光の入り方も変化します。

たとえば、下のカノンの配置図を例にすると、サッと街や職場に外出したい人は道路に近い401や402号室、共有部分の緑を楽しみたい場合は奥の202や103号室などが向いているといえるでしょう。
配置図面

配置図。変形の敷地のなかに4棟10戸の部屋が入ったこのプロジェクトの部屋の入り口やアプローチなどが分かります。このカノンの場合は、メゾネットタイプというより英語の「デュプレックス (duplex)」もしくは、「テラスハウス」と呼んだほうが、より実際に近い感じがします。

配置計画には「人々が心地よく暮らせるため」の建物への設計者の想いが込められています。「敷地内の間取り図」である配置計画に注目すると、賃貸物件の見方も変わってくるでしょう。

次のページでは「フラットタイプ」を紹介します

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