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金沢で[谷口吉郎・谷口吉生]展を開催中

現在、金沢市の金沢市民芸術村で、[谷口吉郎・谷口吉生]展が開催中です。日本の近現代を代表する建築家親子の業績を一覧できるまたとない機会ですので、ぜひお出かけ下さい。

執筆者:川畑 博哉

現在、石川県金沢市の金沢市民芸術村で、[谷口吉郎・谷口吉生]展----金沢が育んだ二人の建築家 が開催中です。
歴史と現代が交錯する金沢が生んだ、二人の建築家の親子二代の仕事を通して、日本の近現代建築が切り拓いた独自の地平と、世界へと通じる広がりを紹介しています。
二人が切り拓いた豊かな建築の世界を通して、建築とは何を実現することなのか、その集積としてのより良い都市を築くためには何が大切なのか。金沢という町とのつながりを含め、広く建築文化と都市環境の意味について考える絶好の機会となるでしょう。
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[谷口吉郎・谷口吉生]展----金沢が育んだ二人の建築家
会期:2014年11月15日[土]--12月21日[日]
開館:11:00-18:00 (金・土のみ20:00まで/入館は30分前まで)※会期中無休
料金:一般500円(団体20名以上400円)/65歳以上 400円/高校生以下無料/
身体障害者手帳等をご呈示の方及び付添者1名まで無料
会場:金沢市民芸術村 石川県金沢市大和町1-1
TEL=076-265-3800 URL=http://www.artvillage.gr.jp/
お問い合わせ:谷口建築展実行委員会事務局
TEL=076-220-2031 URL=http://www.taniguchi-kanazawa.jp/

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谷口吉郎(1904-1979)
金沢市の九谷焼の窯元に生まれ、東京帝国大学で建築を学んだ後、東京工業大学で1930年から35年にわたって後進を指導。[千鳥ヶ淵戦没者墓苑]、[ホテルオークラメインロビー]、[東宮御所]、[帝国劇場]、[東京国立博物館東洋館]、[東京国立近代美術館]などを設計。日本建築学会賞、毎日出版文化賞、日本芸術院賞など多数受賞。[博物館明治村]の初代館長も務める。日本芸術院会員、東京工業大学名誉教授、金沢市名誉市民第一号。享年74。勲一等瑞宝章授章。
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谷口吉生(1937-)
谷口吉郎の長男として東京で生まれる。太平洋戦争下の幼少期の3年間を金沢に暮らす。慶應義塾大学工学部機械工学科を卒業した後、ハーバード大学で建築を学ぶ。帰国後、丹下健三の下で建築の実務を経験し1979年に独立、谷口建築設計研究所を主宰。1980年の[資生堂アートハウス]での日本建築学会賞を始め、吉田五十八賞、日本芸術院賞、毎日芸術賞、村野藤吾賞、高松宮殿下記念世界文化賞など多数受賞。1997年に[ニューヨーク近代美術館改装]の設計者として選定される。2003年から2010年まで東京藝術大学にて客員教授を務める。日本芸術院会員、英国王立建築家協会名誉会員。

金沢市内に残る谷口親子の合作

「金沢市民芸術村」は、金沢市の北西のJR北陸本線と犀川が交わる位置にあった旧大和紡績金沢工場の広大な跡地をリノベーションして、1996年にオープンした金沢市民のための演劇・音楽・美術活動等の創作の場です。
この「マルチ工房」と「ドラマ工房」の大スペースが本展の会場になっています。
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本展の会場入口。右が「マルチ工房」、奥が「ドラマ工房」。

初めの展示室には、谷口吉郎の8つの代表作の写真と記念碑、金沢市内に残る谷口親子の作品とゆかりの地が壁面に展示され、向かい合うように谷口吉生の代表作10点の模型と写真が並んでいます。
また、二人の合作となった[金沢市立図書館(1978年)](現・金沢市立玉川図書館)での、重厚な赤煉瓦の様式建築と透明感のある現代建築との対比も見どころのひとつです。
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天窓から光が入る明るい会場。手前は[金沢市立図書館(1978)]の模型。左は金沢市内に残る谷口親子の作品とゆかりの地の展示。

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新旧の建物の調和が計られた[金沢市立図書館]。


華麗な抒情性を湛える谷口吉郎の静的な建築

次の展示室に続く廊下は、二人の建築世界をビデオで紹介する映像コーナー。ここを抜けると「ドラマ工房」の大空間が待っています。内部は大きな白い壁により2室に分けられています。
谷口吉郎の展示空間には、モノクロの大型写真と模型により14の代表作が紹介されています。初期の[藤村記念堂(1947年)]や1960年代の[東宮御所(1960年)]、[ホテルオークラ(1962年)]に代表されるように、伝統的な木造の文化に根差した、清らかでありつつもどこか華麗な抒情性を湛える、静的な建築世界が展開されています。
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整然と並ぶ谷口吉郎のモノクロの大型写真と模型。手前は[東京国立近代美術館(1969)]の石膏模型。

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竣工後約60年になる初期の大プロジェクト[秩父セメント第二工場(1956)]。

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[帝国劇場(1966)]の模型と大劇場の写真。


環境との対話から生まれる谷口吉生の動的な建築

谷口吉生は、[土門拳記念館(1983年)]や[丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(1991年)]、[豊田市美術館(1995年)]などで、現代的な素材や構法を用いて、より環境との関係性を重視した動的な建築を造り上げてきました。
さらに2004年のアメリカの[ニューヨーク近代美術館]で、世界へと通じる普遍的な建築美学を獲得したのです。そして2011年に、これまでの集大成であり新たな挑戦ともいえる[鈴木大拙館]を、金沢の地に完成させています。この機会に本展と合わせて、研ぎすまされた静謐な建築世界を体験して下さい。
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天井高約8mの展示空間。右は[ニューヨーク近代美術館(2004)]の1/96の大型模型。
 

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通称[クリスタルビュー]と呼ばれる[葛西臨海公園展望広場レストハウス(1995)]。

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設計に16年を要し、今年オープンした[京都国立博物館 平成知新館]。


谷口氏と岡田氏による展示解説

本展の関連イベントとして、本展入場者を対象に谷口吉生氏と岡田一樹氏(谷口建築設計研究所所員)による30分間の展示解説を行います。各日共、11時と14時の2回、先着20名限定です。
谷口吉生氏:11月22日[土]、12月20日[土]
岡田一樹氏:11月29日[土]、12月6日[土]、12月13日[土]
谷口建築の魅力をより詳しく知りたいという方は、ぜひご参加下さい。
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熱心に聴き入る参加者に自作を解説する谷口吉生氏。(11月16日)


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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