高校生等奨学給付金制度とは?
「高校生等奨学給付金制度」は、生活保護世帯や住民税非課税世帯の高校生に対して返済不要の給付金を支給し、低所得世帯の学費を支援する制度です。高校時代は家計の負担が重くなります
2010年度に導入された「高校無償化制度」(厳密には「高等学校等就学支援金制度」)に、2014年度から所得制限が設けられました。これによって浮いた税金をベースに創設されたのが、「高校生等奨学給付金制度」です。
これは、低所得世帯(非課税世帯)が授業料以外の教育費(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等)に充てるために、世帯構成等に応じて給付されるもので、つまりは、返さなくていい奨学金です。
低所得層ほどより負担が重くなるのが教育費ですが、給付金を支給することで高校生の修学をサポートするのが目的です。
元々はそれぞれの自治体ごとに高校時代の助成制度などがありましたが、これにスタンダードとなる支給基準(=国の補助基準)が設けられた形でもあります。
これによって、高校時代の支援の仕組みは、「高等学校等就学支援金制度」+「高校生等奨学給付金制度」で整理されました。さらには、自治体独自で「私立高校等授業料軽減助成」などを給付している場合もあります。
なお、「高校生等奨学給付金制度」を実施しているのはあくまでも各自治体(都道府県)ですので、国の基準通りでない場合もあります。より手厚くなっていることもありますので、住んでいる自治体で確認が必要です。
*コロナの影響をふまえ、2020年度に続き2021年度も、家計が急変した世帯に対する支援や、一部給付の早期化、オンライン学習にかかる通信費相当の加算支給が実施されています(下表)。
高校生等奨学給付金制度の対象世帯は?
高校生等奨学給付金制度を利用できる条件は下記の通りです。基準日(7月1日)までに、次の全てに該当する世帯が対象となります。高等学校等就学支援金制度の対象になる高校等のうち、特別支援学校の高等部だけは対象外です。通信制は対象になっています。
<制度を利用できる条件>
・非課税世帯(生活保護世帯を含む)であること
・保護者(親権者)がその自治体内に住所を有する
・生徒が高等学校等に在学している
・高等学校等就学支援金を受ける資格を有している(特別支援学校高等部の生徒を除く)
※「高等学校等」とは、国公私立を問わず、高等学校、中等教育学校後期課程、専修学校高等課程等(特別支援学校の高等部は含まず)。
生徒1人当たりの支給額はいくら?
生徒1人当たりの支給額は、国公立か私立か、また、第2子以降は「15歳以上23歳未満の兄弟姉妹」がいるかどうかで異なります。実際には、都道府県ごとに内容が異なる可能性がありますので、具体的な要件や給付額、手続きについては、住んでいる自治体で確認が必要です。
<支給額>(国の補助基準)
(1)生活保護受給世帯(全日制・通信制)
国立・公立高等学校等:年額3万2300円
私立高等学校等:年額5万2600円
(2)市町村民税所得割額が非課税世帯(生活保護受給世帯を除く)
・第1子の高校生等
国立・公立高等学校等:年額8万2700円(通信制は3万6500円)
私立高等学校等:年額9万8500円(通信制は3万8100円)
・第2子以降の高校生等(15歳以上23歳未満の扶養されている兄弟姉妹がいる場合)
国立・公立高等学校等:年額12万9700円(通信制は3万6500円)
私立高等学校等:年額13万8000円(通信制は3万8100円)
「15歳以上23歳未満の兄弟姉妹」がいる第2子以降の高校生で、私立高校に通う場合が、支給額が最も大きくなります。年間で13万8000円と大きな額ではありませんが、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費などの分ということです。
家計の中で、高校時代の教育資金が不足する世帯では、高等学校等就学支援金制度も大きな支えになることでしょう。
高校生等奨学給付金制度の問い合わせや手続きは?
高校生等奨学給付金制度についての問い合わせや申請は、保護者(親権者)が住んでいる自治体の窓口になります。保護者が住んでいる自治体と生徒が通学する高校のある自治体が異なる場合は、保護者の住民票がある自治体となりますので、間違えずに!各都道府県への問い合わせ先一覧は文部科学省「高校生等奨学給付金制度」にあります。
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