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「インフレに預金は弱く、株式は強い」は本当?

バブル以降最高の上昇率となった、2014年夏のボーナス。運用先として、預金がよいのか、投資がよいのか、昨今のインフレを踏まえて、さまざまな意見が出回っています。「インフレに預金は弱く、株式が強い」と一般的に言われているけど本当か? 過去のデータを見ながら分析してみたいと思います。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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定期預金は、本当にインフレリスクに対応できない?

■2014年夏のボーナスの上昇率は、過去最高!?
バブル以来、最高の上昇率を示した夏のボーナス。運用方法をどうする?

バブル以来、最高の上昇率を示した夏のボーナス。運用方法をどうする?

経団連が発表した、大企業の2014年の夏のボーナス(2014年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均))は、88.9万円で前年対比8.8%の上昇となり、バブル期の1990年の8.36%を抜いて、過去最高の伸び率となりました。アベノミクスによる景気回復で、企業の業績も回復し、夏のボーナスに反映された結果となりました。夏のボーナスの使い道として、相変わらず預貯金が上位に挙げられる状況は変わりません。夏のボーナスシーズンに合わせ、各銀行でもキャンペーン金利を打っています。低金利が続く昨今、どこの銀行に預けたら良いか、パートナーと頭を悩ますところでしょう。

■過去の定期預金金利は、物価上昇率を上回るのが通常
安全志向の定期預金に対する警鐘を鳴らす意見も、最近は、目立つようになりました。それは、インフレ(物価上昇)で預金が目減りするということです。例えば、1年間の物価上昇率を2%とした場合、100万円のものは、102万円に価格が上がります。一方、1年定期預金の預金金利を0.2%とした場合、100万円預けると100.2万円になり、今、100万円で買えるものは、1年後には買えなくなってしまいます。従って、「定期預金では、インフレリスクに対応できない」というのです。

実際に過去20年間の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合:総務省)の前年対比と、定期預金(300万円未満、1年以上2年未満の平均:日銀統計)、参考までに長期国債(10年、新規発行応募者利回り)の推移をグラフにしてみました。

消費者物価指数(前年比)の推移は、緑色の折れ線で示されています。定期預金の金利は赤い折れ線で示されています。1992年から2013年までの21年間で、消費者物価の上昇率が定期預金金利を上回ったのは、1997年と2013年の2回です。過去21年間の消費者物価指数の上昇率の平均は0.01%、定期預金は0.59%、10年国債は1.86%です。こうしてみると、「定期預金は、インフレリスクに対応できない」とは言い切れないようです。ただし、足元の状況を見れば、アベノミクス政策によって、インフレ誘導を行っていること、定期預金の金利は、引き続き低水準の状況が続いているので、短期的に見れば、インフレが定期預金金利を上回る状況が続くと個人的には考えています。

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消費者物価指数と金利推移 (C)FPオフィス Life&Financial Clinic



>>株式は、インフレリスクに強いと言われているけれども、本当?

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