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麿赤兒 天賦典式公演『ムシノホシ』インタビュー!

麿赤兒率いる大駱駝艦が、二年ぶりとなる天賦典式公演『ムシノホシ』を敢行! 麿赤兒を筆頭に、総勢21名の舞踏家を引き連れ新たな荒海を目指します。ここでは、開幕に先駆け創作にあたる麿赤兒さんにインタビュー! 作品に寄せる想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


前作『ウイルス』以来二年ぶりとなる大駱駝艦・天賦典式公演『ムシノホシ』。構想はいつごろから始められたのでしょう?

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写真提供:大駱駝艦 
撮影空間:インターメディアテク(デザイン(C)UMUT)

麿>一年くらい前からですね。ウイルスとムシではものすごく開きはあるけれど、何か小さいものにこだわってるという感じかな(笑)。ムシにしてもそうだけど、小さければ小さいほど地球の中で共生して暮らしていける。けれど人間というものは、周りを変化させながら生き長らえてきた。身体が大きくなって、欲望も大きくなりすぎて、何もかもがダメになってきているぞ、と。強引すぎてちょっとおかしくなってるぞ、どうするんだ、本当にいいのかと……。

例えば、人間の1000倍・2000倍も放射能に強いムシがいたとする。
そのDNAと人間のDNAを合体させて放射能に強い人間をつくってみたらどうだろうとか、でも果たしてそれが人間と言えるのだろうか? とか、科学の世界の妄想も加わってみたりーー。よくわからないことをゴチャゴチャと頭の中で考えてる。ムシみたいなものが出てくるのもそうだし、僕のダークファンタジーといった感じでしょうか(笑)。

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2012年『ウイルス』 撮影:松田純一


ムシというのは広い意味で、イメージ的には昆虫です。昆虫の中にもウイルスはいるし、昆虫も人間の先祖だから、そういう意味でいえば人間も枝葉にすぎない。人間という生物も、特別なところから出てきた訳ではない。枝葉の幹に戻るというか、一度元に戻ってみて、頭の中を“昆虫脳”にしてみようじゃないかと(笑)。そういう記憶って、どこかにあると思うんですよね。

ウイルスにしても昆虫にしてもそうだけど、人間を越えてものすごく解釈が難しい連中で、わからないことがいっぱいある。“複眼で物がどう見えているんだろう?”というのもそう。ひとつの物を見ると画面が沢山あって、花があったらその花がバーッといくつも見えたりする。エサを食べるときはどれを選ぶんだろうとか、いろいろ調べてみても結局のところわからない。僕もまた、そういう眼になってみたいと思ったりもして……。

昆虫にはこう見えています、エサを採るときは脳がこうなってーーということも、もしかしたらテクノロジーで再現できるかもしれない。でも、デジタルかというと、意外とそうでもないんですよね。何がどう作用してそうなっているのか、特別なものが働いてるのか、それは人間にはないものなのか。人間は全てを経過してきた訳だし、どこかに片鱗が残っているのではとーー。

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撮影:荒木経惟 
撮影空間:インターメディアテク(デザイン(C)UMUT)



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