子育て事情/子育て事情関連情報

「産後クライシス」は夫婦関係の破綻ではない

産後クライシスのメカニズムと意味を説く「間違いだらけの産後クライシス論争」第3弾。むしろ産後クライシスがない夫婦のほうがアブナイ。子どもが、反抗期を経験しないまま大人になるようなものだ。夫婦が成長するために必要な試練を経験していないということだ。長い人生の中で、これからやってくるであろうさまざまな危機に対処する免疫がつくられない。

執筆者:おおた としまさ

産後クライシスを通して学べることがある

産後クライシス

産後クライシスで夫婦は成長する

「産後クライシスかも」と思ったら、どうすればいいのか。

安心してほしい。心理学の家族システム論的に見れば、産後クライシスは、必ずしも夫婦関係が壊れかけていることを意味してはいない。産後クライシスには意味がある。

むしろ産後クライシスのような葛藤を感じるのは結婚というしくみが機能している証拠だとすらいえる。産後クライシスを通して、夫婦は成長するのだ。

産後クライシスは、思春期の子どもの反抗期のようなもの。起こる現象だけを表面的に見れば、やっかいに見えるが、それにはちゃんと意味があり、成長のために必要なもの。夫婦の成長のために欠かせない発達段階のひとつといえる。

あるいは風邪にたとえてもいい。産後クライシスは、夫婦関係の変化によって引き起こされる風邪のようなもの。子どもができることによって、夫婦関係は、ふたりきりのときの関係性からは当然変わらなければならない。季節の変わり目に風邪を引きやすいように、ふたりの関係性が変化するときには人間関係も風邪をひく。たしかに風邪もこじらせれば死にいたる。しかしほとんどのひとたちはそれを何とか乗り越える。そして免疫を身につける。

繰り返すが、産後、どうしたって、妻から夫への愛情曲線は低下する。妻は、思い通りに動いてくれない夫にイライラする。夫は妻の言動の真意がつかめず、おろおろしたり、距離をおいたりする。

しかし悪いことばかりじゃない。産後クライシスを通して学べることがあるのだ。妻は、思い通りにならないことへの適応力を高める。これが子育ての予行練習にもなっている。

夫は、理不尽なことを受け止める懐の深さを身につける。長い人生において、理不尽に際しても、家族を守る覚悟ができているかどうか、試されているのだ。また、妻も夫も、不平や不満があるときには口に出せばいいのだということを学ぶ。

そして、夫婦喧嘩に際しても、いつまでも不平や不満をぶつけるだけでなく、お互いに、相手を思いやり、助け合わなければ解決できないことがあることを学ぶ。これが免疫をつけるということ。
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