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お笑い芸人が作った、ゲームと物語の関係

しばしば、ゲームと物語の関係というのは議論されることがあります。物語がゲームの楽しみの中心になることが、必ずしもゲームを面白くするとは限りません。そんな中、レベルファイブがニンテンドー3DS用ソフトとして発売したGUILD01の中に収録されている「レンタル武器屋deオマッセ」というタイトルは、ゲームと物語の関係に対して非常に興味深いアプローチをしています。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

お笑い芸人が作ったゲーム

勇者の図

レンタル武器屋deオマッセは、魔王を倒す勇者の物語……ではありません

お笑い芸人がゲームを作って面白くなるのだろうか? これが「レンタル武器屋deオマッセ」の最初の印象でした。レベルファイブがニンテンドー3DS用タイトルとして発売したGUILD01は、4つのゲームが1つのパッケージになっているオムニバス形式のゲームソフトです。それぞれのゲームは有名クリエイターが担当していて、オウガバトルシリーズの松野泰己氏、シーマンの斎藤由多加氏、NO MORE HEROESシリーズの須田剛一氏など、ゲームファンならググッとくる面子が揃っています。その中で、レンタル武器屋deオマッセを担当したのはなんとお笑い芸人、アメリカザリガニの平井善之氏。彼がゲーム好きなことは知られていますが、面白いゲームが作れるかといえば、そう簡単にはいかないようにも思います。

しかし、このレンタル武器屋deオマッセは、他の3人のクリエイターが制作したゲームと比べても全く遜色ない、いや、ガイドの個人的な感想を言わせて貰えば4つの中で1番面白かったとすら言えるゲームでした。

特に秀逸なのはその物語。松野氏や須田氏など、シナリオや世界観に定評のあるクリエイター作と並んでも、プレイした後にお話が面白かったなあと真っ先に思ったのはレンタル武器屋deオマッセでした。

なんでこんなに面白いのか。シナリオそのものが良くてきているということもありますが、面白さの理由はシナリオの見せ方、体験のさせ方にあると感じました。レンタル武器屋deオマッセがどういう形で物語を表現しているのかご紹介し、ゲームと物語の関係についてお話してみたいと思います。


世界を救う、手伝いをする。

レンタル武器屋deオマッセの図

色んな冒険者が色んな目的を持って武器を借りに来ます

レンタル武器屋deオマッセというゲームは、そのタイトル通り、武器屋を運営するゲームです。ただし、レンタル店。素材を選び、ハンマーを奮って武器を作り、店に訪れる冒険者達に武器を貸し出します。

冒険者のレベル、得意な武器や攻撃、これから行こうとしているクエストに登場する敵の弱点などを考慮して最適な武器を貸さなければいけません。お会計は冒険から帰った後の成功報酬ということになりますので、ナマクラを貸してしまうとお金が貰えないばかりか、時には武器を壊してきたり、無くしてきたりしてしまうこともあります。

武器を作って冒険者のクエストを助け、冒険者が成長していくとともに、自分も成長してまた新しい武器を作り、いつかは魔王を倒す冒険者に最強の武器を渡すことを目指して日々精進を続けると、そんなゲームになっています。

レンタル武器屋を運営というだけでちょっと面白そうな感じがありますが、このゲームの肝は武器作りだけではなく、武器を作った後の冒険者達の様子を知る過程にあります。
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