省庁によって違う試算
政府は早速、日本がTPPに参加した場合、どの程度の影響が出るか試算。今回は内閣府、農林水産省、経済産業省の3省庁が試算を出したのですが、それらの結果はバラバラで、どれが正しいらしいかわからなくなっています。内閣府は、日本がTPPに参加するとGDPが2.4~3.2兆円増えるという楽観的な見方を出しています。
一方、農林水産省は反対に日本がTPPに参加することは非常に大きなマイナスになると述べました。農水省の試算では、日本がTPPに加盟すると他国からの安い農産物が大量に輸入されるため、日本の農家の多くが農業をやめてしまうと読んでいます。結果、農業関連のGDPが4.1兆円も減少、GDP全体としては7.9兆円もの損失になるとか。環境面でも3.7兆円の損失になり、合計で日本が被る損失は11.6兆円にも。
さらにそれだけには留まらず、340万人の雇用が失われ、食糧自給率も現在の40%から14%にまで下がると予想しています。これでは、日本は踏んだり蹴ったりという結果になります。
経済産業省の試算は、こちらも日本はTPPに参加した方が利益になると結論を出しています。日本がTPPに参加しないと、アメリカやEUと独自に自由貿易協定を結んだ韓国が躍進し、結果として日本のGDPは2020年までに10.5兆円も減少すると予想しています。この減少は、自動車、機械産業、電気電子の主要な3業種による部分が大きいとのこと。
GDPだけではなく、TPPに参加しないと雇用も81万2000人も失われるという予想でした。これら、国の3省庁がそれぞれ全く違う結論を出していては、一般庶民としては、日本がTPPに参加した方がよいのかどうか、ますますわからなくなります。