車や庭の花壇に立ち寄らせない猫よけ対策
花壇や車の猫よけ方法とは
猫立ち入り禁止にはトゲトゲが有効です |
外出自由の飼い方をしている飼い主もいるので、庭をトイレ代わりに使う猫が飼い主のいない猫(野良猫)か、飼い猫かを区別することができず、文句の矛先は猫に向けられます。しかし猫にとってみたら、トイレに適している場所があればそこを利用するのは単なる習性です。悪気があってそこで排泄したり、庭を荒らそうと思ってやるわけではありません。
とはいっても猫が苦手な人にとっては、猫が庭に来るのが大問題。猫が好きな人だって毎日毎日庭に残されたウンチ、そしてオシッコのニオイにはうんざりするでしょう。果たして庭に猫を立ち入らせない、猫に置きみやげをさせないようにする方法はあるでしょうか。
飼い主のいない猫(野良猫)の行動と習性
飼い主のいない猫(野良猫)はどんな行動・習性で動いているでしょう。猫は人目につきにくい場所に棲みついています。たとえば、資材置き場の物陰や古い家屋の縁の下、物置、植え込みの中など日頃人が近づかない場所をねぐらにしている猫が多いようです。そして日に数回、特にオス猫は自分の縄張りを見守るためあちこちを歩き回り、トイレに適した場所=柔らかく掘り返しやすい土があるところで用を足します。縄張りの印として、スプレーと呼ばれる排尿とは違うきついニオイのオシッコをあっちこっちに引っかけて歩く猫もいます。空き地や土の部分が少なくなっている都市部では、どうしても土の残っている庭や公園、街路樹のまわりが猫のトイレとして使用されてしまいます。
猫が庭に来たくない、と思わせる8つの秘策
家の中の猫だったら1か所の決まったトイレを使ってくれます。外の猫も同じ場所にこだわる猫もいますが、その時々にしたくなった近場で用を済ます猫も多いです。今、毎日同じような場所をトイレに使われている場合は、その場所に強いこだわりがあるタイプの猫かも知れないので、その猫にそこでトイレをさせないようにするのはなかなか難しいかもしれませんが、まずは以下のようなことを試してみましょう。1.猫のニオイを消してしまう
自分の排泄物やスプレーのニオイがあると、猫は何度でもそのそばをトイレとして利用します。トイレにされてしまったら、まずその猫のニオイを消し去りましょう。ニオイ取りに効果的で、猫にも草木にも安心して使えるのは「重曹」です。重曹は、スーパーや量販店などどこででも手に入りますし、ふくらし粉やコンニャクの凝固剤、胃薬の成分にも使われているので安全です。色々な粒の大きさの重曹が販売されていますが、細かいタイプの重曹を土の上に振りかけ少し混ぜてください。
2.猫が気に入っている場所の配置・外観を変える
見慣れないものに不安感を持つことが多い猫の習性を利用して、トイレに使われる場所に植木鉢を並べたり、ラティスを置いたりして猫がいつもと違う、居心地が悪いと感じるようにします。でもたいていの猫は最初は遠巻きに観察して、危険がないと判断すると、そのまわりでトイレをし始めてしまうでしょう。そこで、ものを移動した後の空いている猫が好みそうな土の上に、大きめのタイルや尖った砂利、人工芝、100円均一でも販売されているトゲトゲのついた猫よけマットなどを敷いて猫を歩きにくくさせます。割り箸を折って土に等間隔で埋めてもよいでしょう。これらの障害物を敷き詰めるとかなり効果は高いですが、ただトゲトゲや割り箸を敷き詰めるだけだと人も歩きにくくなるので、タイルなどの配置で工夫してください。
隣の家まで手を伸ばせば届くほどの距離で建っている都市部の住宅だったら、それぞれの家の間の路地を塞いで猫の通り道を絶ってしまうと、猫の見回りコースが変わって庭に猫が来なくなった、という例もあります。
3.車や花壇にはカバーやネットを使用する
毎日車を使わないのであれば、車にカバーを掛けるのが一番有効です。猫が乗ることは防げませんが、車に傷が付くのは防げます。また猫よけ(鳥獣用)ネットが販売されているので、それをカバーの上につけます。ネットに猫の爪が引っかかってイヤな思いをすれば、それ以降乗らなくなってくれる可能性があります。猫が飛び乗りそうなところに、部分的にトゲトゲを置くのもよいでしょう。
花壇には支柱を立てて、猫よけネットを張り巡らせます。1メートル程度でしたら猫は軽々とジャンプできるので、ネットは1メートル50センチ以上の高さが欲しいです。 4.猫が嫌うニオイの液体を置く
ペットボトルに水を入れたものを置くと、光の反射を猫が嫌がってトイレをしないという噂が広がり、あちこちでペットボトルが置いてある風景を見ますが、これは全く効果がありません。街の美観を損ねるだけなのでやめましょう。それよりもペットボトルの上部に数カ所丸い穴をあけ、その中に猫が嫌うニオイの出る液体を入れ、半分ほど土に埋めておきます。
猫が嫌うニオイは、正露丸をつぶして混ぜた水、木酢液、竹酢液、コーヒーの粉を混ぜた水などです。ただし、猫によっては嫌うニオイではないかもしれないし、数日に一度は中身を入れ替えないとすぐに効果が薄れますし、して欲しくない場所にはまんべんなく置く必要があります。
猫が嫌がるだろう、と思っても猫の生命を脅かしたり、環境を汚染するものを使用するのはやめてください。たとえば、灯油、クレゾール、漂白剤、タバコ、タマネギ、ニンニクなどです。植物にも毒ですし、もしそれによって猫が傷ついた場合は動物虐待で訴えられることもありますので、使用するものには注意してください。
5.ニオイの強い植物を植える
猫によってはまったく効き目がないことがありますが、一般的に臭いが強い植物を猫は嫌うといわれていますので、試してみてもよいでしょう。ただし植物を手入れする手間がかかります。
- コリウス・カニナ……
動物に対しての忌避効果があるといわれている - ヘンルウダ/ルー(猫不寄)……
柑橘系のニオイを猫が嫌がるというが、平気な猫も多い
6.市販の猫よけグッズを利用
この他、猫が近づくとセンサーで水や超音波が出て猫を追っ払うという商品や犬猫忌避砂、シートなど様々な猫よけグッズが販売されています。忌避砂やシートは、商品によっては効果があると思います。
7.猫用のトイレを設置する
自分の猫ではない、自分は被害者なのになぜそんなことまでしなければいけないのか、と思われるかもしれませんが、他に猫が好むトイレを設置してそちらに誘導するという方法もあります。大きめのプランターに培養土を入れマタタビの粉を振りかけて、猫がいつもトイレとして使う場所に設置します。もし猫がそこでトイレをするようになったら、少しずつトイレの場所をずらして迷惑でないと思う場所まで誘導します。
当然培養土には糞が溜まりますので、糞がしてあれば片付け、培養土を足すなどトイレのメンテが必要ですが、植えたばかりの球根を掘り返されたり、植木に尿を引っかけられたりするストレスからは解放されるでしょう。
8.地域ぐるみで猫問題に取り組む
根本的な問題は、猫がそこに存在することと、猫の数が多くなると被害も増えるということです。今の日本では飼い主のいない猫(野良猫)を捕獲することは法律で認められていませんし、保険所に苦情を申し立てても、保険所は飼い主のいない猫(野良猫)を捕獲する権限を持っていません。もしその猫を誰かが捕まえて、ここにいるから迷惑なので他の場所に捨てに行ったとしたら、それは動物の遺棄という犯罪に当たります。
時間がかかりますが、まずは今以上に猫の数を増やさないこと、そして自然に猫が減っていくのを待つという考え方もあります。1頭の猫がする糞尿はたかが知れていますが、その1頭がメス猫であれば、シーズンになればそのメス猫を狙って数頭のオス猫が集まります。環境さえよければ猫は年に2~4回出産しますので、仮に2頭の子猫が年2回生まれたすると、1年後には親を含めその地域の猫が5頭になってしまいます。これは最小数で、実際には1年で16頭に増えた地域もあります。
猫が多い地域では、迷惑だと感じているのは自分だけでないはずなので、ご近所で話し合って飼い主のいない猫(野良猫)の避妊・去勢手術に取り組んでみてはいかがでしょうか? 猫を増やさないようにすることで、時間をかけて猫の迷惑問題を減らすという考え方や取り組みについては、「野良猫の迷惑と地域猫の考え方」ぜひご一読ください。
いま、この記事をお読みになった猫の飼い主さんで、猫を外出自由にしていたら、愛猫がご近所で忌み嫌われているかも知れないと自覚してください。そして、猫を家の中だけで飼うことをお考えください。
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