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擦り傷・切り傷の治療法・絆創膏の選び方

子供にも大人にも多い日常的な擦り傷、切り傷。家庭でできる正しい治療法を知っておくと、いざという時に安心です。軽い怪我の治療ポイントは、「水で洗う」「消毒しない」「乾燥させない」「絆創膏を選ぶ」の4つ。自分でできる傷口の処置方法について、医師が解説します。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

※以下は軽度の傷の対処法です。傷が深く皮下脂肪が見えるものや、出血が止まらないような傷の場合は速やかに医療機関を受診して下さい。

軽度の切り傷の処置方法……まずは水道水で傷口洗浄を

転んでしまった少年

擦り傷、かすり傷、切り傷ができたら消毒ではなく、水で洗浄!

家庭や通勤、通学途中、職場や学校でのちょっとした切り傷をどう治療していますか? 消毒して、絆創膏などで傷を覆って、傷の乾くのを待ちますか? 今回は、家庭でできる切り傷の新しい治療方法を紹介します。

一般的に「擦り傷」「かすり傷」と呼ばれる擦過傷。切り傷が手や足にできた場合、すぐ「消毒」という考えが浮かぶかもしれませんね。しかし、まずすべき事は傷を洗うことです。洗浄には無菌的な水が望ましいところですが、家に常備しているご家庭は少ないでしょう。

実は水道水はほとんど無菌です。傷口をすぐに洗い流すのは痛いかもしれませんが、まずは水道水で傷口を洗って下さい。洗う目的は、傷口から砂やゴミなどの異物を除去するためです。これらの異物があると免疫系の細胞が反応して傷が治る時の邪魔となります。

消毒は不要? 水洗いで化膿菌による傷の悪化を防御

もちろん深い傷は別ですが、傷を洗った後、消毒はしなくて大丈夫です。「消毒しないと化膿しないの?」という疑問が浮かぶかもしれませんが、もともと皮膚は無菌ではありません。実は、皮膚には皮膚の常在菌が多数生息しており、これらの常在菌は皮膚の表面ばかりでなくて毛根や汗腺に生息しているのです。消毒しても数時間すれば、毛根や汗腺からの常在菌で傷口はいっぱいになります。常在菌は皮膚の傷を悪化させるような悪さはしません。むしろ化膿菌の増殖を妨害してくれます。味方は大事にしましょう。

消毒剤は常在菌を含めて、細菌などの微生物を殺す事ができます。一方、傷の治療に活躍する白血球や線維芽細胞(コラーゲンを作る細胞)、血管内皮細胞(毛細血管を作る細胞)、表皮の元になる細胞(毛根、汗腺)にも損傷を与えます。傷を早く直すためにはこれらの細胞に損傷を与えない方が良いのです。

傷口を乾燥させない! キズパワーパットなどの一般製品も

大きめの傷は市販のラップで応急処置。傷口は乾かさないで。
大きめの傷は市販のラップで応急処置。傷口は乾かさないで
洗った後はどうすべきでしょうか? 実は傷を乾燥させない事が傷を早く直す事になります。傷の部分に滲出(しんしゅつ)した液の中には線維芽細胞、血管内皮細胞、表皮の元になる細胞を元気にする成分が入っているため、乾燥させない方がよいのです。できるだけ傷口は湿った状態に保ちましょう。

また、傷口を乾燥させないためには、ガーゼがついている通常の救急絆創膏を貼らない方がよいのです。傷を乾かさないような救急絆創膏がよいでしょう。市販のものとしては、バンドエイドキズパワーパッドや、それに類する商品が近年多数出ているようですので、薬局でチェックしてみてください。

面積の大きい傷の場合は「ラップ」で代用も可能

擦過傷(擦り傷、かすり傷)のような場合は傷の面積が大きいので市販の絆創膏では覆いきれないことがあります。その場合は台所で使うラップで応急手当をすることもできます。

傷口を洗ってから、傷口の面積よりも大きくラップを切って傷口を覆います。ラップがとれないようにテープ(サージカルテープ)で止めます。ラップがずれないように包帯を巻きましょう。もし白色ワセリンがあればラップにワセリンを塗ってから傷口を覆いましょう。

顔の傷などで、傷跡を軽くするためには、受診して創傷被覆材で覆ってもらう事を薦めます。なお、傷跡を残さないための方法については、「傷あとを綺麗に無くすために知っておくべきこと」をあわせてご覧下さい。
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