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火災に強い家にする!(2) お隣のもらい火から自宅を守る!

もしも、近隣から火災が発生した場合、火災に強い住宅にするには? 素材によって違う外壁の熱伝導率に注目して、耐火性についてみていきましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド



住宅の火災といった場合、自分の家が出火元のケースと、近隣が出火元で類焼というふたつのケースが考えられます。先日、火災警報器に関する記事をまとめましたが、自宅から出火してしまったときは、できるだけ早く発見すること、避難するための時間が確保できるかどうかなどが重要になってきます。
では、類焼を防ぐにはどうしたらいいのか。今回は、隣家など外部での火災と住宅について考えていきましょう。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

◆外まわりの仕様は法律で細かく決められいる◆

住宅を建てる場合は、建築基準法という法律が大きく影響してきます。火災の発生を防止するため、屋根や外壁などを耐火性を備えた仕様にするように、細かい規定があります。

例えば、屋根については火災の発生を防止するための性能であることなどが決められていますが、具体的には彩色スレートや瓦、金属屋根材などなら使用可能。外壁についても、サイディング、モルタル、タイル、コンクリートなど一定の基準をクリアした製品が認められています。さらに窓などの開口部についてもさまざまな規定があります。

特に、都市部などでは、防災上の観点から、防火地域準防火地域が定められ、それぞれ使用部材などの指定があります。中でも防火地域は住宅の構造をはじめ、構造材(例えば木の垂木はダメとか)や、窓ガラス(網入りにするとか)などについても細かく規定されています。

こういった法律に適合しているかどうかという範囲では、住宅メーカーや工務店で用意している仕様の中から選べば、問題はないでしょう。

しかし、特に火災に強い住宅といったとき、どんなことに注意したらよいのでしょうか。次の3点が重要ポイントです。

◆火災に強い住宅の3つの重要ポイント◆

3つのポイントとは、

(1)住宅内から外に火を出さない

出火場所からできるだけほかの部屋に火が燃え上がるのを防ぎ、逃げ道や避難する時間を確保できるようにしたいものです。そのためには、住宅そのものを耐火性の高い素材で覆うことや、早期発見を促す火災警報器の設置などの対策が考えられます。

(2)内外の火に対して構造などが強い

なんといっても、
住宅そのものの構造が火に強く、万が一火災が発生しても焼け落ちたり、変形したりしにくい構造であることが必要です。どんな構造の家が火に強いかということについては、いろいろな考え方があるようですが、最も防火の規定が厳しい防火地域では、一般の木造住宅が建てられない(木の門などは可。一部の例外や準耐火建築物を除く)ことを考えると、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、枠組壁工法(2×4)などを選ぶというのはひとつの基準となるでしょう。

(3)外からの火に対して対抗する

外壁や屋根、軒天、窓などの開口部の仕様によって耐火性は大きく左右される部分。外壁材は、1時間準耐火とか、45分準耐火などと、実験結果などによって認められた耐火性能を表示しますが、このことはカタログにも書かれています。屋根材は、ほとんどのものが建築基準法をクリアしているだけでなく、準防火地域、防火地域でも使用できるものだと考えてよいでしょう。類焼の際に、被害を受けやすい窓などの開口部には燃えないシャッター雨戸を採用したり、軒天には不燃材を用いるなど、細部にまで防火に気を配った設計を心がけたいものです。

次ページでは、外まわりの仕様の中でも、外観の印象を大きく左右する外壁の耐火性について、もう少し詳しくみていきましょう。
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