コンサルタントで働く/コンサルタントの仕事

コンサルタントに必要とされる論理的思考力等の3つ資質

コンサルタントに必要な能力、知識はあるのでしょうか。必要な資質には、論理思考力、コミュニケーション力、英語力などがあります。それらに加え、ガイドが考える、成功するコンサルタントに必須の資質や課題に対する経営戦略等についても解説します。

執筆者:大石 哲之

コンサルタントの資質

コンサルタントに必要な資質

コンサルタントに必要な資質には、論理的思考力、コミュニケーション、プロフェッショナリズムがあります


コンサルタントに重要な資質として次の3点が挙げられます。
 
  1. 論理的思考力
  2. コミュニケーション・協調性
  3. プロフェッショナリズム

これら3つの資質は、採用の段階において厳しく見られます。
 
<目次>
 

1. 論理的思考力

論理的思考力は、コンサルタントの基礎能力として必須条件。他の能力がいくら秀でていても、基礎的な論理思考力は必要です。多くのコンサルティング会社が採用試験において、論理思考力を見る筆記テストを課して、面接に進めるか否かのラインを決めているほど。

コンサルタントに必要な論理的思考力法は、代表的なもので次のものがあります。
  • クリティカルシンキング(批判的思考)
  • MECE(漏れなくダブりなく)
  • ロジックツリー
  • 仮説思考、問題解決思考
  • ゼロベース思考
  • 定量分析
特に最初の4つは、コンサルタントを目指す人ならば必ず知っておきたい思考法です。

論理思考力は、コンサルタントのあらゆる仕事の場面で使う能力。クライアントの課題をヒアリングするとき、問題が発生したときに原因を分析して解決策を考えるとき、仮説を設定し検証方法を考えるとき、報告書のプレゼンの構成を考えるときなど、すべての場面で論理的に考える必要があります。議事録や報告のメールを1通作成するときでさえ、「抜け漏れなく整理されていて」「理由付けが明確なもの」が求められます。

毎日毎日いや何年も常に論理的であることが求められますので、論理的思考能力の有無に加え「考えること」「頭を使うこと」が苦にならない、面倒くさいと思わなところも資質として重要でしょう。

論理的思考は、後から学習することによって十分伸びる場合があります。伸ばすコツを伝えている優良なビジネス書が多数出版されています。下記に代表的な書籍を紹介します。これらの本で基礎が十分身につけることが可能です。
  • ロジカルシンキング(照屋華子・岡田恵子著、東洋経済新報社)
  • 考える技術、書く技術-問題解決力を伸ばすピラミッド原則(バーバラ ミント著、グロービスマネジメントインスティテュート)
  • 地頭力を鍛える(細谷功著、東洋経済新報社)
  • 過去問で鍛える地頭力-外資系コンサルの面接試験問題(拙書、東洋経済新報社)
  • 問題解決プロフェッショナル(齋藤嘉則著、ダイヤモンド社)
 

2. コミュニケーション・協調性

コンサルタントというと、いろいろな論理を使って突き詰めた提案を高みから一方的に報告するのだと誤解している人もいますが、それは違います。コンサルタントはクライアントあっての商売。提案したことを相手が実行しなくては、最終的な成果にもつながりません。実際の現場では、クライアントの悩みや状況などに柔軟に対応しながら仕事を進めています。

また、コンサルティングの仕事は必ずプロジェクトチームで行います。一匹狼で力を発揮するタイプよりも、チームとして成果を発揮できるほうがコンサルタントに向いています。このため、コミュニケーション、協調性、チームワークといった人間関係を円滑にする能力が非常に大事になってきます。

ただ、コミュニケーション能力というと、「丸くおさめる」「うまく調整する」「仲良くする」といった能力と捉えられがち。コンサルタントに必要なコミュニケーション能力は、単に人間関係を仲良く取り持つコミュニケーションとは違うのです。

コンサルタントのコミュニケーションは、
  • 相手の言っていることを正確に聞いて、理解し、整理する能力
  • 自分の意見をわかりやすく、誤解なく相手に伝える能力
  • 利害を調整するのではなく、利害が生じる背景とその原因を聞き出し突き止める能力
  • 単に仲良くなるのではなく、反対意見も率直にぶつけ合い、より良いものを生み出すようにする姿勢
  • 相手を巻き込み、共通の目標をあげて、物事を推進していく力
といった類のコミュニケーションが重要になってきます。
 

3. プロフェッショナリズム

3つめは、プロフェッショナリズム。コンサルタントは、高度な自律心や職業倫理が求められるプロの職業で、クライアントから要求された仕事を単にこなすだけではダメです。そもそもクライアントの要求自体が曖昧なときもありますし、クライアントが間違った問題設定をしてしまっている場合もあります。

クライアントに対して言いなりになるのではなく、時にはNoといいながら、最終的には相手の期待を超えるような価値を提供することができる。そしてクライアントの信頼を得ることができる。それがプロフェッショナルです。

具体的には、次のような資質がプロフェッショナリズムです。
  • クライアントのために真剣になって考える
  • 安易な妥協を許さない、高い基準点をもつ
  • 人から言われなくても自分の判断で行動でき、セルフマネジメントできる
  • 自分のやっていることが、付加価値を生み出しているかを常に問う姿勢
  • 高い価値観、倫理観を持つ
  • 相手の高い信頼を得ることができる
 

コンサルタントに必要なプラスアルファのスキル

コンサルタントとして成功していくためにはコミットメント、体力なども必要

コンサルタントとして成功していくためにはコミットメント、体力なども必要


上記の3つの資質は、コンサルタントに必要な基礎的な能力。 これに加えてコンサルタントとして「成功し」「長期的な成功」を得るためには、さらにいくつかの重要な要素が必要だと考えます。

コミットメント
コミットメントとは「クライアントの経営や問題を、自分のことと捉え真剣に問題を解決しようと真剣に取り組む姿勢」のこと。

ク ライアントの経営を改革し本当に成果を出していくためには、自分自身のこととして取り組む姿勢やマインドが必要です。現在は、企業再生の現場などにもコンサルタント が関与しています。第三者としてアドバイスするだけではなく、真にクライアントと成功をともにしたい気持ちが必要。 同様に、クライアントを巻き込み、立案した戦略を実行していくというリーダーシップも求められます。

自分の好きなことをしたい自分の意見が強いという人は、長い間コンサルタントを続けているとつらくなってしまうことが多いよう。そういう人は起業家タイプかもしれません。相手に没頭できる、自分より相手の成功を喜ぶタイプがコンサルタントに向いているといえます。

体力
コ ンサルタントにとって体力は必須。単純に労働時間が長いことが多く、多少のことではへこたれない体力が必要です。また、クライアントからの要求も厳し く、短期間に集中して物事をこなさないといけないため、精神的なプレッシャーも非常に大きいものがあります。精神的なタフネスもあわせて必要だといえま す。

知的体力
体力と似ていますが、24時間365日考え続け、頭を回転し続けられるかどうかを指します。コンサルタントが 取り組む課題は「答えのないところに答えを出す」「正解のない問題を考える」ものばかり。誰もが妥協しそうなところを超えて、考え続けることができる能力が知的体力です。

楽観思考
コンサルタントの仕事はどうしても答えが見つからない場面に遭遇することも多く、それでも前に進んでいかなくてはいけません。 楽観的な人はコンサルタントに向いていると言えます。

観察眼、視点、洞察力
クライアントは、ロジカル一辺倒の一般的な答えでは納得しません。そこに物事を見る深い視点や、洞察が反映されているものでなければ、クライアントを「あっ」と言わせることは難しいのです。
 

コンサルタントに必要な資質・能力を伸ばすコツ

以上、多くの資質を上げましたが、これら全ての資質を兼ね備えていなければコンサルタントになれないというわけではありません。基本の3つの資質にしても、個人によって凸凹があります。私は新卒でコンサルタント会社に入ったため、どちらかというと「論理思考力」が勝り「コミュニケーション能力」は発展途上、「プロフェッショナリズム」は入社してから叩き込まれた感じです。

もちろん、コンサルタントとして成長していくためには、最終的にどの能力も一定以上のレベルにする必要はあると思うのですが、長期的に考えればよいと思います。 それよりも、まずは得意な能力に磨きをかけて、その能力で「勝負できる人材」であることを見せることが重要なのではないかと思います。

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