生命保険/定期保険とは

掛け捨ての保険は損か得か

掛け捨ての保険は損か、得か? 答えはどちらでもありません。ある人には損でも、ある人には得だったりします。「何のために使うか」が問題です。

長島 良介

執筆者:長島 良介

生命保険ガイド

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掛け捨ての保険は、なんとなく損な気がするけど……

掛け捨ての保険は、なんとなく損な気がするけど……

掛け捨ての保険は損か得か? 答えはどちらでもありません。ある人には損でも、ある人には得だったりします。

よく、住宅は賃貸、持ち家のどちらが得かという議論がなされますが、同じ部類の議論になるでしょう。答えを出すこと自体ナンセンスです。

掛け捨ての保険とは

「掛け捨て保険」、すなわち保険料を支払い、保険金を受け取らない限り、掛け金が戻ってこない保険のことです。保険を掛け、保険金を受け取ることがなければ掛け金は捨てたのも同然という考えからか、捨てるという言い方をされるのでしょう。

支払った保険料は戻ってきませんので、どうしても掛け捨ては損だということになってしまいます。でも、本当に損なのでしょうか?

掛け捨て保険の特徴

掛け捨てですから、解約しても一銭も戻ってきません。満期金はありません。保険期間保険金支払いの事由があれば、受取人は保険金を受け取れるというだけです。

掛け捨ての保険のデメリット(デメリットと表現すべきかどうか迷いますが)は、ただひとつ、期間終了すれば保険金も受け取れなければ、それまで支払った保険料はすべて何の役にも立たなかったことになります。

しかし、掛け捨て保険の最大のメリットは保険料が安いことです。「期間の長い保険」と「解約払戻金や満期金のある保険」に比べて、かなり安くなっています。子どもが小さくて、家族が今後何年も生活していくための生活費など何千万円にもなってしまう保障を得るためには、掛け捨ての保険は役に立つのです。

以前、母子家庭で、お母さん1人で3人の子供を育てている方のご相談を受けたことがあります。この女性は生命保険にも医療保険にも一切入っていませんでした。国民年金保険料も支払っていないとのこと。遺族年金も受け取れず、身寄りのない子どもたちは行き場をなくしてしまう可能性すらあることをご説明しました。

実際のところ収入も少なく、日々の生活費もままならない状態では保険料は大きな負担になります。そこで、掛け捨て保険は大きな役割を果たします。現在の厳しい収入では貯蓄も兼ねた保険の高額な保険料は支払えません。目的の保障を得るために最低限の保険料で済む、掛け捨ての保険しか考えられませんでした。

また、自分の財産を積極的に運用していこうという方にも掛け捨ての保険は有効です。保障は確保しつつ、保険料で浮いた分を運用の原資にまわせるからです。資産が増えれば、保険は必要なくなっていきます。掛け捨て保険を卒業できるわけです。

掛け捨て保険はいつでも解約できる、いつでも見直せる

そして、掛け捨て保険のもうひとつの特徴は、解約時のデメリットがないところです。貯蓄性の高い保険は解約すると、満期金や解約返戻金が少なくなってしまい、損をしてしまう可能性があります。しかし、掛け捨ての保険は戻ってくるお金がないため、いつでも気軽に切り替えることができます。

一般的な家庭の場合、子どもが小さい時は大きな保障が必要です。オーナー企業の場合は借り入れの返済や社員の生活を守るためにも、経営者は大きな保障を得る必要があります。遺されたものが経済的な危機に陥らないためにも必要不可欠です。

これらに掛け捨ての保険をうまく利用すれば、個人も企業も本当の意味での経済的な安心を得られます。

保険は加入するものではなく活用するもの

生命保険は一般的に「加入する」という言葉を使うケースが多いです。しかし、これは間違いのもとだと、私は考えます。

生命保険は、その特徴を理解して、上手く自分のために活用するものです。今回のテーマの「掛け捨ての保険」は、高額保障をできるだけ少ないコストで得るための道具です。道具を使いこなして初めて、安心を手にできるのです。損得ではなく、自分がどう使いたいかで生命保険の価値もかわります。


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