初代PSを救ったFF7ポリゴンで立体的に描かれた召喚獣や、CGムービーによるイベントの迫力は、本当に衝撃でしたゲーム業界において、一度劣勢になったハードが盛り返して逆転をするという例はほとんど見られません。それは、売れたハードにはソフトが集まり、そしてまた、たくさんあるソフトにユーザーが集まる、逆に売れていないハードには発売されるソフトも減り、そしてソフトが集まらなければユーザーも集まらないというプラスとマイナスのスパイラルがあるからです。しかし、僅差ではあるものの劣勢だったハードを一気に逆転へ導いたソフトがあります。それが同じFFシリーズのFF7。初代PlayStation(以下初代PS)や、セガサターンが発売された当時、優勢だったのはむしろセガサターンでした。当時ゲームセンターで格闘ゲームに革新を起こしていたバーチャファイターをハード発売と同時に投入。さらにその1年後にはバーチャファイター2も移植し、ミリオンヒットを放っていました。この時のセガは本当に輝いていたんです。セガに追いすがりながらもピンチを迎えていた初代PS。そのピンチを救ったのがFF7を初代PSで発売するという発表でした。あのFFの最新作が初代PSへ。そして発売日が近づくにつれて公開される圧倒的迫力のCGに、多くのユーザーが魅了されました。エアリス登場、ミッドガル全景、そして列車へとダイナミックにカメラが動くオープニングシーンに興奮した人は少なくないでしょう。結果、FF7発売後は一気に初代PSがゲーム業界の覇権を握ることになります。ライトユーザーを取り込まねばならないFF13コアユーザー向けゲームのMGS4からバトンを手渡されるというのが、なかなか難しいところではありますPS3にFF最新作が登場となれば、今回も逆転劇が……とどうしても期待してしまいますよね。ただ、FF7の頃と今回ではかなり状況が違います。まず、WiiとPS3は決して接戦ではないということ。ハードの台数で言うなら、Wiiは800万台弱。対してPS3は300万台弱なので、倍以上の差がついています。ソフトにいたっては、Wiiにはミリオンタイトルどころか、トリプルミリオンタイトルが2本、ダブルミリオンタイトルも2本。対してPS3はMGS4の約70万本が最高ですから、ここには大きな開きがあります。そしてもう1つ大きな違いは、ユーザー層です。当時優勢にあったセガサターンは、バーチャファイターシリーズでかなりのファンを獲得していました。バーチャファイターと言えば当時の格闘ゲームの概念を完全に作り変えるような先進的なもので、コアなゲーマーに人気があるタイトルです。そこに、FF7が現われ、ライトユーザーをごっそり奪っていき、逆転劇が生まれました。今、ライトユーザーを掴んでいるのはむしろWiiです。値段も高く、ハイスペックで、キラータイトルがMGS4であるPS3は、かなりコアユーザー向けのハードになっています。しかし、FF13が今までの作品と同様に200万本、300万本と売り上げるには、どうしてもライトユーザーの獲得が必須になります。コアユーザー向けのMGS4とは違い、PS3のユーザー層とのミスマッチしていることが、かなり厳しい戦いを予感させます。かなり難しい状況のFF13、この逆境の中どう戦えばいいのでしょうか。前のページへ123次のページへ