子育て

なぜゲームはダメでサッカーはOKなの? 「ゲームばかりしている子の将来が心配です」という親への回答

「ゲームばっかりで将来が心配……」と悩む親御さんは多くいらっしゃるでしょう。 ゲームの現代的な意義や、親子関係を見据えた子どもの行動の捉え方、成長を前向きに見守る関わり方などをコーチングの視点でお伝えします。

坂田 聖一郎

執筆者:坂田 聖一郎

子育て・教育ガイド

子どもがゲームに夢中で「このままだと、将来どうなってしまうのだろう……」と不安に感じる親は少なくないでしょう。しかし、ゲームに夢中になること自体は、必ずしも悪いことではありません。むしろ、ゲームとの関わり方次第で大きな学びを得ることもあります。この記事では、「ゲームばかりしている子ども」をどう考えたらよいのか、具体的な視点をお伝えします。
ゲームをする様子

ゲームをするのは悪いこと?

「ゲーム=悪」という考えを見直す時代

多くの親は子どもの教育に「ゲームは悪影響」と考えがちですが、もはや時代遅れかもしれません。現代では、ゲームは単なる娯楽を超えて、子どもたちがコミュニケーションを取る手段にもなっています。オンラインゲームで友達と協力プレイをしたり、ゲーム内で会話を楽しんだりすることで、子どもたちは大事な人間関係を築いています。ゲームを通じて得られる達成感やチームワークも、子どもにとって大切な成長の要素です。

「ゲームはダメで、サッカーはOK」と思っている親は多いかもしれません。しかし、それは一体だれが決めたのでしょうか? 「外で身体を動かすことは健康的」というイメージは、親の価値観に過ぎません。

実際、eスポーツが大きな盛り上がりを見せ、世界的な競技イベントも活況です。ゲームに関連したビジネスも多岐にわたり、将来のキャリアの選択肢を広げる可能性があります。

親が子どもだった頃と今の世の中が違うように、子どもが大人になる頃には、私たち親世代の価値観では追いつかないような新しい社会が待っているでしょう。ゲームを否定する前に、これからの時代に必要なスキルや柔軟な価値観を持つことが大事です。

子どもが好きなことに対する“親の理解”の重要性

親としては、まず子どもの好きなことを理解しようとする姿勢が大事です。ゲームを「子どもが大好きなもの」として捉えてみてください。なぜそれだけ夢中になるのか、それほど面白いものなのか、親として子どもの好きなことを理解しようとする姿勢は、子どもを理解することにつながります。

例えば、「ちょっと教えて」と言って、ゲームの話を聞いてみるのもよい方法です。子どもは自分の好きなことに親が興味を持ってくれると、うれしくなるものですし、それがきっかけで親子のコミュニケーションが深まることもあります。ゲームのよさを知ることで、親自身も意外な発見があるかもしれません。

また、ゲームの楽しさは人によって違うため、子どもがゲームの何が好きなのか、どこに興味を持っているのかを知ることにより、その子の個性や能力が見えてくることもあります。ゲームを否定するのではなく、受け入れて見守る姿勢が大切です。一方的にゲームを否定すると、子どもは「好きなものを否定された」と感じて心を閉ざしてしまったり、親子の間に溝が生まれたりすることがあります。

まずは自分が満たされることが大切、その上でルールとバランスを考える

私たちは、自分が満たされて初めて他者を思いやれます。これは大人も子どもも同じです。子どもにとって自分を満たす手段がゲームであることは自然です。それを無理に取り上げたり、「ダメ!」と否定すると、子どもは反発心を抱き、親子関係が悪化することがあるでしょう。

筆者も学生時代はゲームに夢中でしたが、大学に入った時に自然と興味が薄れました。十分にゲームを楽しみ、次に興味のあることを見つけたからです。だから、ゲームをしている子どもに対しても、「好きなことを楽しんでいるんだな」と寛容に見守ってほしいです。

とはいえ、何事も偏りすぎるのはよくありません。そこで親ができるのは、「宿題を終わらせたらゲームをしていいよ」「夜は◯時までに寝ようね」などといったルールを設けることです。このルールを親子一緒に考えることにより、子どもは自分が決めたことを守ろうとします。好きなことを楽しむことで、やらなければいけないことに取り組む活力にもつながります。好きなことを思い切り楽しむと、心に余裕が生まれ、勉強などにも意欲的になれるものです。

このように、子どもが自分を満たすことを大切にしつつ、親としてルールやバランスを意識することが、健全な親子関係を築き、わが子の成長を支えるポイントになります。
スマホゲームをする様子

子どもが自分を満たせることが大事

筆者がコーチングを教えている保護者の中にも、子どもとのコミュニケーションに課題を抱えている方は少なくありません。忘れてはいけないのは、親子であっても他人であり、一人の人間として互いに関わることです。

筆者が頻繁にお伝えしているのは、「親自身の否定的な思い込み」に気付くことの重要性です。強い否定の感情があると、子どもの話に耳を傾けることが難しくなり、結果として相手を理解できなくなってしまいます。ゲームに対する「否定」も、その一例です。一度立ち止まり、自分自身の否定的な考えを客観的に見つめ直した上で、子どもに向き合うことが大切だと筆者は考えています。
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