本記事ではDuckDuckGoの特徴や使い方、Googleとの違いを分かりやすく解説。合わせて、実際にDuckDuckGoを利用している人に聞いたDuckDuckGoを使って良かった点や注意点を紹介します。
「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」とは?
「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」はユーザーのプライバシーの保護を基本方針とするインターネット検索エンジンです。検索エンジンのパーソナライズを目的として個人情報を積極的に収集するGoogle等の検索エンジンに相対するものとして、近年注目を集めています。通常の検索エンジンは、パソコンやスマホなどに「クッキー(Cookie)」を使用したりIPアドレスを使用し、ログイン情報や過去の行動記録を保存したりすることでユーザーに対する検索結果や広告の最適化を行うのが一般的です。一方、DuckDuckGoはユーザーの個人情報や検索履歴を保存しないことで、ユーザーがプライバシーの観点から安心して使用できる設計となっています。
Google等の検索エンジンは、個人情報を「収集する」
検索エンジンのプライバシー保護が注目を集めるきっかけとなった事件が2013年にアメリカで起こりました。アメリカ国家安全保障局(NSA)が「PRISM」と呼ばれるシステムなどを利用し、GoogleやFacebookなどネット企業9社のサーバーに直接アクセスし、大量に個人データを収集していたというものです。そもそもGoogleはユーザーの役に立つサービスを提供するために、以下のようなデータを収集し、利用しています。
- 検索内容
- アクセスしたWebサイト
- 視聴した動画
- クリックまたはタップした広告
- 現在地
- 端末情報
- IPアドレスとCookieのデータ
当然ながら、これらの情報には、他人に知られたくないプライベートな情報が多く含まれています。Googleは利便性を追求しているだけとも言えますが、それによって上記のようなユーザーのプライバシーを侵害する行為が行われる可能性を生んでいることもまた事実です。
DuckDuckGoは、個人情報を「収集しない」
DuckDuckGo(ダックダックゴー)は個人情報を保存することなく、良質な検索とプライバシー保護の両立を実現することをモットーとしています。まったくデータを収集していないわけではありませんが、アプリの利用状況を測定したり、不具合を検出し、アプリの改善に役立てるためのログデータを匿名で集めているだけです。1日あたりの検索クエリ数は2021年1月18日に、設立以来初めて1億件を突破しました。Googleの検索クエリ数は1日あたり数十億件とされているのでシェアは少ないですが、順調に成長していることがわかります。
■検索結果に位置情報を反映? プライバシーは本当に保護されているのか
今回、試しにDuckDuckGoで「ラーメン」と検索したところ、意外にも著者の所在地である広島県の情報が出てきました。
DuckDuckGoはユーザーの情報を収集していないはずなのに、どうしてユーザーの位置情報が反映されているのでしょうか。
実はDuckDuckGoは、ポリシーにおいて「匿名性を保ちながら、位置ベースの検索結果を提供することができる」としています。
これには「IPジオロケーション」と呼ばれる、ネットワークのIPアドレスからユーザーの位置情報を推測する技術が利用されています。推測された位置情報とIPアドレスはDuckDuckGoによって破棄されます。
この技術ではユーザーの大まかな位置情報しか特定できないため、検索結果の精度を高めるためにユーザーに「位置情報を有効にするか」の許可を求めることがあります。
許可した場合でも、ブラウザから返された位置情報は、ユーザーのデバイスにローカルに保存され、DuckDuckGoのサーバーに送信されることはありません。
つまり、より正確な位置情報を使用するように許可しても、検索の匿名性は保たれるということです。
DuckDuckGoの特徴
DuckDuckGo(ダックダックゴー)には上記のほか、次のような特徴があります。・広告が少ない
Googleなどで検索を行うと上部に広告が表示されますが、DuckDuckGoの場合は検索ワードによって広告が出てくる場合と出てこない場合があります。Googleと比較して広告が少ないので、見やすいレイアウトになっています。
・検索履歴が表示されない
Googleでは以前に検索したワードが検索バーに表示されますが、DuckDuckGoではそのような検索履歴は表示されません。検索履歴が他人にばれるという事態を回避することができます。
・検索結果画面は「スクロール」で無限表示
検索結果画面はGoogleのようにページ区切りではなく、「結果をさらに表示」をクリックすると無限に表示されていく形式をとっています。検索結果を一覧で表示したい場合に便利です。
DuckDuckGoの使い方
DuckDuckGo(ダックダックゴー)は、公式サイトにアクセスすれば利用できます。その他、使っているブラウザの設定からデフォルトの検索エンジンをDuckDuckGoに変更するか、DuckDuckGoの無料アプリをダウンロードして使う方法もあります。以下ではDuckDuckGoをGoogle Chromeの既定ブラウザにする方法を解説します。
■DuckDuckGoをGoogle Chromeの既定ブラウザにする方法
1. Google Chromeを開く
2. 右上にあるツールバーのメニューアイコンをクリック
3. 「設定」をクリック
4. 左メニューにある「検索エンジン」をクリック 5. 「変更」をクリックし、DuckDuckGoを選択する
■DuckDuckGoのアプリをダウンロードする方法もある
iPhoneやAndroidなどのスマートフォンからDuckDuckGoを利用する場合には、パソコン(PC)と同じく、Google Chromeの既定ブラウザをDuckDuckGoにするか、アプリストアからDuckDuckGoのアプリをダウンロードすれば利用できます。
DuckDuckGo以外のプライバシー保護型検索エンジン
なお、DuckDuckGo(ダックダックゴー)以外にも、プライバシー保護型検索エンジンがいくつかあります。■Epic Privacy Browser
高速で安全な暗号化プロキシ、広告およびトラッキングブロックなどの機能が組み込まれている Webブラウザです。デフォルトで履歴などを保存しないシークレットモードで動作することができます。
■Brave
広告ブロック機能を搭載しており、また、Brave Paymentと呼ばれる機能で、特定のWebサイトの運営者に匿名でデジタル通貨を送金することも可能です。Google Chromeよりもページ読み込み速度が速いとされています。
実際に「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」を使ったことがある人に聞いてみた! 便利だと感じたことや操作で迷ったことは? リアルな感想
ここからはAll About編集部が実施したアンケート調査から、DuckDuckGo(ダックダックゴー)を利用したことがある20~60代の計100人に聞いた、DuckDuckGoを使おうと思ったきっかけや使ってみて便利だと感じたこと、操作で戸惑ったことなどを紹介します。●DuckDuckGo(ダックダックゴー)を使おうと思ったきっかけ
(1)プライバシー・個人情報保護の観点から
・個人情報を追跡されずに検索できると知り、プライバシー保護に興味を持ったため(50代男性/愛知県/メイン利用の検索エンジン:Google)
・検索履歴を収集していない点に魅力を感じた(40代男性/東京都/メイン利用の検索エンジン:Google)
(2)GoogleやYahoo!など他の検索エンジンに不満があった
・広告枠の表示が紛らわしいのと、Googleを使用すると自分の過去の検索履歴がWeb上の広告に反映されるのが嫌だったので(50代男性/愛媛県/メイン利用の検索エンジン:DuckDuckGo)
・googleなど、見れない情報、政府が隠そうとしている情報が見れないと思うことが多々あり、DuckDuckGoに変更した(30代/沖縄県/メイン利用の検索エンジン:DuckDuckGo)
(3)友人・知人からの紹介や口コミを見た
・ネットリテラシーの高い友人に勧められたため(10代女性/岡山県/メイン利用の検索エンジン:Google)
・YouTubeの動画で知り、検閲されてないのでYahoo! JAPANやGoogleでは出てこない検索結果が出ると聞いたため(20代男性/北海道/メイン利用の検索エンジン:DuckDuckGo)
●DuckDuckGo(ダックダックゴー)を使って便利だと感じたこと
(1)個人情報が追跡されないため広告や余計な情報が少なく、検索結果がシンプル
・Googleのようにスポンサーのサイトが一番上に出てくるようなことがなく見やすい。デザインがすっきりしていると感じた(20代女性/茨城県/メイン利用の検索エンジン:Google)
・個人情報を追跡されずに検索でき広告や余計な情報が少ないため、純粋に知りたい情報に集中できる点が便利で快適(20代男性/静岡県/メイン利用の検索エンジン:Google)
(2)Googleや他の検索エンジンでは出ないマイナー情報にもアクセスできる
・Googleと同じキーワードで検索した際にDuckDuckGoのほうが検索結果が多く、Googleでは絶対に出てこない情報も出てきて良かった(40代女性/新潟県/メイン利用の検索エンジン:Google)
・普通の検索エンジンでは引っ掛からないような海外サイトが上部に出てくる(20代男性/京都府/メイン利用の検索エンジン:Google)
(3)検索スピードが速く、古い端末でも快適に使える
・シンプルで動作が軽くいので、PCやスマホの古い機種や充電が少ないときでも快適に使えるのが良い(20代男性/兵庫県/メイン利用の検索エンジン:Google)
・古いスマホを使っていたので広告やトラッカーがないぶん、ページ表示が早いと感じた(10代女性/岡山県/メイン利用の検索エンジン:Google)
●DuckDuckGo(ダックダックゴー)を使って戸惑ったことや迷ったこと
(1)検索精度・情報量への不満があった
・欲しい拡張機能が対応していないものがあり、他のブラウザや検索エンジンを併用する必要があったため少し不便に感じた(20代男性/静岡県/メイン利用の検索エンジン:Google)
・検索結果が日本語ではやや少なめで、欲しい情報にすぐたどり着けないことがあった(50代男性/愛知県/メイン利用の検索エンジン:Google)
(2)操作性・使い慣れの戸惑いがあった
・使い慣れるまで若干使いずらいと感じた。検索でなかな使っている人がいないので、情報が見つからなかった(20代女性/東京都/メイン利用の検索エンジン:Yahoo!)
・同じ検索ワードでもブラウザの癖があるのでGoogleだと上にあるのに見つからないから何度もスクロールしたり次のページなどの手間がたまにある(30代男性/岐阜県/メイン利用の検索エンジン:Google)
(3)日本語・地域対応の不便
・日本語の検索が若干弱いところは少し戸惑った。日本語で特定のキーワードの記事を検索した際、その検索キーワードと無関係な記事が検索に引っ掛かったときは素直にGoogle検索すればよかったと感じた(30代男性/東京都/メイン利用の検索エンジン:Google)
・地域設定を日本にしていな状態で、英単語で検索をしたときによく分からない外国のサイトが検索結果に出てきてしまい戸惑うことがある。設定をしていればそのようなことが起こりにくいので、注意しておけば大丈夫(40代女性/埼玉県/メイン利用の検索エンジン:Google)
●DuckDuckGo(ダックダックゴー)の認知度について
最後に、読者に聞いたDuckDuckGoの認知度、利用経験をご紹介します。
All About編集部が2025年7月に実施したアンケートでは、全国20~70代の500人のうち「使ったことがある」人は3.8%(19人)、「現在も頻繁に使用している」人は1.2%(6人)。83.8%(42人)については、「知らない」ことが分かりました。 DuckDuckGoはまだまだ知っている人、使っている人が少ない検索エンジンといえそうです。検索履歴や行動データが追跡されるのが気になる人がいたら、ぜひ一度試してみては。
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