驚くほど増えた、家族と過ごす時間
コロナ禍で約4人に1人が家族の時間が増えたことを実感し、その増えた時間の平均は、なんと1日あたり4.4時間という調査結果(※)が出ました。
おうち時間が増えれば、快適な家の間取りも変わります。今回は、一級建築士で住宅リフォームコンサルタントの筆者が、消えていった間取り、これから必要な間取りをご紹介しましょう。
「消えた」間取り………小さな部屋はもう要らない?
コロナ禍を通じて高まったのが、家に帰ったらすぐに手が洗えるようにしたい、玄関にマスク収納が欲しい、家の中までコートを持ち込みたくない、テレワークスペースを確保したいといった声。生活スタイルが変われば、暮らしやすい家のカタチもまた変化していきます。
これまでも社会情勢や暮らし方の変化によって、求められる家の間取りは変わり続けてきました。
■30年ほど前は「部屋数」を重視した家づくり
例えば今から30年ほど前までは部屋の数が重視され、4LDK 、5LDKといった部屋数で家を評価する傾向がありました。というのも、それぞれの個室を確保した上で、応接間や和室、台所、食堂、リビングなどそれぞれの用途に合わせた部屋を用意する家のつくりが一般的だったからです。
そうなれば、ひとつひとつの部屋の面積は小さくなってしまいます。だから築年数が古い家は、小さな部屋がたくさんある間取りの家が多いのです。今となっては使いにくい間取りですから、空間を広げて部屋数を減らしたいというリフォームの依頼は少なくありません。
■最近の家には滅多にない「応接間」と……
今の時代はといえば、専用の応接間がある家は、よっぽどの豪邸でないとなかなか見ることがありません。和室も、今どき分譲される新築一戸建てやマンションではある家のほうが珍しい状況です。
家族が小さな単位になったことで来客も減り、応接間はリビングと融合。和室も暮らし方の変化で使わなくなり、やはりリビングと融合。より広々とした空間が好まれるようになりLDKが一体化するなど、いくつかの部屋が消えていった代わりに、リビングが大きく広がることとなりました。
大きく変化した「リビング」の使い方
リビングが広くなったことで、今度はそのリビングをどのように使うかを考える必要が出てきました。
というのも、従来のリビングは家族でテレビを見る、ゲームをする、おしゃべりとするといったように、みんなで集まって何かひとつのことをすることを目的に考えられてきました。
ところがそうはいっても、それぞれやりたいことが違ったり、家族で集まって一緒にすることもそれほどなかったり。結局リビングに人がいない、個室に閉じこもるという状況が生まれたのです。
そこで注目されるようになったのが、自然に家族が集まり、家族の絆を感じられるリビングの間取りです。大きな災害を何度か経て、家族で助け合う暮らし、家族の絆の大切さを改めて実感し、家の間取りにも変化をもたらしました。
例えばリビングの一角にワークスペースを作ったり、リビング内にデスクを分散させて置いたり。家族と同じ空間でお互いの気配を感じながら、それぞれ好きなことを楽しめる間取りです。
ところが、おうち時間やテレワークが増えた今、また別の問題が生まれてきました。小さくてもいいので部屋を壁で囲いたい、もっとしっかりとした個のスペースを確保したいという声です。
家の中で「ひとりになれる」場所が欲しい
家族の気配を感じられる間取り、絆を感じられる間取りは、普段ばらばらに過ごしている時間が多いからこそ価値があるものです。おうち時間が増えていつも一緒となれば、また話は変わります。ストレスが溜まってたまにはひとりになりたい!と思うこともあるでしょう。テレワーク問題もあります。リビングの一角ではどうしても気が散ってしまう。テレビの音や話し声が耳に入る、集中できないなどの悩みは多く、テレワークの時には子供部屋や車の中、トイレなどに移動しているという家庭内ノマドワーカーの話もあります。
家にいる時間が長くなれば、今度は個のスペースが必要となります。といっても昔のように小さな部屋がたくさんある間取りにするのではなく、システム家具や可動間仕切り壁を上手に使えば、生活スタイルや、暮らしのシーンに合わせてフレキシブルに間取りを変化させることができます。
移動が可能な可動間仕切り家具。リビングを広く使いたい時は壁に寄せ、テレワークの時は間仕切りとして使うなどができます(セフィット)
※家族時間の変化と住まいに関する調査(株式会社LIXIL調べ)