子育て/言ってはいけない言葉

言ってはいけない言葉!子育てNGワード20連発

子どもに言ってはいけない言葉とは? どれも日常的に何気なく使ってしまっている言葉ばかりですが、子供に様々な影響をもたらします。親が子供に「言ってはいけない」20の子育てNGワード。どのように言えば子供に思いが伝わるのか、子供への上手な伝え方をご紹介します。

執筆者:All About 編集部

言ってはいけない言葉とは? 親の言葉は子供にとって想像以上に重いもの

言ってはいけない子育てNGワード 親が子供に言ってはいけない言葉

親の言葉は子供にとって想像以上に重いもの

真剣にこちらの思いを伝えているはずなのに、子供にまったく伝わらない、言うことを聞く気配がない、子供に良かれと思って言っているのに、逆に反発される……子育て中は、そんなやりとりの繰り返しです。

子育ては、親が子供にかける言葉ひとつで変わっていきます。親の言葉は子供にとって想像以上に重みを持ち、何気なく言った言葉や悪気なく使っている言葉が、せっかく生まれた好奇心を潰してしまったり、やる気を削いでしまったりするだけでなく、後々大人になっても残るような、自己否定や深い傷を残してしまうことさえあります。

親として、言葉が子供にもたらす影響を知っておきましょう。
 

子供に言ってはいけないNGワード1「ダメ!」 

子どもに言ってはいけない言葉 ダメ

困ったいたずらは好奇心の証。大切に伸ばしてあげましょう

子供が危ないことをしている場面での危険回避から、触ってほしくないものを触っているなどの行動を制する場合まで、様々な場面で子供に使うことの多い「ダメ」。
 
してほしくない行動を制する場合、子供は頭ごなしに「ダメ」と言われても「行動を制限された」不快感を覚えて、行動を止めないどころか、大きな声でなきわめいたり、言い返したり……と反発してしまいます。ママがやめてほしいと思うような行動も、危険な行動でない限り、子供の成長過程では大切なこともたくさんあります。子供の行動を「ダメ」でがんじがらめにして、興味や好奇心を潰してしまわないようにしましょう。
 
そうは言っても、どうしてもしてほしくないことをしていた時は、まず「やってみたかったんだね」と子供の興味を受け取った上で「でも、これはママの大切なものだから」としてほしくない理由をシンプルに伝えましょう。「危ないからママと一緒に触ってみよう」「ママの手帳は大切なものだからダメだけど、このノートならいいよ」など、「ダメ」で行動を制する代わりに「何をしても良いのか」を教えてあげれば、子供は望ましい行動を理解して進んでいくことができます。

(▷参考:子供の命を守る「ダメ」、好奇心を潰す「ダメ」
 

子供に言ってはいけないNGワード2「早くしなさい!」

子どもに言ってはいけない言葉 早くしなさい

「7時40分に家を出るから、朝ごはんは7時30分までに食べ終わろうね」と理由や時間も一緒に言うと、伝わりやすく、時間の概念も育ちやすくなります

「早く」「急いで」と急かされることで、子供は考える余裕を失い、とりあえず、今親に急かされている行動を終わらせることだけを考えます。考えることが苦手になるので学習も落ち着いて取り組めず、その状態が繰り返されれば、何事にも主体性がなくなっていってしまいます。
 
「早く」「急いで」の代わりに子供を急がせたい時は……
  1. 「早く朝ごはんを食べないと、学校に遅刻しちゃうよ」
    急がなければならない理由を一緒に言うことで、子供の行動の原動力にします。
  2. 「早く準備して!」ではなく「洋服に着替えて」
    一度にいくつもの行動をまとめて急かされると、気持ちが焦るばかりできちんと行動ができません。1つの行動に絞って具体的に示してあげることで何から行動すればいいのかが伝わります。
  3. 「7時40分に家を出るから、7時半までに朝ごはんを食べ終わろう」
    「早く!」「急いで!」ではどのくらい急げばよいのか、子供には伝わりません。時間も具体的に伝えることで、時間の概念が育ちやすくなり、後に自分で計画を立てて動く練習にも繋がります。 

「早く!」「急いで!」は、親にはただ急かしている言葉でも、子供にとっては自分のペースを否定されていることにもなり、自分は認められないと感じてしまいます。まずは、子供のペースを見守り、子供が自分自身の意志で行動できるような工夫で伝えましょう。

(▷参考:行動が遅い子どもに「早く」と言ってしまうことへの弊害と改善方法!
 

子供に言ってはいけないNGワード3「片付けないと捨てちゃうよ」

子どもに言ってはいけない言葉 片付けないと捨てちゃうよ

おもちゃのお片づけ、子供にどう教えればいい?子どもに片づけを学ばせるのは心理戦でもある⁉

最初は「捨てられちゃう!」と慌てたとしても、その効果は数回まで。なぜなら、子供はママが本気で言っているわけではない、ということに数回で気付いてしまうからです。

片付けだけでなく「〇〇が終わらないと、✖✖に連れて行ってあげないよ」(でも結局連れて行く)、「〇〇しないなら、もうゲームは禁止」(「今度からちゃんとやるから」に根負けして許す)など、ママの「オオカミ少年化」は、子育ての他の場面でも見られます。

子供は、言葉よりも、自分の身に降りかかったことで多くを学びます。実際に行動に起こせないことは、子供に対して言わないことが大切。「捨てちゃうよ」と大げさなことを言ってやらないよりは、「夕方まで預かる」など、小さなことを着実に積み上げていくことで、子供たちは学びます。大好きなおもちゃで遊べない数時間を実際に味わうことで、子供たちは、「ママの言うことは本当だ」ということを学び、「ならば、言うことを聞いた方がいい」と学んでいくのです。

(▷参考:子供のしつけ、「おもちゃを捨てるよ」で言う事を聞く?
 

子供に言ってはいけないNGワード4「ちょっと待って」

子どもに言ってはいけない言葉 ちょっと待って

子供の「聞いて聞いて」。本当は今すぐ聞いてあげたいのだけど……

大人は、1日をいかに効率よく回していくかに重点を置きがちで、仕事をしている人は特に、家事を「タスク」として処理しようとする傾向が強いかもしれません。そんなタスク処理的概念が子供の「聞いて」に「今ここで中断すれば、余計に時間が掛かる」という判断を下し、「ちょっと待って」と子供に言ってしまうわけです。
 
「聞いて聞いて」と言ってくるときは、子供の感情が大きく揺れることがあったとき。しっかり受け止めて共感することで、子供の心は育っていきます。

子供の「聞いて聞いて」が始まったら、なるべく一度その場で家事や仕事の手を止めて「聞く態勢」をつくりましょう。子供の目を見て、少し身を乗り出して、あいづちを打ちながら聞けば、しっかり聞いてくれていると子供が感じて、思っていたより時間はかからないはず。子供には、話の内容を伝えたいというよりも、「親が自分にちゃんと向き合ってくれている」と感じたいときが多々あります。

「ねえねえ、聞いて」は、子供が何を考えて生活しているのかを知る大切なチャンスだと思って対応しましょう。

(▷参考:どう対応してる?忙しい時の子どもの「聞いて聞いて」
 

子供に言ってはいけないNGワード5「鬼がくるよ!おばけがくるよ!」

子どもに言ってはいけない言葉 お化けがくるよ!鬼がくるよ!

「早く寝ないとお化けがくるよ!」と言うのは脅し?しつけとしてあり?

「〇〇しないとお化け(鬼)が来るよ!」という言葉は、使い始めの段階では子供は「大変!早く○○しなくちゃ!」と慌てて行動し、ママは即効性のある効果を感じられるかもしれません。
 
でも、繰り返し使っているうちに、子供に言うことを聞かせる効果は薄くなり、しかも、その後お化けや鬼がその子の恐怖対象になりやすいというおまけがついてきます。寝かしつけに時間がかかる、夜中もトイレで起こされる、すぐにママを呼ぶ……と恐怖心でできないことが増えてしまい、結果的に、その子だけでなく、ママをも苦しめることになるのです。

「お化けが来るよ」は、できなかったときのデメリットを伝えることで、子供をやる気にさせるやり方。このような否定文ではなく、「8時におふとんに入れたら、絵本を1冊読んであげるよ」「今、お着がえができたら、すぐに公園に連れて行ってあげるね」など、「できたら~~だよ」の肯定文でメリットを伝えましょう。のちのちまで引きずってしまう心への影響も踏まえれば、少し遠回りに見える「メリットを伝える」方法の方が、実はずっと近道なのです。

(▷参考:子供に「おばけや鬼がくるよ!」という脅しのしつけは有効?
 

子供に言ってはいけないNGワード6「勉強しなさい!」

子どもに言ってはいけない言葉 勉強しなさい!

東大や有名大学に合格する子供の親は、勉強を強要するのではなく、勉強する環境を整えたり、習慣をつける支援をしています

「勉強しなさい」の「~しなさい」は、相手に指図したり叱ったりする時の言い方です。人に指図されると反発心が起こり、その事柄に対してやる気も出ません。それに、勉強をしないという行為は、他人に迷惑をかけているわけでもなければ、公共のマナーやルールを守っていないわけでもないので、子供にとっては「叱られるべきこと」ではないのです。
 
「今日は宿題が多いって言ってたね。まだ始めなくて大丈夫なの?」「夜になったら、眠くなるでしょ。まだ勉強しなくていいの?」など、命令ではなく、子供が自ら考えるきっかけを与え、その後、自分で判断して行動できるような言葉をかけましょう。

子供に何かを自ら進んでさせたいときは、親は子供に強要するのではなく、支援することが大切。親が日頃から読書をしたり、勉強をしている姿を見せて勉強に対する姿勢を学ばせたり、勉強をした効果が表れた時は、親も一緒に感動を共有する、勉強部屋を整えるなど、子供が勉強に向かう環境を最大限に支援し、「勉強しなさい」と言わなくても、自主的に勉強をする習慣を親が作り出していきましょう。

(▷参考:「東大合格する子の親は勉強しろと言わない」は本当?
 

子供に言ってはいけないNGワード7「今日からテレビ禁止!」

子どもに言ってはいけない言葉 今日からテレビ禁止!

テレビの視聴ルールは家族全員で作りましょう

言ってはみたものの、実際には「今日からテレビ禁止!」を実現することは非常に困難。「テレビ禁止」は家族全員に及ぶことなので、他の家族からの不満のみならず、自分自身も不便な思いをすることは避けられません。もし「これから1ヵ月はテレビ禁止!」と言ったなら、1ヵ月も経たないうちに「反省したなら見てもいいよ」と親から子供に持ちかける情けない事態は避けたいものです。
 
さらに、テレビ見たさに「気が付いたらテレビがついていた」「テレビはついていたけど、自分は見ていなかった」など、すぐに嘘とわかるような内容でも、嘘をつくことに子供が慣れてしまうことも防ぎたい事態です。

テレビ視聴のルールを家族全員で考え、子供自身に決めさせて作りましょう。押しつけられたルールに嫌々従っていると親に対する不満しか持ちませんが、「自分たちで決めた」ルールならば、守ろうという意識も出て、守れたときには達成感を味わうことができます。

(▷参考:子供のテレビには守れるルールを~テレビ禁止がNGな3つの理由~
 

子供に言ってはいけないNGワード8「ゲームをやめなさい!」

子どもに言ってはいけない言葉 ゲームをやめなさい!

ゲームが子どもに良い影響があるとの研究結果がある一方、暴力的ゲームや学業への悪影響も知った上で、ゲームばかりする子や中毒な子どもへの対処法を押さえておきましょう

じっくりと物事に取り組む集中力が落ちたり、学業不振や、暴力的なゲームが引き起こす問題行動など、マイナス面が目立つゲームですが、普段テレビゲームをしている子の方が創造力が高かった、という研究結果やゲームにより数学やサイエンスに必要な視覚空間的な認知力、推論力が高まる、などゲームの良い影響も報告されています。
 
頭ごなしに「ゲームをやめなさい!」と言うのではなく、「マイナス面」の影響を少なくするゲームとの付き合い方を示してあげることが大切です。子供と一緒にスケジュールを可視化して、ゲーム時間を含む全体のバランスを確認しましょう。

また、「ゲームをやめなさい!」と頭ごなしに禁止するのではなく、子供自身が「ゲームと同じくらい楽しいことってあるんだな」と感じられるような「他の楽しみ」を体験させてあげることで、必要以上にゲームからの過激な刺激を欲することも少なくなります。
 
子供時代は、将来電子機器をバランスよく使いこなすための土台を築く期間。ゲームは中毒性が高いものですが、無理やり禁止してしまうでも、好き放題やらせてしまうでもなく、子供と一緒にゲームとの上手な付き合い方を見つけていきましょう。

(▷参考:ゲームが子供に与える良い影響と悪い影響!親の取るべき対処法とは
 

子供に言ってはいけないNGワード9「お姉ちゃんなんだから/男の子のくせに」

子どもに言ってはいけない言葉 お姉ちゃんなんだから/男の子くせに

「お姉ちゃんなんだから」「男の子のくせに」……つい口に出していませんか?

自分自身が子供のときに「お姉ちゃんなんだから」「女の子なんだから」と言われて我慢させられたことが嫌だったので、絶対に子供には言わない!と決めているママは多いようですが、無意識のうちに使ってしまっていることも多い言葉。

「お姉ちゃんなんだから、半分わけてあげなさい」「お兄ちゃんなんだから、貸してあげなさい」という使い方だけでなく、「貸してあげたんだね、さすがお姉ちゃんだね」という、親としては褒めたつもりの言葉でも「姉としての望ましいあり方」を子供にインプットすることになってしまいます。同じことを褒めるにしても「貸してあげたんだね、あなたは優しいね」の方が、子供の自尊感情が上がる伝え方でしょう。
 
同じような言葉に、「女の子なんだから」「男の子のくせに」という言葉もありますが、子供の反発を招いているのはいずれにしても「余分な言葉」。伝える時は、子供に伝えたいことだけをシンプルに。これが鉄則です。

(▷参考:子どもの反発を招く!つい使いがちな親のNGワード4つ
 

子供に言ってはいけないNGワード10
「○○ちゃんは、~~しているのに、あなたときたら……」

子どもに言ってはいけない言葉 ○○ちゃんは、~~しているのに、あなたときたら……

他人と比べて否定されると子供は反発しますが、これは大人でも同じこと

他人と比べて否定されると、子供は反発しますが、これは大人でも同じこと。「○○ちゃんは、あんなにしっかりしているのに、あなたときたら……」を自分に置きかえってみると、「○○さんは、あんなに素早く仕事をこなせるのに、あなたときたら……」こ言われているようなこと。言葉の残酷さが伝わります。
 
常に一緒にいる兄弟との比較は、兄弟仲を悪くするきっかけになりかねません。「お母さんがあなたくらいの頃は」というのも同様で、子供と親は別の個性。過去の自分は多分に美化されていたりもするので、要注意です。
 
人と比較されて頑張ってしまう子供は、親の愛情を得ようと一生懸命で「ありのままの自分では愛されない」と思っているのかもしれません。「うちの子は負けず嫌い」と単純に片付けないようにしましょう。
 
比較していいのは、過去の子供自身とだけ。そして、褒める時だけ、と心得ておきましょう。「前は苦労していたのに、こんなに上手にできるようになったのね!」という言葉で、子供は自分自身の成長も実感することができるのです。

(▷参考:子どもの反発を招く!親のNGワード集
 

子供に言ってはいけないNGワード11「いつも、ちっとも、絶対」

子どもに言ってはいけない言葉 いつも、ちっとも、絶対

「いつも宿題を後回しにして」「いつもじゃないよ!」

「いつも宿題を後回しにして」「遊んでばっかりで、ちっとも言う事を聞かないんだから」「夜更かししてたら絶対明日起きられないよ」……おそらくほとんどの親が言った覚えのある小言です。
 
この小言のあと、子供は言うことを聞くかというと、大抵はその逆。「いつもじゃないよ!」「遊んでばっかりじゃないよ!」「少しは言う事を聞いたよ!」「この前はちゃんと起きられたよ!」……と「いつも」「ちっとも」「絶対」などの強調を拾い上げて反発してきます。
 
しっかり言い聞かせようとして、もしくは無意識のうちに不必要な強調をすると、論点がずれていってしまいます。この場合、親が伝えたいことは「遊ぶ前に宿題をしなさい」「夜更かししないで、寝なさい」。不必要な強調の言葉を入れて小言を並べるのではなく、ストレートに伝えた方が、子供に伝わりやすく、逆に反発も抑えられます。

(▷参考:子どもの反発を招く!つい使いがちな親のNGワード4つ
 

子供に言ってはいけないNGワード12「~~したら、○○をあげる」

子どもに言ってはいけない言葉 ~~したら、○○をあげる

子供がもっとも欲しているご褒美は「親の目線」

「明日の朝、泣かないで幼稚園に行けたら、帰りにアイスを買ってあげる」「来週のテスト、100点だったら、あのゲームを買ってあげる」というように、「~~したら、○○をあげる」という言葉で、お子さんのやる気を引き出すために使うご褒美作戦。確かに子供は喜んでやる気を出すかもしれませんが、物で動くことに慣れてしまうため、将来、報酬が得られないとなかなか腰が上がらない大人になってしまう可能性が高いのです。
 
そうかと言って、ご褒美は「悪者」かというと、心理学の研究によれば、「キッチンでママとクッキーを作る」「少し遠いけれど、大好きな公園まで足を延ばす」など「物」ではないご褒美は、子供の本来のやる気を損なわない心に健全なご褒美です。空間や時間は、目には見えないけれど貴重なもの。それをうまく活用するのがコツです。
 
何よりも「ママの目線」は子供にとって、物では置き換えられない貴重なもの。親に「見てもらいたい」という気持ちは、物をあげるよりも先に満たすべきものです。 

(▷参考記事「子供にとって最高のご褒美は?オモチャ、それとも…?」)
 

子供に言ってはいけないNGワード13「ちゃんとしなさい!」

子どもに言ってはいけない言葉 ちゃんとしなさい!

子供には親が言う「ちゃんと」のイメージが掴めているでしょうか?

「ちゃんと」しなさい、「ちゃんと」立ちなさい、「ちゃんと」言いなさい、「ちゃんと」した人間になりなさい。親の頭の中には「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」したイメージが浮かんでいて、そのイメージに子供が近づく努力をしてくれることを期待しています。
 
しかし、子供にはこの、「ちゃんと」のイメージが掴めているでしょうか? 自分なりに試行錯誤した「ちゃんと」を実践してみると、親が期待した「ちゃんと」には程遠く、また怒られてしまい、「自分はちゃんとできない人間なのだ」という自己評価を下してしまいます。
 
例えば、「ちゃんと立ちなさい」は、「背筋を伸ばして、腕は横に下ろして、まっすぐ前を見て、アゴをひいてごらん」ということ、「しっかり走りなさい」は、「キョロキョロせずに、前をまっすぐ向いて走る。応援してくれている人に、手を振ったりしない」ということを理想としているならば、それを具体的に子供と共有し、親が望ましいと思っているポイントがどこなのか、子供が認識できることが大切です。「ちゃんと」の定義をあいまいにしたまま「ちゃんと」していない、と怒るのは、フェアじゃないのです。

(▷参考記事「子育てNGワードを使っていませんか?
 

子供に言ってはいけないNGワード14「こらっ!」

子どもに言ってはいけない言葉 こらっ!

「こらっ!」は子供に威圧感を与えるには効果的ですが…

子供を叱るとき、「こらっ!」は、子供に威圧感を与えるには効果的な言葉のように思えますが、実際には子供を叱るときに「怖さ」や「威圧感」は必要がないどころか、逆にマイナス要因とさえなり得ます。なぜなら、子供は親の威圧的な態度をやがて真似するようになってしまうからです。
 
すぐにお友達のことを叩いてしまう我が子に対し、親がお仕置きとしておしりを叩いてしまっては、新たな種をまいているのと同じ。親が乱暴に解決すれば、子供も乱暴に解決するようになります。「叱る」という場面は、子供の行動を正すことに目が注がれますが、親が難問に立ち向かうときの対処法を露呈する場でもあるのです。
 
「こらっ」という言葉自体に意味はありませんが、子供は親が威圧的にその場を制しようとしているのを見て、自分が困ったときに、そのテクニックを活用していきます。
 
子供を叱るときにポイントにしたいのは、顔の表情と感情の露出度。鬼の形相よりも普通の顔、普通の声のトーン、毅然とした態度が求められます。

(▷参考記事「おきまりの叱り言葉……実は心理学的には効果ナシ!?」)
 

子供に言ってはいけないNGワード15「いいかげんにしなさい!」

子どもに言ってはいけない言葉 いいかげんにしなさい!

「いいかげんにしなさいって…どんな加減?」

「いいかげんにしなさい」は非常によく使われる言葉でありながら、叱っている場面とは直接関係がないため、子供には伝わりません。私達大人は、子供の時に自分たちが言われ続けてきたこともあり、そのニュアンスが理解できますが、子供は抽象的な言葉や裏に意味を含んだフレーズ、行間を読むのは苦手です。「いいかげんにしなさいって……どんな加減?」と疑問に思われるだけ。
  • 「なにやってるの!」⇒実際は、見れば分かります。
  • 「もう勝手にしなさい!」⇒実際は、勝手にされたら困ります。
  • 「まったくしょうがないんだから!」⇒改めて考えると意味不明です。
「中身がない」「言っても意味がない」「子供に伝わらない」言葉は、「いいかげんにしなさい」以外にも、知らず知らずのうちに使っているものです。
 
子供へ何かを伝えるときのポイントは、言葉の具体性。ママが言っていることと、子供が理解していることのギャップを限りなくゼロに近づけることが目標なので、言葉自体が具体的な意味を伝えない、抽象的な言葉は避けた方が子供に伝わりやすいのです。

(▷参考記事「おきまりの叱り言葉……実は心理学的には効果ナシ!?」)
 

子供に言ってはいけないNGワード16「いいね、すごいじゃん」

子どもに言ってはいけない言葉 いいね、すごいじゃん

「ママ、できた!」「ねえねえ、聞いて!」と言ってくる時は「頑張りをほめてほしい」時

家事でバタバタしている時や返信しなければいけないメールを打っている時など、「ねえねえ、こんなことができた!」と言ってくる子供に「ふーん、すごいじゃん」「へぇー、よくやったね」と上の空で聞いて、相槌のように褒めていること、ありませんか。

子供が「ママ、できた!」「ねえねえ、聞いて!」と言ってくる時は「頑張りを褒めてほしい」という時が多く、そのタイミングは、自分に自信をつけて成長していくチャンスの時と心得て逃さないようにしたいもの。

また、子供が「これ見て」と作文や絵を持ってきた時、親は「全体的な高評価」や「絶賛」をしているつもりで「いいね」「上手だね」と褒めるのですが、漠然とした褒め言葉では、子供はあまり褒められたと感じられません。
 
「ここの明るい色使いがいいね。心があったかくなる感じがするよ」「この言い回しが素敵だね。悲しい気持ちが伝わってくるよ」と、具体的に褒めることによって、子供は自分がどこを伸ばしていけばいいのかがわかります。
 
子供を褒める時は、取り組んでいることを少しだけ横に置き、子供の目を見て心を込め、具体的な言葉をかけてあげましょう。

(▷参考記事「ほめてるつもりでほめてない?NGな子どものほめ方」)
 

子供に言ってはいけないNGワード17「100点とって賢いわね!」

子どもに言ってはいけない言葉 100点とって賢いわね!

次のテストで100点をとれなかったら、どうしよう……

「100点とって賢いね!」「優勝したなんて才能あるわ!」など、「結果」や生まれ持った「才能」を褒めることが、子供の成長にとってマイナスに作用してしまうということは、多くの研究が示しています。

結果や才能など、子供自身で常にコントロールできないことを褒められても、次回へのやる気には繋がらないのです。それどころか、「才能がある」「賢い」という評価を損なわないために、より難しい課題へ挑戦することを避けたり、失敗を恐れるようになることもあります。
 
「合格」や「達成」という結果ばかりを褒めると、「100点を取ってくる子供が好きなんだ」と感じてしまい、子供は自分がほめられたという感覚が薄くなります。それが進むと「合格できなかった自分はダメだ」というように、子供が自分を否定するようになっていきます。
 
結果だけを褒めるのではなく、そこに至るまでの頑張り、やり抜く力、努力など、子供自身がコントロールできると感じることを褒めてあげましょう。「途中少し弾き間違えたけど最後まで諦めなかったこと、偉かったと思う。 ピアノコンクール優勝おめでとう!」「1週間ゲームの時間を減らしてたくさん勉強して頑張ったね。満点嬉しいね!」こうした言葉がけによって、次回も頑張るぞ!というやる気へ繋げていきましょう。

(▷参考記事「子供のためにならない!5つのNGな褒め方とは?」)
 

子供に言ってはいけないNGワード18「学校どうだった?」

子どもに言ってはいけない言葉 学校どうだった?

「学校どうだった?」「普通だよ(授業と休み時間と給食があったよ)」

 「今日、学校どうだった?」と問いかけると、子供からは「普通だよ」「別になにも」という答えが返ってきませんか?「学校どうだった?」というのは、子供にとっては何を聞かれているのか、何を答えればいいのかよくわからない「範囲が広すぎる質問」なのです。「最近、どう?」という質問に近いかもしれません。
 
「給食おいしかった?」→「おいしかったよ」、「何がいちばんおいしかった?」→「ハンバーグかなあ」、「おうちのハンバーグと違った?」……というように、場面を限定して話題を展開できるような質問の仕方にしてみましょう。

 子供の話を聞くときは、「その時、どう思った?」とか「それを見て、どう感じた?」など、その時どんな気持ちになったのかを聞き、その気持ちをそのまま受け止めます。最も大切なことは、子供の気持ちを「否定しない」こと。例えばお友達とケンカして「殴ってやろうかと思った!」と言った時に「そんなふうに思っちゃダメ!」などと返してしまうと、子供は自分の気持ちを否定されたと感じて、話してくれなくなります。「殴りたいほど腹が立ったんだね」と、気持ちは気持ちとして受け止め、子供が「気持ちをわかってくれた」と感じることができれば、色々話してくれるようになるはずです。

(▷参考記事「「学校どうだった?」と子どもに聞いてはいけないワケ」)
 

子供に言ってはいけないNGワード19「あなたのためを思って」

子どもに言ってはいけない言葉 あなたのためを思って

「こう思うから、こうしてほしい」子どもが聞きたいのは、親の率直な気持ちなのかもしれません。

親の善意からなる「あなたのためを思って」ですが、実は自分の主観を押しつけているだけで、子供に何の説明もしていません。「お行儀よくしなさい。あなたのためを思って言っているのよ」と怒っている親は、お行儀をよくすることのメリットも、しないことのデメリットも提示していません。ただ「自分の言うことに従え」としか言っていないのです。
 
「あなたのためを思って」を使いたくなったときは、少し立ち止まって「自分の気持ち」と向き合ってみましょう。「勉強しなさい。あなたのためを思って言っているのよ」と言いたくなった理由が、「子供が優秀だと、親として鼻が高いから」であれば、「あなたのためを思って」という言葉は嘘になります。それならば「ママのために勉強して」という方がフェアです。

でも、「子供の将来が心配」「後になって子供が苦労する姿を見るのが嫌」という理由であれば、「分数の勉強はまじめにした方がいいと思う。パパは小学生の頃、全然勉強しなくて後で苦労したから、同じ思いをしてほしくないんだ」というように「私」を主語にした伝え方をしてみましょう。

(▷参考記事「『あなたのためを思って』は、子どもに響かない」)
 

子供に言ってはいけないNGワード20「あなたがいなければ」

子どもに言ってはいけない言葉 あなたがいなければ

その子の存在を全否定する言葉は絶対にタブー

「あなたがいなければ」という、その子の存在を全否定する言葉は絶対タブーです。同様に、親は何気なく言っているつもりでも、「あなたが男の子(女の子)なら……」などの性別の否定も、自分の努力ではどうしようもないことを言われ、子供は自分を否定されたと感じて、心に傷を残します。
 
子供は、「親が思っている自分像」をそのまま「自分像」として受け止めます。周りから見てどんなに勉強が出来ても、親が「勉強が出来ない子」と思っていれば「自分は出来ない子」と思い、親が「悪い子」と思っていれば「悪い子」と自分も思ってしまうのです。自分に自信を持てず、出来るという感覚も持てない子になってしまいます。
 
子供は親から非常に大きな影響を受けます。存在を否定するような言葉は「心理的虐待」と呼び、実際に叩いたり蹴ったりはしていないものの、立派な「暴力」となって子供を傷つけるということを忘れないようにしましょう。

(▷参考記事「親が子供に絶対言ってはいけない言葉とは?言葉の虐待に?!」)


子どもに言ってはいけない言葉を紹介しましたが、親である私たち自身の経験でも、親の何気ない一言が糧や励みになっている場合もあれば、棘となって刺さっていることがありませんか。

子育てをしながら自分の「育ち」を振り返るとき、親の言葉の持つ影響力の大きさに気付かされます。親の「言葉」がきっかけとなって子供が回復したり、逆に悩んだりする例はたくさんあり、子供は親本人が意図しないメッセージを「聞いてしまう」こともあるのです。

難しく考えすぎず、「子供は敏感なのだ」とかつての自分の子供時代を思い出しながら、まずは「自分が言われたらいやな事は言わない」「自分が言われたらうれしいことで、声をかけてあげる」を原則にするだけでも、十分な心がけかもしれません。

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