言うことを聞かない子ども……どうして? 2つの理由とは
ちっとも言うことを聞かない、そんなとき親は何をするべき?
しかし、子どもの心理発達の側面から言えば、子どもが言うことを聞かないのは、しつけばかりが原因ではありません。隣のママと同じようにやっていても、お隣の子は言うことを聞き、自分の子は言うことを聞かないということがよくあるのです。このあたりの知識を広めていかないと、ママは「自分だけが悪い」と自らを追い込んでいくことになりかねません。この記事では、「子どもが言うことを聞かない理由」について、正しい情報をお伝えしていきたいと思います。
子どもが言うことを聞かない2つの理由
ちっとも子どもが言うことを聞かない……。こういう状況では、大きく分けて2つの理由が考えられます。1つは気質的なもの。もう1つは、環境要因です。「Setting Limit プログラム」で知られるしつけの権威・マッケンジー博士も言っていますが、生まれ持った気質で、言うことを聞きやすい子、聞きにくいタイプの子がいます。たとえば、友達の提案に対し、何でも「いいよ、いいよ」「OK、OK」と言う子もいれば、まずは「イヤだ」と言って、自分の意思を押しとおそうとする子がいるのです。これはもともとの”こだわる度合い”の違いによるものです。
一方の環境要因とは、子どもが置かれている環境に改善の余地がある場合です。パターンは2つあり、1つは、せっかく決めた家庭のルールが守られていないケースです。あってないようなルールであれば、子どもは自分なりのマイルールで動きたくなるのは想像に難しくないと思います。
もう1つは、親の注意を引くために、だだをこねているケースです。2人目が生まれたときの上の子の赤ちゃん返りを経験したことのあるママなら、その顕著な変化が分かると思いますが、子どもは、親の目線を常に欲しています。あの手この手でママの気を引こうとします。それで向けられるママの目線がにこやかならベストですが、たとえつりあがった鬼のような形相でも、それを欲してしまうのです。親からしたら、「怒鳴られてでも、自分のことを見てもらいたいなんて……」と思うかもしれません。ですが、子どもはそこまでしても、「見てもらいたい」と思っていて、「目線不足」が言うことを聞かない原因になっていることがよくあります。
子どもだけをみて、親を語るなかれ
気質的に言うことをよく聞く子は、多少、親が脱線した対応をしていても、言うことを聞くので、親は自分の接し方を振り返らずに進みがちです。一方、もともと言うことを聞かないタイプの子は、親が正しい接し方をしない限り、言うことを聞かないままなので、親は振り返りが多くなります。つまり、言うことを聞かないタイプの子の親は、親業を試される機会がずっとずっと多くなるのです。なので、冒頭に書いた「言うことを聞かない子の親はちゃんとやっていない」という認識は間違っています。もちろん、中には、ちゃんとやっていないから言うことを聞かなくなった子もいるでしょう。しかし、親の力量自体は上でも、それでも言うことを聞かないという難しい状況があるということは、社会が理解すべき点だと思っています。
要は、「子どもだけをみて、親を語るなかれ」なのです。親の接し方の前に、その子らしさが存在することを忘れてはいけないと思います。
しつけの際、親は向き合うべき相手を間違えやすい
自分の子が言うことを聞くタイプであっても、そうでない場合も、親がしつけに対する正しい知識を持つことが求められるのは言うまでもありません。では、どんなことに注意していけばいいでしょうか。まず気をつけたいのは、親が「しつけ」と向き合うときの矛先です。非常によくある間違いが、その子の頑固さを、親が何とかして抑え込もうとしてしまうパターンです。「言うことを聞かない性格を何とか変えてしまえ!」と思うと、もっともっと深みにはまります。なぜなら、気質というのは、変えようと思って変えられるものではないからです。その子にとっては、自分を否定されたのと同じこと。自己肯定感が低下してしまいます。
親ができる働きかけは、環境要因のみ。変えられるのは環境の方です。
とくに上に挙げた、
- 決めたルールは守れているか?
- 子どもをしっかりと見てあげているか?
■ルールを守る
いったん決めたのなら、そのルールはしっかり守る。守れないルールならば、はじめから設定しない方が賢明です。なぜなら、守れないルールばかり羅列しては意味がないばかりでなく、ルールを守らない習慣を、その子が身につけてしまうからです。今の10分の1に縮小してもいいので、「守れるルール」を作り、それをしっかり順守した方が、ずっといい習慣を身につけることができます。
■子どもをしっかりと見る
子どもが目線欲しさに意地を張るケースは、お子さんとのポジティブな時間を充実させ、そこで目線をしっかりと注いであげるのがおすすめです。たとえば、遊んでいるとき、おやつタイム、しゃべったり歌ったりしているときなど、ご機嫌に過ごしている時間です。「ごねて目線を獲得しなくても、ちゃんとママは見てくれている」と思ってもらえると、自然と解消していきます。
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