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小学生の宿題をつきっきりで手伝うのはNG!自主性を育む親サポート

小学生の子供の宿題、親はつきっきりで見ていてもよいのでしょうか? 「子どもの宿題って、親はどこまでどう手伝ったらいいんだろう?」そう考えてしまうこともあるかと思います。普段の学校や長期休み中の宿題の手伝い方のヒントを紹介します。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド

小学生の宿題に親はつきっきりでもいいもの?

小学生の宿題につきっきりはNG

どこまでどう手伝ったらいいのでしょう?

この記事では、普段の学校や長期休み中に「親は宿題をどう手伝ったらいいか」についてのヒントを紹介します。特に長期休みも半ばを過ぎた頃になると、ドリルや読書感想文、自由研究など山のような宿題も、着実に半分終わらせたぞ! という子もいれば、まだ全然手をつけていないや……、という子もいるかもしれません。親として、どんなサポートができるでしょうか。
   

親が宿題をつきっきりで手伝った子の方が成績が下がる?

これまで30年近く親の関わり方と子供のパフォーマンスについての研究を続ける社会学者キース・ロビンソン氏とエンジェル・ハリス氏による興味深い報告があります。
それによると、小学生時代に親がつきっきりで宿題を手伝うほど、年齢が上がるにつれ、子供の学業成績が低下したというのです。これは、課題を前にする度、親に手伝ってもらうことに慣れてしまうため、自分で考えたり工夫したりという力が培われないためだと説明されています。

では、親はほうっておけばいいのかというと、宿題をしない子はしないもの。全く手付かずのまま締め切り直前になって徹夜で取り組み、結局宿題の内容が何も身についていないということにもなり得ます。

手伝い過ぎるのでもなく、ほったらかしにするのでもなく、どんな親のサポートが効果的なのでしょうか。それにはまず、「足場作り」という考え方を覚えておきたましょう。
 

子どもの学習を助ける「足場作り(Scaffolding)」

心理学で用いられる「足場作り」とは、子供の発達にとって鍵となる大切な考え方です。例えば、戸棚の上にあるお皿に子供の手が届かない場合、子供の代わりに皿をとってやるのではなく、また「取りなさい」とただ言い放つのでもなく、子供自身で手が届くよう「踏み台」を用意してやるという考え方です。

初めの内は3段の踏み台が必要になるかもしれません、それでも子供が大きくなるにつれ、2段から1段へと変わり、いずれ踏み台がなくとも子供の手が届くようになるでしょう。子供に関わる大人の大切な役割とは、こうしてその時のその子に合った高さの「足場」を作ってやること

宿題に関しても同様です。親が代わりにやってあげるのでもなく、「やりなさい!」と突き放すのでもなく、いずれは子供が自主的に取り組むことのできる「足場」を用意してやりたいものです。では、どんな足場を築くことができるでしょうか?
 

小学生の宿題への親サポート法1:計画を立てる

・宿題の大切さを話し合う
「学校で習ったことも、宿題を通して復習し応用することで、より理解でき身につくね」と、なぜ宿題をするのかを改めて話し合ってみましょう。
締め切りに間に合うよう提出することだけが重要なわけではないことを、思い出させます。

・子供と一緒に計画を立てる
自ら考えた計画の方が、子供もよりやる気が出るものです。親が「こうしなさい」とスケジュールを示すよりも、子供と一緒に計画を立てましょう。

なるべく日々決まった時間に宿題に取り組むことで習慣となり、「したい/したくない」といった葛藤も減っていきます。宿題の後にはおやつの時間や遊びやゲームの時間などの楽しみを組み込んでおくのも、やる気を高める秘訣です。

・必要な材料を整理させる
課題に取り組むために材料が必要な場合は、何がどれだけの量必要なのかを書き出し、いつ買い物にいくのがいいかと計画を立てさせます。親からぽんと材料を渡されるよりも、子ども自身材料を揃える過程から関わることで、より自主的に取り組む気持ちが培われます。
 

小学生の宿題への親サポート法2:環境を整える 

閉め切った部屋の方が勉強に集中できる子もいれば、居間などオープンで雑音に囲まれていた方が集中できる子もいます。また課題の種類やその時の気分によって場所を変えたくなることもあるでしょう。本人と話し合いつつ、その子にあった学習環境を整えてあげましょう。
 

小学生の宿題への親サポート法3:遂行(心がけたい言葉がけと姿勢)

小学生の宿題につきっきりはNG。呼ばれたら手伝う程度で

小学生の宿題につきっきりはNG。呼ばれたら手伝う程度で

・自分で立てたスケジュールを思い出させる
宿題をする時間になっても始めないような場合は、「早くしなさい!」より、「今何時かな」「次は何をする時?」と、自ら立てたスケジュールを思い出させましょう。

・呼ばれたら手伝う
 「ここ分からないから教えて!」と子供が呼ぶようだったら手伝います。
隣につきっきりで座り、ちくいち口を出すのではなく、台所仕事など他のことに従事しながら少し離れたところにいるぐらいの距離感がいいでしょう。

・答えを教えない
「これはこうでしょ」と真っ先に答えを言ってしまうのではなく、「ここもう一度考えてみたらどうだろう?」「そこからもう一度やり直してみるといいよ」「ここのところママに説明してみて」など、その子が自ら答えに辿り着くのを助ける言葉がけを心がけましょう。

「まずは自分で取り組んでみる→どうしても分からない→少しヒントをもらう→自分で取組んでみる→わかった!」といった流れであると、よりその子の身につきます。
 

小学生の宿題への親サポート法4:確認と修正

計画を立てても結局遂行できなかった......となるのを防ぐのが、「確認と修正」です。定期的に「サポート1. 2. 3」の流れを振り返り、「うまくいったこと/うまくいかなかったこと」を話し合ってみましょう。

例えば朝8時半に勉強を始めるところ、ゆったりと朝ごはんを食べ少し遊んでから9時開始とした方がうまくいくかもしれません。また途中で休憩を挟んでみることで、より集中できることもあるでしょう。本人と話し合いながら工夫し、その子にとって最善の方法を見つけていきましょう。
 

小学生の宿題は、子どもが自分をマネージメントする好チャンス

宿題は、勉強内容を理解するだけでなく、課題を前に、与えられた期間と量を吟味し自らをマネージメントする方法を学ぶ絶好の機会です。
「1. 計画→2. 環境を整える→3. 遂行→4. 確認修正」といった流れを子供自身が身につけられるよう、サポート(足場作り)していきましょう。

夏休みの宿題もまだ手をつけていないというような場合でも、まずはあと何日の間にどれだけの量を終わらせる必要があるのかを整理し、共に計画を練るところから始めてみましょう。将来に向け、子供の「自分でできる!」範囲を広げられるサポートをしていきたいですね。

参考文献:
Keith Robinson and Angel L. Harris “The Broken Compass: Parental Involvement With Children’s Education” Harvard University Press (January 6, 2014)

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