鉄道/SL

「SL銀河」に乗って宮沢賢治の世界へ

2014年4月12日からJR釜石線(花巻~釜石)での年間運行が始まる震災復興支援の観光列車「SL銀河」。蒸気機関車C58形239号機については度々目にしてきたが、旅客用車両4両については秘密のヴェールに包まれたままであった。このほど、内装がほぼ完成し、報道関係者向け試乗会においてようやく車内が公開され、釜石から遠野までの区間において「汽車旅」を体験することができたのでレポートしてみたい。

野田 隆

野田 隆

鉄道 ガイド

名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL・D51を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、「ヨーロッパ鉄道と音楽の旅」を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。

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数奇な運命を辿った「SL銀河」用客車

SL銀河編成

C58+青い専用車両の「SL銀河」編成


キハ

車両の形式はディーゼルカーの「キハ」

C58形に牽引される4両の青い車両は、元々は赤い50系客車として誕生。その後、ディーゼルエンジンを取り付けられ機関車なしで自走できるディーゼルカーに「変身」し、JR北海道の札沼線で活躍した。札沼線の札幌近郊区間が電化され、電車に取って代わられたため、職を失ったところ、「SL銀河」用として機関車に牽引される客車に復帰したものである。但し、釜石線には勾配のきつい区間があるため、ディーゼルエンジンを駆動して蒸気機関車をサポートするという前例のない運転方式をとることとなった。したがって、車両に表記されている形式は「キハ」とディーゼルカー(気動車)のままである。
4両の旅客用車両

青の濃淡が特色の4両の旅客用車両


車体

賑やかなイラストが散りばめられた車体

4両編成の青い車体は、全く同じ青で塗装されてはいない。花巻寄りの1号車が明るい青となっているものの、釜石寄りの4号車に進むにつれて青が濃くなり、最後は濃紺になるというようにグラデーション塗装がほどこされている。デザインを担当した奥山清行氏(フェラーリなどのデザインで世界的に有名)によると、「夜が明け、朝へと変わりゆく空を表現」したとのことである。また、銀河をイメージして外装は星が散りばめられ、ところどころに星座をイメージした白鳥、さそりなどの動植物のイラストが数多く描かれた賑やかなものとなった。

では、車内をご案内しよう。
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