パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

サンス エ サンス【つくし野】

静かな空間でゆったりと落ち着いてパンを愉しみたい時におすすめのカフェ。10周年を目前に行列のできる人気ベーカリーを閉めて新しい場所でカフェとして一からスタートをきった菅井悟郎さんのパンと、それにぴったりの季節のスープやデリが味わえます。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

ル・クールを閉めてサンス・エ・サンスを始めた理由

2013年1月、田園都市線つくし野駅にほど近い住宅街にオープンしたカフェ、sens et sens(サンス エ サンス)が静かな話題を呼んでいます。
 
サンス エ サンス

サンス エ サンス

店内。奥さまの菅井綾子さんの布作品を始め作家ものの器類も販売

店内。奥さまの菅井綾子さんの布作品を始め作家ものの器類も販売


毎日焼かれるパンは5種類ほどで、販売されるパンはテーブルひとつ分、だからここはパン屋さんというわけではないのだけれど、営んでいるのは正真正銘のパン職人、菅井悟郎さん。sens et sensを開く前は千葉で行列のできる人気のパン屋さん「ル・クール」のオーナーシェフとして、ひとりで毎日数百個ものパンを焼いていました。
パンは全部で5種類ほど

パンは全部で5種類ほど

「ル・クールが移転してカフェを始めたのではなく、sens et sensとして、新たに試みてみたかったんです」菅井さんは言います。「そんな贅沢な、と思われるかもしれませんが……」10周年を目前に人気店を閉めたのにはわけがありました。ある日彼は気づいたのです。どんなに働いていくらパンを焼き続けても、行列ができたら、お客さんを待たせてしまうことに、売り切れたら、遠方からわざわざ訪れてくれるお客さんをがっかりさせてしまうことに。
菅井悟郎さん

菅井悟郎さん


自分がしたいことは、ただパンをたくさん売ることではなかった。もちろん、それができればいいのだけれど、それよりも、お客さんひとりひとりに自分が焼いたパンを渡して、満足してもらうことのほうが大事だった。ただ売るだけではなくて、そのパンでおいしく楽しい時間を過ごしてほしかった。そうして新しい場所で、一からカフェがスタートしたのです。
パン売り場はテーブルひとつ分

パン売り場はテーブルひとつ分

 
全部で12席。白く明るい店内には静かな音楽が流れる。

全部で12席。白く明るい店内には静かな音楽が流れる。

 
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