窓・サッシ・玄関ドア/玄関ドア・玄関まわりのアイテムの特徴と選び方

玄関ドアの鍵の種類と特徴&選び方のポイント

最近の玄関扉(ドア・引き戸)の鍵やキーシステムは、使い勝手や防犯性能が高まってきています。一般的な鍵だけでなく、リモコンやカードで解錠することも。ここでは、玄関扉を選ぶ前に知っておきたい鍵の種類や特徴をまとめました。(改定2019年1月/初出:2013年1月)

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

玄関扉の鍵やキーシステムの機能性は高まっている 

高い断熱性能を持つ玄関ドア。カードや携帯、ボタンでの解錠、近づくだけでの解錠と、ライフスタイルに合わせて選ぶことができる。 [TOSTEMグランデル2(施工例)152 片開き オーク(スタンダード仕様)ミニマル施工例]  LIXIL  http://www.lixil.co.jp/

高い断熱性能を持つ玄関ドア。カードや携帯、ボタンでの解錠、近づくだけでの解錠と、ライフスタイルに合わせて選ぶことができる。[TOSTEM グランデル2(施工例)152 片開き オーク(スタンダード仕様)ミニマル施工例]  LIXIL
 

毎日、家族が使用し、お客様も迎える玄関扉(ドア・引き戸)は、住まいのイメージを左右する建材のひとつ。新築やリフォームの際には、デザイン性や断熱性などはもちろん、操作性や防犯性にも配慮して選ぶことが大切です。玄関扉の防犯面で十分に考慮したいのが鍵(キーシステム)。最近では、機能性や操作性が高まってきており、家族構成やライフスタイルに合わせて選ぶことができるでしょう。
 
玄関扉にかぎらず、日常的には、「鍵」や「キー」、「ロック」など、さまざまな用語を使用していますが、本来、「鍵(key)」とは、鍵穴に差し込みまわして、「錠(lock、latch)」を開閉するもののこと。「錠」は、扉や引き出しに取り付け、鍵によって開閉する締り金物のこと。ドア本体に付いているのが「錠」、持ち歩くのが「鍵」になります。
 
【目次】
1.玄関扉商品にはいくつかの鍵(キーシステム)が設定
2.玄関扉の鍵の種類
  ■シリンダー錠・シリンダーキー
  ■電動で施解錠するシステム
   ・電池錠
   ・電気錠
3.ワンキー・ツーロックが基本。取り外し可能なサムターンも
4.実際にショールームで操作性を確認する
 

玄関扉商品にはいくつかの鍵(キーシステム)が設定

新築やリフォームで多く取り入れられる建材商品の玄関扉には、通常、いくつかの鍵(キーシステム)が設定されています。メーカーや商品によって異なりますが、標準仕様とオプション仕様があるので、それぞれの仕様、システムの種類や特徴、価格設定など比較検討することが大切でしょう。
離れた場所からでも、リモコン操作で施解錠ができる。(設置環境により変動します[防火ドアG シリーズ コンコード ポケットKey/ピタットKey 電池式リモコン操作]  YKK AP https://www.ykkap.co.jp/ 

離れた場所からでもリモコンで操作できる。[防火ドアG シリーズ コンコード ポケットKey/ピタットKey 電池式リモコン操作]  YKK AP
 

玄関扉の鍵の種類

一般的な住宅の玄関扉で用いられる「鍵」は、主にシリンダーキー。また、リモコンやカードでも施解錠できる電池錠や電気錠も揃っています
 
シリンダー錠・シリンダーキー
シリンダーとは、「鍵」の入る部分の円筒のことで、このシリンダーを用いるのがシリンダー錠です。

シリンダー錠は、固定された外筒と回転する内筒から構成。通常は外筒から内筒に障害片が出ていて、特定の鍵を差し込むことで障害片が外れ内筒が回転、錠内部の特殊な溝などを持つカムが回転しデッドボルト(本締ボルト)を動かし、施解錠されます。デットボルトとは、鍵やサムターン(屋内側にある施解錠のためのツマミ)で操作する、 施錠するためのカンヌキのことです。

シリンダー錠にはいくつかの種類がありますが、多く用いられているのは、障害片がピン状のピンシリンダー。ピンの数が多いほど防犯性に優れていると言われています。また、商品によっては、シリンダー内部へ砂や埃が入り込むのを防ぎ、メンテナンス性を高めるため、カギの差し込み部分にシャッターを装備したタイプもみられます。
鍵穴壊しに対する抵抗力が優れているディンプルキー、砂やほこりによるトラブルを起こしにくいウェーブキーが揃う。[ TOSTEMグランデル2  (上)DNキー (下)Wキー]  LIXIL  http://www.lixil.co.jp/

鍵穴壊しに対する抵抗力が優れているディンプルキー、砂やほこりによるトラブルを起こしにくいウェーブキーが揃う。[ TOSTEMグランデル2  (上)DNキー (下)Wキー]  LIXIL
 

シリンダーキーにも種類があり、メーカーの玄関ドアにみられるのは、「ディンプルキー」と「ウェーブキー」でしょう。

・ディンプルキー
表面に多数の小さなくぼみ(ディンプル)がついているもの。無数の種類をつくることができ、複製が困難という特徴があります。

・ウェーブキー
表面・裏面にへこみを設けたもの。耐ピッキング性能が高く、砂や埃が入りにくいといわれています。

電動で施解錠するシステム
電動で施解錠できるシステムは、大きく分けて、電池錠と電気錠(配線式・100V式)があります。
スマートフォンをかざすことで施解錠ができる機能も。[TOSTEM 新エントリーシステム カザスプラス(スマートフォン)]  LIXIL  http://www.lixil.co.jp/

スマートフォンをかざすことで操作できる機能も。[TOSTEM 新エントリーシステム カザスプラス(スマートフォン)]  LIXIL

電池錠
電池で作動するので、電気の配線工事が必要なく設置できるもの。配線コストがかからないので、取り入れやすいタイプでしょう。

電気錠
電気配線を行い通電させて作動するもの。遠隔操作機能などさまざまなシステムに拡張、接続ができるため、テレビドアホンと接続することで、来訪者を確認した上で解錠操作ができたり、室内のコントローラーユニットで施解錠操作を行ったりすることも可能です。
カードやシールを近づけるだけで、施解錠が可能。[スマートドア ヴェナート ピタットKey S31 YF:キャラメルチーク 洋風カーブハンドル]  YKK AP https://www.ykkap.co.jp/ 

カードやシールを近づけるだけで、操作可能。[スマートドア ヴェナート ピタットKey S31 YF:キャラメルチーク 洋風カーブハンドル]  YKK AP


・電池錠や電気錠のメリット
電池錠や電気状のメリットは、操作性が高いこと。メーカーや商品によっても異なりますが、たとえば、ドアやハンドルなどに設けられたボタンを押し、専用のICカードをリーダーにかざすだけで施解錠が可能。カードだけでなくICチップが埋め込まれたシール、携帯電話や電子マネー対応カード(対応機種等の制限あり)で操作できるタイプもあり、使用する人の使い勝手に合わせることが可能でしょう。

また、リモコンキーを使用しての操作することも可能なタイプも。リモコンキーをバックやポケットなどに入れ、身につけておけば、ドアのボタンを押すだけで施解錠することができるシステムもみられます。リモコンキーを取り出さなくて施解錠できるので、バックの中から探し出す必要もないのがメリットです。
 

ワンキー・ツーロックが基本。取り外し可能なサムターンも

最近の玄関扉は、ピッキング(鍵穴に針金のような特殊な工具などを差し込んで不正解錠すること)を防ぐため、ツーロックが一般的。ツーロックとすることで、不正解錠の手間と時間がかかり、見た目にも侵入を敬遠させることができる、と言われています。上下どちらかがピッキングなどで解錠されても、もう一つの解錠にある程度の時間がかかると、自動で再度ロックされる安心の機能を設けたタイプもあります。
着脱式のサムターンであれば、心配も少なくなる。[スマートコントロールキー 脱着サムターン取外し:上部]  YKK AP https://www.ykkap.co.jp/

着脱式のサムターンであれば、心配も少なくなる。[スマートコントロールキー 脱着サムターン取外し:上部]  YKK AP
 

また、セキュリティ機能を高めるため、脱着可能なサムターンを取り入れた商品もみられます。外出時や就寝時に外しておけば、不審者が扉のガラス部分を破ったり、金属棒や針金などの工具を用いて、サムターンを回し解錠操作をされる心配もないでしょう。

その他、施錠するためのカンヌキであるデッドボルトが見えてしまい、ドアをこじ開けられてしまうという手口を防ぐため、「鎌付デッドボルト」と呼ばれる解錠が非常に困難なタイプを取り入れた商品もみられます。
 

実際にショールームで操作性を確認する 

玄関扉の鍵は、家族みんなが毎日使用するもの。選ぶ際には、できる限りショールームなどで、実際に操作し、その使い勝手を確かめることが重要です。特に、幼いお子さんや高齢の方がいらっしゃる場合などは、操作方法や鍵の種類など充分に検討するようにしましょう。電池交換や停電時の対処法なども確認しておきたいポイントです。

また、選ぶ際に、ひとつの基準となるのは、「防犯性能の高い建物部品」かどうかということ。これは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」による防犯基準にクリアした製品のことで、既存商品に比べて防犯性能が高く、主にこじ開けやピッキングに5分以上耐えるものです。対象建築部品は、玄関や勝手口、錠・シリンダー・サムターン、窓やガレージシャッターなど。クリアした製品には、CPマークが表示されているので、カタログやショールームなどで参考にするといいでしょう。


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