ステッドラーのルモグラフ……100年以上愛され続ける魅力とは?
ステッドラー マルス ルモグラフ
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今回は、100年もの長きにわたって愛され続けている超ロングセラーの鉛筆、マルス ルモグラフを取り上げてみたい。
1660年頃から続くステッドラーの鉛筆づくり
当時の木軸鉛筆の復刻版
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中には四角い芯が入っていた
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1660年、ドイツのニュルンベルクで大工職人組合によって四角い棒状の黒鉛を木の軸で覆った鉛筆のひとつの原型がつくられた。この大工職人組合のメンバーの一人にステッドラー社の創業者の先祖フリードリッヒ・ステッドラー氏がいた。彼は、組合の中でも秀でた技術力をもっており、鉛筆づくりを独自に発展させていったのだった。しかし、そのときはまだ会社組織ではなく、あくまでも家内工業的なものだった。その後、フリーリッヒの孫にあたるヨハン・セバスチャン・ステッドラーが折りしも活発化してきた産業革命の中で、工業化された鉛筆づくりを始め、1835年にJ・S・ステッドラー社が創業された。現在のステッドラーの歴史はこうして始まっていった。
ステッドラーの製図用高級鉛筆マルス ルモグラフ
ステッドラーと言えば、おそらく多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、鎧をかぶったマルスヘッドだろう。これは、ローマ神話の農耕の神マルスがモチーフになっている。このマルスがステッドラーのマークとして使われるようなったのが、1900年。ちなみに、それ以前までは、三日月の中に顔があるムーンマークだったという。このマルスヘッドが使われた翌年の1901年に生まれたのが、マルス ルモグラフなのだ。ステッドラーの商品ラインの中で、商品名にマルスがついているのは、最高級品だけという厳格な社内ルールがある。このマルス ルモグラフはステッドラーの数ある鉛筆の中で最高峰に位置している。
農耕の神 マルスをモチーフにしたマルスヘッド
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トレードカラーのブルー
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マルス ルモグラフの数々の実力
たくさんのこだわりが貫かれている
マルス ルモグラフ |
一般的に、よく言われていることだが、ルモグラフはまずなんと言っても芯の紙への定着性が抜群にいい。そもそも鉛筆がどうして紙に書けるかというと、芯を構成している1つである黒鉛の粒子が紙の繊維にくっつくためである。だから、ザラザラとした紙にはよく書けて、ツルツルとした紙には書けないのはそのためなのだ。
粒子の均一性に優れた芯
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書いた時の定着性が大変よい
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芯の粒子の均一性が高いということは、書きやすいと同時に消しやすさにもつながっている。
また、ルモグラフの芯は比較的硬めになっている。硬めであるということは、別な言い方をすれば、芯が減りにくいということでもある。一定の太さの線が書けるルモグラフは、製図や設計の現場で絶大な支持を受けているのだ。
今回、ステッドラーのご担当者の方から色々とお聞きしている中で、私自身も初めて知ったことがあった。それは、ルモグラフの製造工程において、鉛筆の表面に6回もの塗装をしているということだ。なぜ、そこまで念入りに行っているかと言えば、鉛筆の芯の大敵である湿気を防ぐためである。鉛筆の内部に湿気が入り込むと、木軸にも悪いのはもちろんこと、中の芯の劣化にもつながってしまう。そのため、6層もの塗装のコーティングをして、湿気から身を守っているという訳なのだ。
6回もの塗装が行われている
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芯を湿気から守るため、
軸の反対側にはカバーがある |
やはり、ロングセラーだけあって、随所にこだわりがあるということを改めて思い知らされた。
ルモグラフを普段使いできる鉛筆ホルダー
ステッドラー ペンシルホルダー
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それは、ステッドラーが発売しているペンシルホルダーだ。
短くなった鉛筆を握りやすくしてくれる補助軸というものは、以前からあった。でも、このペンシルホルダーはちょっと違う。これは、鉛筆を快適に使うということに主眼が置かれているホルダーだ。
グリップには安定した握りを約束してくれるギザギザグリップ、たっぷりとした長さのボディ、そして、ポケットなどに入れて携帯しやすいクリップまで付いている。実際に鉛筆をセットしてみると、まるで製図用のシャープペンのような堂々としたスタイルになる。
ステッドラーお得意の製図シャープペンのようなグリップ
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消しゴムも搭載している
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程よい低重心を実現
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ポケットに入れるときは、芯を反対にして収納する
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ステッドラー マルス ルモグラフ
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<関連リンク>
ステッドラー オフィシャルサイト
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