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海外の公的年金制度~アメリカ編(3ページ目)

日本の公的年金制度とアメリカの公的年金制度、基本的なしくみを比較しながらその違いを解説していきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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アメリカの年金制度~そのほかの特徴

アメリカの年金制度も苦しい"台所事情"を抱えています
日本では1997年に基礎年金番号が導入され、公的の年金加入者の管理が基礎年金番号で行われるようになりました(共済制度の加入者は対象外です)。アメリカでは1935年に社会保障番号制度が導入され、出生と同時に1人に1つの社会保障番号が付与されています。

年金情報の管理も社会保障番号によって行われ、アメリカの社会保障庁は25歳以上の勤労者全員に年1回、加入記録と退職時の年金受給予想額を通知します。通知された内容に誤りがある時は、社会保障庁に訂正を求める手続きを取ります。

日本の公的年金制度は、社会保障だけでなく「社会福祉」の機能も持っているため、保険料の免除制度や国庫負担により収入がない人でも将来の年金が確保できるしくみとなっています。これに対して、アメリカの公的年金制度はあくまでも社会保障なので、「働く人」を対象としており、報酬に応じた保険料を納め、納めた保険料に応じた年金を受け取るしくみになっています。

また、アメリカでは退職後の所得を、公的年金だけでなく、企業年金などの「職域年金」、私的に準備した「個人年金・貯蓄」の「三本脚の椅子」で支えるという考え方が一般的で、老後の収入の中心を公的年金とする日本とは考え方に違いがあります。

現在、日本とアメリカの間では社会保障協定が締結されていて、アメリカで働く日本人あるいは日本で働くアメリカ人は日米どちらかの年金制度に加入することとなり、年金加入期間は日米の期間が原則通算されます(社会保障協定の詳細は「どうなる?海外生活をするときの年金」をご覧ください)。

アメリカの公的年金制度も財政状況がきびしい点は、日本の公的年金制度と同様です。1993年(クリントン政権時代)から年金改革が議論されていますが、いまだに結論が出ていません。大統領選挙により政権が交代し、今後の議論がどうなるのか、日本の公的年金改革に影響する可能性もあるのでアメリカの年金制度の動向には注意が必要でしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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