早めに親と話しておきたい!「実家の相続」にかかるお金の負担を減らすコツ

いずれは誰にでも起こる相続。ただ、正直よく分かってないし、他人事に思っている人も多いはず。相続をするってそもそも何をすればいいの?相続税ってどれくらいかかるの?などなど。実はお金の問題にすごく関わってくるのです。でも大丈夫。その負担を少しでも減らすコツを、FPとしてご活躍される佐藤益弘さんが教えてくれました。

提供:大東建託株式会社

お話をうかがった方

佐藤 益弘

All About「不動産にまつわるお金」ガイド:佐藤 益弘

某メーカーの不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(ファイナンシャル・プランナー)を取得。 2000年8月より独立系FPとして独立し、FP教育機関のスタッフとしても迎えられ、3つの独立系FP関連会社設立にも参画。 現在、顧客サイドに立った真の独立系FPのネットワーク確立のため、<優益FPオフィス>代表として活動し、直接、個人向けに情報提供や実行サポートを行っている。

実家の相続のこと。そろそろ考えた方がいい

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最近、実家の相続をニュースなどでよく見聞きする機会が増えています。数年以内に、相続のルール(民法)が一部改正されることも予定されています。まずは、相続の周りで、どんな問題が起こるのか、佐藤さんに聞いてみました。

「相続の問題としては、遺産分割や納税(資金準備と節税)が大きなところです。2015年の相続税改正によって課税割合が4.4%から8%に増えていますし、その中でも特に、評価額の高い不動産をお持ちの方は、より多くの税金がかかることになるので注意が必要です」と佐藤さん。

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被相続人数の推移

※「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)「人口動態統計」による。

出典:国税庁ホームページ

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課税割合の推移=相続税の申告書の提出に係る被相続人数÷被相続人数

※「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)「人口動態統計」による。

出典:国税庁ホームページ


「実は、親が亡くなった後にすることは目白押しです。特に相続税は所得税と同じく、申告税という種類の税金なので、税理士の先生にお願いすることが多いとは思いますが、基本的に、自分自身で計算して、申告&納税をする必要があります。さらに、亡くなってから10ヵ月以内が申告納税のタイムリミットですから、たとえ遺産分割で揉めていても、法定相続分で分けたとして一度納税する必要があります。そこから3年以内に、無事遺産分割ができれば、税制上の特例が活かせるので、再計算して、納税し直すことになります。それ以上の期間、遺産分割で揉めると税制上の特例は活かせなくなるので、しっかり国民の義務(納税義務)を果たしていただくことになります。ですから、事前に、親子間、兄弟姉妹間で意思疎通を図りながら、親が保有している財産や借金をしっかり把握し、できれば、どの様に分けるのか?親が健全な内に決めることが大切になるのです」。

でも、相続について親と会話するにはどうしたら良いのでしょうか。

「心身共に健康で、経済的に何の問題も感じていない段階では、親世代から相続の話を切り出すことはあまりないでしょう。ただ、問題を感じていないだけで実際には潜在的な問題が見え隠れしていますから、キッカケが大事です。例えば、大変不謹慎なのですが、身内やご近所などご家族の周辺で相続が発生した時は、話を切り出すチャンスです。また、シニア関連のセミナーや講演会などに実際に足を運ぶと、まず、相続に関する事柄も話されますから、第三者の意見をキッカケに話を切り出しても良いでしょう。そのためにも常にそのような話ができるような、環境作りをしておくことが大切だと思います」。


他人事じゃないかも。相続税ってどれくらいかかるの? 

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やはり気になるお金の問題。実際相続税はどれくらいかかるのか。佐藤さんに聞いてみました。

「まず、相続財産が相続税の基礎控除以下※1であれば税金は関係ありません。ただ、先ほど触れたように、2015年の改正で基礎控除が40%ダウンしたため、納税義務者が増えました。ちなみに、3大都市圏など評価額が高い傾向にあるエリアで自宅=不動産をお持ちの方は、その対象になるケースが多いでしょう」と佐藤さん。

「もちろん、相続税には様々な特例や非課税枠が用意されているので、事前に準備できれば、結果として納税額を抑えることはできます。特例を使う以上、確定申告はする必要がありますが、例えば、片方の親が存命の場合(一次相続)は、大きな控除枠である配偶者控除を申告することにより、納税せずに済むケースが多いでしょう。ただ、次の相続では子世代だけの相続(二次相続)になるので、この特例が使えません。ほぼ間違いなく相続税を納税することになります。また、財産を実際につくった親世代がいなくなることで揉めることが多くなります。家族としてしっかり財産を引き継いでいくには、一次相続の前に二次相続も含めた対策をしておくことが重要ですね」。

「最初に、実家を『使うかどうか?』と『使えるかどうか?』で判断することが大切です。自宅として住み続けるという判断であれば、相続に関する費用やその後の維持費など一定の経済コストを考える必要はありますが、基本的に経済的な損得より、ご自身の価値観などを大切に考えれば良いでしょう。ただし、自分たちが実家を使うことが難しいのであれば、賃貸や売却ができるかどうか?という見定めを早めにする必要があります。より良い決断をするためにも、できるだけ早く方針を決めることが肝要です。個々人のライフプランを作成し、状況を把握しながら家族間調整し、具体的な対応方法を決めましょう」。

では、自分達の場合、相続税がどれくらいかかるのか。

「見ず知らずの人に自分たちのお金や財産の情報を出すのは躊躇するでしょう。そこで、インターネット上で、相続税の計算方法などの情報が掲載されていますから、まず、概算でも良いので、自分自身でトライしてみることを勧めます。どれくらい必要になるのか。ほとんどの方が想像できないと思います。その金額に驚くかもしれませんが、そうすることで、相続税の仕組み等も理解でき、知識を得ることで、いろいろな発想が生まれると思います」。

※1…基礎控除額は、「3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)。つまり、相続人が1人の場合、遺産総額が3,600万以下であれば相続税はかからない。


「納税資金の準備」と「節税」。両方同時にできる良い方法とは?

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相続税が分かっても、大金を支払うのは難しい場合などもあると思いますが、負担を減らすポイントを佐藤さんが教えてくれました。

「相続税は、「課税価格の合計」が決まるとほぼ自動的に納付税額が決定してしまう仕組みなので、「課税価格の合計」が軽減されるように対応します。ポイントは3つです」。

(1)非課税資産※2や特例※3を使う

 →生命保険など非課税資産や配偶者控除などの特例を使う

(2)相続財産の評価額を下げる

 →過度な借金は禁物ですが、適正な目的や金額の借入などを行い、相続財産の評価額を下げる

(3)相続財産自体を減らす

 →例えば、贈与税の非課税枠のあるお孫さんへ教育資金を生前贈与し相続財産自体を減らす

「ただ、実際の価格より財産評価(「財産評価基本通達」)が低い財産、つまり差が大きな財産ほど、相続税額が軽減されます。実は、実家も含めた不動産という資産は、相続税を考える上で、時価と財産評価(「財産評価基本通達」)との差(ギャップ)が大きな資産になります。ですから、例えば、賃貸経営をするなど上手に不動産を有効活用することで、相続税の納税資金の準備と節税を同時にすることができます。賃貸経営を行うにあたっては、前述のポイント(2)の適正な借入を通常行うことになるので、そういう意味からも相続税額を軽減させることができます。また、資産運用という観点でも、一定額の金融資産を得た方は、大抵、リスクマネジメントのために、保有資産のバランスや収入源の分散化を図り、一定の安定収入が見込める不動産を保有しています」。

つまり、親の土地を賃貸経営などで早めに活用していくことは、相続税対策になることはもちろん、「親子で考える副業」として、今後の人生を支えていく収入源になるとも考えられますね。

※2…主な非課税資産
生命保険(500万円×法定相続人の数)
死亡退職金( 同上 )
弔慰金(業務上普通給与3年分 業務外同6か月分)
※3…主な特例
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(50% or 80%評価減 200~400m2の限度面積あり)
贈与税の配偶者控除(最高2,000万円)、直系尊属からの住宅取得資金等の贈与(1,200万円・700万円)、教育資金の一括贈与(1,500万円)、結婚・子育て資金の一括贈与(1,000万円)など


「親子の副業」でこれからに備える。うまく進めるためのコツは?

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今から一緒に考える「親子の副業」。これからの相続やその他のイベントに向けて、何をどう考え、進めていけばよいのでしょうか?

「まずは、高齢になる親の負担にならずに続けられ、安定した収入を得られることが大切ではないでしょうか。その上で、『家をつなぐ』という親の想いを考えた時、家族の大切な土地を活かすことができる方法の一つとして、先ほどもあげた賃貸経営が考えられるでしょう。そして、それには、親が安心して運用できる環境づくりが大事になってきます。入居者を想定した間取りや家賃設定など、決めなくてはならないことがたくさんあります。子どもが上手くサポートできれば良いですが、なかなかそればかりに専念できないというのはよくあること。なので、専門家にサポートして貰うことも必要になるでしょう。では、そんな時、どんな専門家にサポートして貰うかは、評価基準になるライフプランを持っておくと容易に決められます。賃貸経営は長期間に渡るので、頼っていた会社が途中で倒産したりしては元も子もありません。サポートしてもらう会社自身に長年の経験や情報網、ノウハウの他、その基盤となる経済的な余裕がないと任せられないと個人的には感じています。ただ、そのような会社を見つけるのは容易なことではありません。ですから、複数の会社を選択し、状況によってはお付き合いする会社を見直すことも大事です。例えば、業界のリーディングカンパニー、地元の有力な不動産会社さん、コストがリーズナブルな会社など、複数社から話を聞き、選択すると良いでしょう。繰り返しになりますが、その際、ライフプランなど明確な評価基準を自分自身で持っていないと、相手の誘導に乗り、本意でない行動を起こすことになりかねませんので、注意しましょう」。

と、アドバイスをくださった佐藤さん。さらに、もし賃貸経営を考えるのであれば、親や自分のタイプ別に、どのような方針をとるのが良いのかも教えてくださいました。

「賃貸経営をしよう!と決めたのであれば、どの様に対応するのか?できるのか?自分自身で認識しておくことが大事です。通常…

1)自分自身に知識や能力、気力や時間もあり、全力で活動できるプレイヤータイプ

(2)知識や能力があるものの、他に時間などを取られ、ある程度、信頼のおけるプロにサポートして貰うというマネージャータイプ

(3)会社の株主の様に賃貸経営はしたいが、その知識も能力も乏しく、時間もできるだけ他に使いたいので、その道のプロに任せたいというオーナータイプ

以上のような3つの賃貸経営者に分れます。

例えば、賃貸経営を考えるうえでよく耳にするサブリース方式ですが、収支計算上は、サブリースをお願いする会社に手数料などを支払わねばなりません。ですから上記の(1)や(2)のタイプの賃貸経営者にとってはデメリットが大きくなります。しかし、(3)のような副業として考える賃貸経営者にとっては、確かに費用は掛かかりますが、その分、時間や手間は省けるメリットになります。このように、副業として親子が一緒にできる賃貸経営は、相続時の節税対策として有用なことはもちろん、安定した収入源として見込めるので、これからの人生に安心感をもたらしてくれるはずです」。

賃貸経営もあくまで選択肢のひとつ。今から情報収集をしながら、「親子で副業」、考えてみませんか?

「親子で副業」を考えるならこちら